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概要編集

松尾芭蕉平泉で詠んだ句「夏草や兵どもが夢の跡」の一部である。「おくのほそ道」に載っている著名な句で、この句全体がタグとして使われることもある。平泉はかつての奥州藤原氏の本拠地であり、滅んでしまった奥州藤原氏、またはそこに亡命しながら討ち取られた源義経などに思いを巡らせて、儚さを表現したものと解されている。

「夏草や」が省略された理由としては、季節が夏でない、屋内などで草が生えていない、生えていても感傷の対象部分との関連が薄いなどが想定される。

pixivでは「兵」の方に重点を置いてか、奥州藤原氏のような栄華の有無にあまり関係なく、戦い(またはそれに類する激しい活動)の跡を描く例も多い。


平泉編集

 三代の栄耀一睡の中にして、大門の跡は一里こなたに有。秀衡が跡は田野に成て、金鶏山のみ形を残す。先高館にのぼれば、北上川南部より流るゝ大河也。衣川は和泉が城をめぐりて、高館の下にて大河に落入。泰衡等が旧跡は、衣が関を隔て、南部口をさし堅め、夷をふせぐとみえたり。偖も義臣すぐつて此城にこもり、功名一時の叢となる。「国破れて山河在り、城春にして草青みたり」と、笠打敷て、時のうつるまで泪を落し侍りぬ。

  夏草や兵どもが夢の跡

  卯の花に兼房みゆる白毛かな  曽良

 兼て耳驚したる二堂開帳す。経堂は三将の像をのこし、光堂は三代の棺を納め、三尊の仏を安置す。七宝散うせて、珠の扉風にやぶれ、金の柱霜雪に朽て、既頽廃空虚の叢と成べきを、四面新に囲て、甍を覆て風雪を凌。暫時千歳の記念とはなれり。

  五月雨の降のこしてや光堂


青みたりとあるがこれは春(それも雪解けからほんの少しだけ芽が出てくるような早春のこと)を指す言葉であり、「夏草」という言葉や、芭蕉が言及する杜甫の「春望」では「国破れて山河在り、城春にして草木深し」とあるため、芭蕉の自筆本(そこから分かる芭蕉の悪筆ぶり)から推測するに青々たりと読むのが正しいという意見もある。

  • 草青む

 ……早春に萌え出た草が青々としてくること

  • 青々たる

 ……いかにも青々と茂っているさま

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