概要
脚本家レジナルド・ローズが、自身の陪審員経験に触発されて書いたドラマ。殺人を犯したある少年の裁判を巡る、陪審員同士の議論が主な内容。本作最大の特徴は「ほぼ全ての出来事が同じ部屋で繰り広げられている」という点にある。物語は内容が面白ければ場所など関係ないという事を分かりやすく証明した実例。また、アメリカの陪審員制度が抱える長所と短所を分かりやすく示した例としても有名である。
なお、このドラマが放映された1954年当時は安定した収録技術がなく、放映は生放送で行われた。しかし、これは大好評となり、放送時間の都合で削除された箇所を追加した映画版が製作されることとなった。配給はユナイテッド・アーティスツ(現MGM)。監督のシドニー・ルメットは、この映画で第7回ベルリン国際映画祭金熊賞と国際カトリック映画事務局賞を受賞。更にアカデミー賞で作品賞を含む3部門にもノミネートされたが、『戦場にかける橋』に敗れ、惜しくも受賞には至っていない。
ストーリー
父親殺しで罪に問われたある少年の裁判に、性格も生い立ちも異なる12人の陪審員が選出される。証拠は明白であり、全員一致で有罪判決が出そうになるなか、陪審員8番だけがそれに異を唱える。固定観念に囚われなかった彼は、疑わしい証拠の再検証を要求。彼の熱意と理路整然とした推理によって、当初は少年の有罪を信じきっていた他の陪審員たちも徐々に疑問を持ち始める。