概要
『地面師たち』は、新庄耕の小説。2017年の「積水ハウス地面師詐欺事件」を下地として土地の所有者になりすまして売却をもちかけ、多額の代金をだまし取る不動産をめぐる詐欺を行う「地面師」の犯罪を描く。
2024年7月にNetflixオリジナル作品として映像化。
監督・脚本は大根仁が務める。
そもそも地面師とは...?
タイトルに書いている「地面師」とは土地の所有者になりすまして、売り手側に土地を売却し、多額の代金をだまし取る詐欺師のこと。手口は偽造された書類や身分証明を用いて、土地取引を不正に行う。地面師の起源は第二次世界大戦後の日本に遡る。この時期、都市部の登記所を含む役所が被災して書類が焼失し、不動産の所有権や登記の確認が難しくなってしまい更には、戦後の混乱期では社会情勢や役所内の混乱が重なり、不動産の取引情報が確実に管理されない状況が生じてしまった。以上の背景から、土地所有者の情報を偽造しやすい環境が生まれ、地面師の手口が広まりまってしまう。1980年代後半から1990年代初期のバブル経済時代には、土地価格の高騰に伴い、地面師による不動産詐欺が再び増加した。現在は沈静化し、登記簿や印鑑証明など権利関係の移転に必須な、書類の電子化が進み、他人へのなりすましはより困難になってきている。
2010年代半ば頃より、東京都内において、東京オリンピック開催を機に地価が上昇し、管理の行き届かない土地や所有者側の事情で表面化しにくい土地を中心に、地面師による被害が発生している。
登場人物
地面師グループ
- 辻本拓海(演:綾野剛)
真面目なサラリーマン風の風貌で交渉役として活躍する地面師。地面師をする以前は高級デリヘルの送迎ドライバーをしていたが、仕事中のトラブルをきっかけにハリソン山中と接触する。かつては横浜で父が経営している小さな不動産会社で営業として働いていたが、自身が成立させた取引で地面師詐欺に遭い、会社は倒産。父が辻本が留守中に放火による一家心中を図り、母親と妻と幼い息子を亡くす。火災から生き延びた父は、千葉刑務所で刑に服している。
- ハリソン山中(演:豊川悦司)
地面師集団のリーダー。元暴力団幹部。1980年代後半のバブルで地上げ屋として名を馳せ、地面師詐欺集団を束ねて大規模な不動産詐欺を複数仕掛けた。バブル崩壊後、一度は実刑判決を受けて出所後は鳴りを潜めていたが、ITバブルを機に再び動き出した。英語が堪能で趣味はハンティング。ワインやウイスキーなど高級酒にも精通している。誰に対しても敬語で話すという紳士的な性格だが、猟奇趣味を楽しむ一面もある。
- 後藤(演:ピエール瀧)
元司法書士でそれ以外にも複数の不動産関係の資格を持つ法律屋。法律の知識を活かし、買い手との交渉や仲介を担当する。関西弁を話し、口が達者で高圧的な性格。妻子持ち。山下や陣内など複数の偽名を名乗るが、本名は後藤義雄。
口癖は「もうええでしょう」。
- 麗子(演:小池栄子)
手配師。地主などに成り済ます人物のキャスティングを担当。身寄りがなく、目先の金に困っている曰くつきの老人を常に数十人ストックしている。地主の経歴などを覚えさせる教育担当でもある。本名は稲葉麗子。
- 竹下(演:北村一輝)
土地や物件の情報を仕入れ、地主の情報のリサーチ・土地価格の評定などをする情報屋。重度の薬物中毒者。オロチを下っ端としてこき使っており、横柄な性格。分け前について不満を抱いている。