概要
「宅地建物取引士」とその試験を意味する略称である。
宅地建物取引士とは公正で円滑な不動産取引を遂行する専門家。国家資格。宅建士とも。
不動産取引の際の権利関係、物件の状態などの重要事項説明などを行う。というか、そういった説明は宅建士にしか許されていない業務。重要事項説明書(35条書面)や37条書面への記名押印に必要な資格でもある。
そのため不動産系の企業の社員は取ることを奨励されている。
また、何となく資格が欲しい大学生などが受けることが多い。実際、手頃な資格なので暇な人や何か勉強したい人はチャレンジしてみると良いのではないだろうか。
実際4ヶ月〜1年くらいで受かると一般的に言われる。(そんなにかかるか?)
本記事を読むだけでも試験対策ができる。執筆者はなんと賢く優しい人間なのだろうか。
試験形式
受験資格
年齢、性別、学歴など関係なし。この辺は大卒資格や業務経験を求める国家資格が多い中、優しい。
受験時期
7月に郵送またはネットで申し込み。毎年例年10月の第三日曜日に行われる、1年に1回の勝負。
受験料
7000円。資格試験としては安めかも。
受験地
原則として受験者が住んでいる都道府県の会場。大都市でしか行われない国家資格試験もあるので、これは嬉しい。
試験内容
マークシート四択。13時〜15時までの2時間。出題数は50問。
こういう、形式が決まっているテストというものは対策しやすくて良いものだ。
但し、1問辺りにかけられる平均時間が、120分÷50問=2分24秒と短く、時間配分も重要である。
合格発表は11月とか12月とかそのへん。
出題分野一覧
①【形質】 土地の形質、地積、地目、種別、および建物の形質、構造、種別に関する法令知識
②【権利】 土地および建物についての権利及び権利の変動に関する法令知識
③【制限】 土地および建物についての法令上の制限に関する法令知識
④【税】 宅地及び建物についての税に関する法令知識
⑤【需要】 宅地及び建物の需要に関する法令及び実務知識
⑥【評定】 宅地及び建物の価格の評定に関する知識
⑦【取引】 宅地建物取引業法及び同法の関係法令に関する知識
では、概要を確認したところで、各分野について学んでいこう。
「」内のキーワードを追うことで覚えていける。
②【権利】
土地および建物についての権利及び権利の変動に関する法令知識
「制限行為能力者」:未成年、成年被後見人、被保佐人、被補助人
判断能力が低いため、不動産に関する行為能力が制限されている人たち。
成年被後見人、被保佐人、被補助人とは精神障害などで判断力が十分じゃない人のこと。
成年被後見人……判断力 ほぼゼロ
被保佐人……判断力 極小さい
被補助人……判断力 小さい
ちなみに未成年は最近じゃ18歳未満なので注意。
「法定代理人」:制限行為能力者をサポートする 親権者(要は親)と未成年後見人のこと
取消権、同意権、追認権、代理権の四つを持つ
取消権……未成年単独の契約を取り消す
同意権……未成年の契約に同意して取り消せないようにする
追認権……未成年ん単独の契約を後から承諾する
代理権……未成年の契約を代行する
法定代理人が絡んだ契約は正式なものなので、取り消せない。
「意思表示と取り消し」:意思表示しないと契約は成立しない
しかし、詐欺や脅迫、錯誤(勘違い)による意思表示は取り消せる
「善意と悪意」:真意を知っているかどうかで契約は変わる
契約におけるキーワード
善意……相手の真意や事情を知らなかったという意味
善意有過失……うっかり知らなかった
善意無過失……知らなかったことに落ち度がない
悪意……相手の真意や事情を知っているという意味
例えば、B氏がA氏を騙して取得した土地だと知りつつそれをC氏が買った場合、
Cは「悪意の第三者」である →契約を取り消せる
仮にC氏がそれを知らなかった場合は善意無過失の第三者
「虚偽表示・心裡留保」:嘘や冗談で契約した場合
虚偽表示……相手型と示し合わせて嘘の意思表示をする 無効になる
心裡留保……冗談で行った意思表示 なんと有効になるので注意
ただし、相手方が悪意または善意有過失の場合は無効
冗談は、それを知らずに相手が真に受けた場合 その両者で契約成立してしまうのだ
これらの行為は帰責性が高い=悪性が高い と言われるため、その取引の第三者は保護されやすい
「代理」:本人に代わって意思表示
代理人と取引する人を相手方と言う
法定代理……本人の意思ではなく法律により代理 未成年者の親権者など
任意代理……本人の意思による
任意権の授与、顕名、代理行為の三つの工程が必要
無権代理……代理権がないのに代理したりすること
本人は追認して契約効果を自分に帰属させることができる
「相続」:相続には順番がある
相続人(相続する人)は
配偶者(妻か夫) →子供 →いなければ直系尊属(父母、祖父母) →いなければ兄弟姉妹
配偶者は常に相続人
金銭や不動産といったプラスの権利(債権)だけでなく、後者の義務(債務)といったネガティブな義務(債務)も受け継ぐので注意
そして、遺産を家族以外に寄付することもできるが、基本的には相続人に「遺留分」として1/2を保障される
「遺言」:自分の死後、財産を誰に与えるのか書き残す
法律の場合は呼び方は「いごん」
自筆証書遺言……遺言者がアナログで自筆で書き押印した遺言のこと
公正証書遺言……公証人と役場で作成してもらう遺言のこと
「物件と物件変動」:物を支配する権利の話
所有権だけでなく、物を「担保」にする抵当権なども含まれる
所有権・占有権・抵当権・地役権など
全て法律で決められている=物件法定主義
土地の売買契約など、土地の主有権などを「物件移動」と言う
売買契約で1つの土地に対して2人の買主が争うことを「二重譲渡」による「対抗関係」となる
この場合、先に登記した者が所有権を主張できる
ただし「背信的悪意者」という、その人を困らせるために同じ不動産を買って登記を済ませたケースなどには登記がなくても対抗できる 他にも色々対抗できるケースあり
「登記記録」:土地や建物には登記記録というそれぞれデータがある
登記記録には
「表題部」:所在地や面積といった表示に関する事項 所在地や面積みたいな基本情報
「権利部」:甲:所有権に関する事項 所有権を得た時期
乙:所有権以外の権利に関する事項 抵当権、地上権など
また、登記は登記義務者(売る人)と登記権利者(買う人)が共同で行わなければいけない
単独申請できるケースもあるけど 所有権保存登記とか一定の場合の仮登記とか
登記は色々な申請方法がある
「仮登記」:抑えの登記
A氏から「〜年後に土地を売るよ」と言われたB氏が第三者に土地を購入されないように仮で登記を行うケースにある
対抗力はないが、本登記の順位が保全する効力がある
また本登記と同じく原則として共同で行う
第一号仮登記登記……登記ができない 書類が揃わない時に行う
第二号仮登記登記……上記のような、順位保全のために行う