概要
1964年に登場した木造・半鋼製の旧型車の車体更新車である3700系の仕様変更版でHL車の一系列。
制御電源に東芝CLG-107電動発電機を搭載し、本来はHB制御に相当する形式だが名古屋鉄道では一貫してHL車と呼称・表記された。
種車は愛知電気鉄道電7形(モ3200形)など初期に製造された半鋼製車であるが、状態の良い部品を組み合わせたため明確な種車は不明となっている。
ただし電7形の特徴であるボールドウィン製84-27-A台車がモ3731-モ3737・モ3749の8両と3700系のモ3719・モ3720、3770系のモ3774に装着されていたのが確認されている。
このボールドウィン製台車は日本車輌製D-16台車と比べ状態が悪かったとされているが、モ3200形10両+モ3250形1両の11両分すべてが再整備を行い流用されている。
3700系から運転台を低運転台から高運転台とし、乗降ドアを両開きにしたもの。車内はロングシート。ドア開口幅は当時の国鉄通勤車を上回る1,400mmで、2扉ながら通勤客の増加に対応した設計であった。
1966年からは座席を転換クロスシートとした3770系への増備に移行し、3730系も一部が転換クロスシートへ改造された(3752F~3763F。公式には区分されていないが一部資料では3750系と識別されることがある)が、1984年からは両系列ともオールロングシートに改造されたため、実質的な差は無くなっている。
このほかク2762では転換リクライニングシートを装備して試験を行っていた時期があるが、本採用はされなかった。
1978年の瀬戸線1500V昇圧後には3770系全車と3730系の一部が転属。転属に際しては2段上昇窓の下段にストッパーを取り付けて下段窓の開口部を減らしている。車両限界の都合から冷房改造は行われず、瀬戸線からは1990年に姿を消し、本線系でも1996年までに全廃されている。1996年の全廃前には名鉄とファン主催のさよなら運転が実施されている。名鉄主催のものは3751Fを使用して常滑線を、ファン主催のものは3757Fを使用して知多新線を同日に運行したとされている。
なお3730・3770系に機器を供出した愛知電気鉄道電7形は、制御付随車ク2320となって瀬戸線へ転属。瀬戸線昇圧後もク2323・2326の2両は揖斐線へ再転属し、1997年まで活躍した。
結果的に種車の車体のほうが約1年ほど長生きしたという稀有な事例である。
豊橋鉄道1750系
1981年には3730系3755Fが豊橋鉄道へ移籍し、同社渥美線用の1750系として竣工。1982年に営業運転を開始した。これに伴い豊橋鉄道ではガソリンカー改造の制御車ク2300形が廃車となっている。
前照灯を2灯に改造したほか、台車を旧型国電(クモハ54形とされている)のものに交換している。当初ク2751は名鉄時代と同じブリル27MCB2のままだったが、後にTR64に交換された。
車端部にあった転換クロスシートを移設し、豊橋鉄道では初となる転換クロスシート車となった。
1990年には名鉄ではついに行われなかった冷房改造も施工し、同時に低運転台に改造され3700系に近い外観になった。
1997年の渥美線昇圧まで活躍を続けた。