概要
CV.佐山森
女性のような細面と、丁寧で物静かな態度が印象的な剣士。
人目を惹く程度に麗しい外見であるが、口を開いて語る言葉は毒が利いてて初対面の覇吐の度肝を抜くほど。
しかし悪気があるわけでなく、単に遠慮がないというだけのこと。基本的に柔らかな物腰をしており、体面だけなら口調も相まって東征軍の中でも良心的に感じられる。
ただし、それはあくまで外見であって中身ではなく、裏腹という言葉がこれ以上なく合致するほど本質との差異がある。強者と戦って斬り捨てることしか興味がなく、人に限らずあらゆるものを斬れるか斬れないかでしか判断しない。目指す先は日ノ本最強の剣士。即ち、自分以外の者を全て斬り殺して自らの最強を証明すること。自分自身の絶対性を証明するという自己愛、そして全てを殺すという波旬のそれに通じる滅尽滅相の渇望を持つ典型的な天狗道の人間である。その称号を手にするため、今回の東征に参加した。
求道者として極まってはいるものの、ただ一つの弱点として女性の色気に哀れなほど免疫がない。そのため、あけっぴろげな紫織が苦手である。
戦闘スタイル
肉体面の剛化がなおざりであり、気功で強化されてなければ、歪みで異形と化してもいない、再生もしない、直撃を一度くらうだけで瀕死になる。それでも並みの人間なら立つことさえ出来ないほどの怪我と消耗を抱えながら戦うことはできる。
殺し合いにおける嗅覚が群を抜いており、総合力で上位の者でも戦って死傷を避けることは難しい、逆に宗次郎を殺すことも難しい。
真に恐るべきところは別にあり、宗次郎の剣は殺気の塊だからこそ意が読めない。放射している殺気の密度が常軌を逸して濃すぎるため、攻撃に伴う意が消されている。達人になればなるほど重要になる読み合いが、宗次郎にはまったく通用しない。また、体裁き、虚実のずらし、刹那の単位で死角へ滑り込む視線誘導の技と魔的な勘、洞察力――それら総てを動員して、相手の視線を躱して、肩が触れ合うほどの間合いにいるのに、自分の位置を特定させなくできる。
東征軍の中では紫織と双璧を成す武闘派であり、攻撃という事象のみでみれば登場人物随一のアタッカー。
太極
経津主神・布都御魂剣(ふつぬし・ふつのみたまのけん)。
自身の渇望である「最強の刃でありたい」という、利己的な想いから端を発する、求道型の極地。
これが及ぼす力は単純明快、己自身を刃という単体宇宙へと変生させる太極であり、刃と化した宗次郎に斬れないものはない。
詠唱
ひ ふ み よ い む な や ここの たり
壱 弐 参 肆 伍 陸 漆 捌 玖 拾
ふるべ ゆらゆらと ふるべ
布留部 由良由良止 布留部
いわく このひとつぎをもってわがうるわしきなにものみことにかえつるかな
曰く この一児をもって我が麗しき妹に替えつるかな
すなわち、まくらへにはらばい、あとへにはらばいてなきいさちかなしびたまう
すなわち 頭辺に腹這い 脚辺に腹這いて泣きいさち悲しびたまう
そのなみだおちてかみとなる これすなわち うねのこのもとにますかみなり
その涙落ちて神となる これすなわち 畝丘の樹下にます神なり
ついにはかせるとつかのつるぎをぬきはなち
ついに佩かせる十握劍を抜き放ち
かぐつちをきりてみきだになすや
軻遇突智を斬りて三段に成すや
これおのおのかみとなる
これ各々神と成る
つるぎのやいばよりしたたるち これあまのやすのかはらにあるいほついはむら わがそなり
劍の刃より滴る血 これ天安河辺にある五百個磐石 我が祖なり
うたえ うたえ ざんじんのかぐら ほかにねがうものなどなにもない
謡え 詠え 斬神の神楽 他に願うものなど何もない
おとめらが そでふるやまの みずがきの ひさしきときゆ おもいきわれは
未通女等之 袖振山乃 水垣之 久時従 憶寸吾者
やえがき・さじのかみ・おろちのあらまさ――かみよさんけん、
八重垣・佐士神・蛇之麁正――神代三剣、
もってすべるいそがみのかぜ しょよおんてきかいしつざいめつ
もって統べる石上の颶風 諸余怨敵皆悉摧滅
――太・極――
神咒神威――経津主・布都御魂剣
(かじりかむい――ふつぬし・ふつのみたまのけん)