八雲興司
やぐもきょうじ
「ひとつ教えてあげるよ凌牙」
「『希望』と『絶望』は紙一重…受けた希望と同じくらいに絶望も深くなる!」
漫画版オリジナルキャラクター。
Dr.フェイカーによって差し向けられたナンバーズ・ハンターの総司令官。
他のナンバーズ・ハンターらを手駒として扱い、役に立たないと分かれば容赦なく始末する冷酷な性格。
神代凌牙と同じ孤児院で育っている。
名前の由来は小泉八雲からで、『興』の字は『狂』の語呂合わせとのこと。
「この世界は滅びるべき」という思想を抱いた破滅主義者。
作中での彼の行動は全てその目的に根差しており、この世の全てに存在する価値を見出していない。
そのため他人の命を奪うことにも抵抗がなく、任務に失敗したイビルーダーを「マインド・クラッシュ」により廃人にする形で処刑する、フェイカーの死を隠匿していたハートランドが詐欺師だと気づいたことで闇のゲームにより抹殺するなどとことん容赦がない。
しかし、凌牙や孤児院のスタッフからは心優しく温厚な性格だったことが言及されており、回想シーンで垣間見られる人物像は現在とは懸け離れている。
この他、蜘蛛を使役し視聴覚を共有するという謎の能力を有している。
操った蜘蛛を大量に集合させて自身の分身を作り、自我があるかのように振舞わせたり潜入捜査をさせたりとかなり融通の利く能力であり、実質孤軍である八雲が情報戦で大きく上を取った理由がこれである。
元々は両親と弟・優司と四人家族だったが、両親が事故で死亡したことで身よりを失い、優司と別々の場所に引き取られる。
唯一の肉親だった弟と引き離され孤独に苛まれる八雲は、デュエルの世界でトップに上り詰めれば優司の目に留まるかもしれないという希望を得てデュエリストの道を志す。
ハートランドで開かれた大会では勝利へのプレッシャーのあまり、対戦相手のデッキを盗むという暴挙に出るも、孤児院のヒーローである八雲のイメージを壊させまいと凌牙が勝手にその罪を被ったことで、チャンピオンへ上り詰める。
その後ほどなく、連絡を取って来た優司と再会を喜んだが、しばらく経った頃にとんでもない事実を知ってしまう。
周辺で金品の盗難が相次ぎ始め、さらに優司がチャンピオンの転落と復活を演じるための八百長を持ちかけてきたのである。
だが八雲はそれ以上に、話しかけてきた優司が右手を伸ばして来たことに顔色を変える。
なぜなら優司は左利きだったからである。
八雲自身もうすうす勘付いていたが、この優司は偽物であり、本物の優司は困窮した里親に置き去りにされた後、八雲のデュエルを見て「兄さん」と呟いたことで、成り代わって金づるにしてやろうと考えた別の子供に殺害されていたのである。
怒りのあまり偽優司を殺しかけるも、偽物であろうとも「弟」を手にかけることはできず手を離してしまう。
しかしそのタイミングで謎の力により「No.70 デッドリー・シン」と8枚の白紙のナンバーズがその手に宿り、心の闇が爆発した八雲は「この世界は滅びるべきだ」という思想に取り付かれてしまう。
そのまま去っていく偽優司を衝撃波で吹き飛ばして殺害し、心ならずも弟の仇を葬った。
それからいかなる経緯を経たのかは不明だが、フェイカーがNo.を集めアストラル世界とこの世界を滅ぼそうとしているという情報を聞きつけ、自らハートランドに売り込みをかけてナンバーズ・ハンターとなった。
このためハートランドが元から従えていた3人のハンターとは関係がない。
イビルーダー、シャドー、飛車角を差し向け遊馬達の収集したナンバーズを奪おうとしたが、刺客としたナンバーズ・ハンターたちは全て敗北。
さらにフェイカーが既に死亡しているという事実を掴んだことで、代理人として振舞っていたハートランドが詐欺師であるという事実に行き着き、デュエルを挑み彼のナンバーズを奪うと共に抹殺。
「Mr.ハートランド! アナタの本当の罪はボクを騙したことでも人々を騙したことでもない!」
「世界の破滅を恐れアストラル世界への攻撃を止めたことだ! この世界は滅ぶべきだ! 生きる価値のない世界など!」
引導を渡した際のこの叫びが、八雲の中の心の歪みを如実に物語っている。
その後、シャドー戦のダメージで寝込んでいたカイトを拉致してフェイカーのラボに移動させ、ハルトを人質にし「この世界を滅ぼすことでハルトの魂をアストラル世界から取り戻す」という条件でカイトを自陣に引き込んだ。
翌日のハートランドタワーでのイベントではダブルデュエルの参加者として凌牙と対戦。
タワーのモニュメント内の時空歪曲装置にハルトを生命維持を兼ねて拘束し、ナンバーズのエネルギーを集めることで異世界への扉を開こうともくろんだ。
最終的に瑠那の協力を得たナンバーズクラブによりハルトは救出され、カイトも敗北したものの、自身が大量のナンバーズを召喚することで無理矢理装置を起動し扉を開くことに成功。
異世界のブラックホールに二つの世界を引き込み消し去ろうとしたが、本来の能力を取り戻したアストラルに妨害され、遊馬・凌牙・カイトの三勇士を相手に変則デュエルを挑む。
だが戦いの中で、八雲にNo.を与えた闇の意志の正体が異次元の破壊神e・ラーであったこと、そして八雲自身がe・ラーを封じるアストラル世界の力の持ち主「四神官」の一角であり、それゆえにe・ラーに先手を打たれて取り込まれていたことが判明。
全ての真実が明らかになって心の闇を取り払われたことで、かつての己を取り戻した八雲は自身のナンバーズを遊馬たちに託し、e・ラー撃破後は遊馬とアストラルの「戦いの儀」をカイトたちと共に見守っていた。
事態収束後は凌牙とともに孤児院に戻り(恐らくスタッフとして就職したと思われる)、かつてと同じく子供たちのヒーローとしてデュエルの世界で活躍している模様。
なお確認できる限りでも2人ほど殺しているが、偽優司はそもそも同情の余地が皆無、ハートランドも老人を毒牙にかける詐欺師であった上、殺害手段が超常の力によるものであるため、仮に捜査されたとしても立証は不可能と思われる。
クモをモチーフとしたモンスターを主に扱うが、アンデット族も混合しているなど、概ね闇属性軸の【エクシーズ召喚】というべき構築になっている。
このためMr.ハートランド戦、VS凌牙戦、VS遊馬、カイト、凌牙戦全てで使っているモンスターが異なる。
ナンバーズを9枚ほど所持しているが、当初はNo.70デッドリー・シン以外全て白紙だった。
これは八雲自身にこれと言った欲望がなく、代わりにこの世界が滅びればいいという「蜘蛛の糸が風に乗って流されたような願い」しか持っていないため。
このため、彼のナンバーズは起爆剤となる欲望を得られず白紙のままになっているのだが、八雲はこれを利用して、デュエル中に状況に合わせて開眼させることで相手に対するメタカードに変えるという戦術をとっている。
ちなみに初代遊戯王には名蜘蛛コージというキャラクターが登場していた。
性格は八雲と違い横暴だが、(モンスターファイターという違うゲームでとはいえ)蜘蛛のモンスターを操る点は共通している。
保有ナンバーズ
※最終的に他のナンバーズに変化させる形で遊馬達に託したため、カードとしては存在しなくなっている。ただしアストラルはこれらも含めて全てのナンバーズを回収している。
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