概要
秦の宮廷に仕える宮女。同じく宮女で3歳上の陽は良き友人である。
元は田舎の貧しい商人の娘で、宮女の中では地味な顔立ちをしておりそこまで器量の良い方ではないらしいが、本心から嬴政のことを慕っている。
何度も夜伽で政の相手を務めているが、実は長い間政が書を読むための時間を作ったり、話し相手になったりしているだけのことが多かった。
これについては、当時は互いに歳が10代半ばを過ぎていなかったこと、更に向は政より年下のためまだ12、3歳前後で子を産むには身体が未完成だったこともあり、男女の営みをするには早く、時機を待っている故だったと考えられる。
性格は内気で大人しいが、愛する政のためなら献身を厭わず健気に尽くす。一方で時に周囲が驚くほどの胆力を見せ、政争に明け暮れる政の支えとなった。
呂不韋との争いで彼が母・太后の密通スキャンダルに気付いたのも彼女の功績である(しかもこの時、護衛の宦官に壁越しから腹部へ剣を刺されているが、悲鳴を漏らさないどころか剣先に自分の血が残らないように着物で抑えながら剣を引き抜くことで誰にも気付かれずにその場を脱出するという超人的忍耐力と思慮を発揮した)。
向は実母でありながら政に冷酷な太后に反感を持っており、後に反乱鎮圧後の刑場で自己憐憫染みた恨み言を放つ彼女に、「不義の子らに向ける愛情を何故嬴政に向けられなかったのか」と、同じ母として怒りを露わにした。
涙脆いのか、作中では何かある度に涙腺を崩壊させている。
後に漸く政の手が付き、政の娘、即ち王女である麗を出産。母親としての自覚に目覚め、後宮侵攻時は必ず麗を守り抜くと誓った。