天空璋
てんくうしょう
日本語での『天空璋』に関する略称としてはこの呼称が多用される。
作品番号を通した略称としては「 TH16 」。
pixivのタグとしても本作で略称で表現する際は『天空璋』の称が用いられている。
『天空璋』については『東方外來韋編』(肆。vol.4)において原作者のZUNが対談インタビュー形式で語っており、個々のキャラクターや作品のバックボーン、テーマ、制作時の回想など本作と本作周辺の様々な要素について語られている。
『天空璋』というタイトル名にも関連して、発表前のファンの動向としては、東方Projectのファンの間では新作制作の発表があった時、作中にどんなキャラクターが登場するか、主人公(自機)は誰になるかという想像の他に「既存の登場キャラクターが新作に登場するか」という想像もなされることもある。
本作ではその制作発表以後『天空璋』というタイトルから製品版頒布前には比那名居天子など「天」にまつわる存在の参加や、霊烏路空や寅丸星など名前にタイトル名とも共通する語(星の場合は『天空璋』英字タイトルにみる「 Hidden Star 」の意味と「璋」の音との共通)を持つキャラクターの参加が想像された。
また作中で「四季」が表象的なテーマの一つとして登場しているとされたことから二次創作でも季節に関連して想像されることのあるキャラクター(例えば「秋」であれば秋静葉と秋穣子の両名、「冬」であればレティ・ホワイトロック)など)の登場も想像された。
先述の天子は「天」の文字の他にも『東方緋想天』にみる気候の変動として発現した影響力の様からも、「四季の異変」が描かれる『天空璋』との関係性も想像されるなどしていた。
実際の『天空璋』では「春」に関連して春を告げる妖精であるリリーホワイトが登場している。
この他「四季」の名を持つ四季映姫・ヤマザナドゥの登場も想像されていた。
この内四季映姫については後にZUNは『天空璋』は『東方花映塚』(四季映姫初登場作品)との間に「それっぽさ」といった程度ながらも結びつきはあるとしている(『外來韋編』)。
本作は先述の通り『東方天空璋』であるが、そのタイトル名自体は『外來韋編』でのZUNの回想によれば様々な案があった。
「天空障」
ZUNによれば本作タイトルは当初では「天空障」であり、これは作中に登場する「 障碍神 」としての側面も持つ摩多羅隠岐奈に由来するものだった。「障」の文字による作品ロゴもつくられたが、「 どうにも微妙だった 」ため「璋」の文字に変更されたという経緯がある。
「璋」自体は古代中国にておいて天子(王、帝王)が諸侯に与えた、各種領地領土のしるしである玉(ヒスイ)器の「圭」を縦に半分に割ったもの。謁見の際などにこの半分を持参した。
その由来から、訓読みでは「たま」や「ひしゃく」となる。
『外來韋編』ではインタビュアーによってこの「璋」にみる柄杓(ひしゃく)としての性質がその形状から「天の柄杓」と例えられる北斗七星を指すものでもあるのではとされ、結果的に隠岐奈の原典である摩多羅神における北斗七星とも結びつくものとなっているのではともされている。
日光山輪王寺所蔵の図像における摩多羅神の頭上には北斗七星が描かれている。
隠岐奈自身もまた自らの神格の一つに「 星神 」(星や星座の神)を挙げており、天空彼方に輝く星々もまた自らの関わるところであるとしている。
ZUNによれば、『天空璋』は当初「 本編をもう一周しないと Extra に行けない 」という構想がなされていた。実際の『天空璋』では第五の季節として「土用」がExtra専用のものとして登場するが、構想時点では「土用」は本編で解放されるものであった。構想では一周目では最後に季節装備が奪われ、二周目は奪われることなく、そしてExtraに物語が繋がり、真エンディングへの道も初めて開かれる、といったもので、「土用」自体の解放条件も作中で登場する春から冬までの四種類のすべての季節装備でのクリア(「装備の進行度」の管理)が前提となるなど、ゲーム面でも制作面でもかなりハードな想定であった。
ZUNは、この展開の場合はおそらくExtraで登場するのは隠岐奈ではなく、別の新たなキャラクターであっただろうともしている。
また「 Extra のあとにもう一回エンディングがあるのも良かったかもしれない 」とも語っており、「 もうちょっと時間があれば 」、『天空璋』の物語はさらなる拡張をみていた可能性もあったことも語られている。