概要
1957年登場。木造車体で老朽化の著しい旧型車の車体更新を目的に製造されたいわゆるHL車の一系列。製造両数は41両。
名鉄には戦後間もなく国鉄63系と同型の3700系が在籍していたが、こちらは短期間で他社へと譲渡されたために番号が空いており、車体更新車として3700番台が使用されることとなった。
片開き2ドアが片側に2箇所、オールロングシートの17m級車体だが、車内は蛍光灯を採用して暖房完備とすることで居住性は大幅に改善されている。
ただし性能面では木造HL車と大差なく、弱め界磁制御もないためにMT比1対1では満員乗車の平坦線で85km/hが限界だった模様。
このため鉄道図鑑などで「性能は悪い」と評されることもあった。
当初の計画では低出力を補うために全M車とする予定で、最初の2編成は実際に全M車で落成しているが車体更新のペースアップなど諸々の事情からMT編成での製造に変更され既存の車両の電装解除や改番が発生。そのため番号に乱れが生じることになり、モ3702はク2701と改番されて欠番になっている(同じく電装解除でク2703となったモ3704は2代目が製造された)。
後に扉間は転換クロスシートに改造され、さらに居住性を向上させた。
1973年から車両近代化を目的に5編成10両が当時600Vだった瀬戸線へ転属した。これは主回路の降圧を行っても性能が変化しにくいためだが、当時の瀬戸線は既にAL車で統一されており、改めて乗務員に教習を受けさせることになった。
瀬戸線では白帯を巻き、特急などにも使用。
この5編成は78年の瀬戸線1500V昇圧で1500V仕様に復元して本線へ復帰、1991年まで活躍した。また、3716Fは築港線の増結用にモ3716を電装解除したク3716(サービス電源用にパンタグラフが残されていた)が1996年まで生き残った。
一部車両は1969年から73年にかけて高松琴平電気鉄道へ譲渡され、モハ1020形(奇数)+クハ1020形(偶数)となり、琴平線で運用された。これらは2004年までに元京急車のモハ1200形に置き換えられる形で全廃されている。
3730・3770系
3730系は3700系の仕様変更形で、運転台が低運転台から高運転台へ変更され、ドアを片開き扉から幅1400mmの両開き扉へ変更し、ラッシュ時の混雑に対応させたもの。それ以外は3700系と変わりなく、モ3749の相方は3700系のク2702だった(最終製造グループの2代目3704Fとク2702は高運転台だった)。そのためク2749は欠番。
3770系は車体こそ3730系と同一だが、座席を転換クロスシートへ変更したもの。しかし1969年以降、3730系の一部編成がオールクロスシートへ改装され(座席の数が違っていたがシートピッチそのものは同じだった)、1984年からはオールロングシートに再改装されたため、実質的な差異はない。ちなみにク2762はクロスシート時代に転換リクライニングシートの試験をしていたことがある。
3730系の一部と3770系全車が昇圧後の瀬戸線へ転属したが、瀬戸線所属編成は1990年までに、本線所属編成も1996年までに全廃された。
1981年には3755Fが豊橋鉄道へ移籍。冷房化も行われた。
関連項目
名鉄3780系 改良版。両開きドア、転換クロスシートや冷房設置などの改善が施された。