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概要

ゲーム「文豪とアルケミスト」に関する腐向けカップリングタグの1つで、「坂口安吾(文豪とアルケミスト)」「江戸川乱歩(文豪とアルケミスト)」の両者に関するカップリングである。なお、漫画「文豪失格」に登場する「坂口安吾(文豪失格)」「江戸川乱歩(文豪失格)」のカップリングとしては使用例が少ないため割愛する。

イベント「坂口安吾に関する研究」で坂口が実装(転生)される際、同時に江戸川に特殊台詞が実装されていた。坂口について良いことを言うキャラクターがあまりいない中、「大胆不敵」と好意的とも取れる趣旨の内容であった。また、江戸川が坂口宛てで手紙を出しており、新作の小説を手紙に先んじて送ったことが記されている。

史実における2人の関係

坂口側からの記述

坂口が江戸川について書いた物は多くないが、探偵小説について書いた幾つかの文章の中で「日本の探偵小説家として類まれな論理的思考を持つ作家で批評や初期の作品にその資質が見えるのだが、職業作家として多作を強いられ、怪奇に走った(但し編集者の責任が大きいと補足あり)」「大勉強家で古今東西の探偵小説に通じている」とあるのが見える。また、犯人当てをしたら自分では太刀打ちできないのではないかともある(その割りに挑戦状を叩きつけたりしているが)。

小説『不連続殺人事件』を執筆した際には名指しで回答を求めており、江戸川が「自分達の中で犯人当てが上手いのは角田さん(角田喜久雄)だ」と推薦するや、角田喜久雄を回答を求める相手に加えていたりと滅茶苦茶動向を気にしている。

高木彬光の『刺青殺人事件(しせいさつじんじけん)』を江戸川が講評した際には「江戸川君の批評はまるで逆」と批判している。なお、高木は坂口の死後、未完作であった『復員殺人事件』の執筆を引き継いだ人物であり、執筆にあたっては江戸川が坂口の奥さんに許可を取ったうえで、江戸川が編集を引き継ぐことになった推理小説雑誌「宝石」に掲載された。

江戸川側からの記述

坂口は江戸川よりも十年早く亡くなっており、江戸川は坂口についての思い出を長く書いている。それによると、「新小説」という雑誌の座談会に伊藤整山岡荘八らと共に出席したのが出会いであり、それが縁で探偵作家クラブの「土曜会」(あまりにも江戸川を訪問する若手作家や出版関係者が増えたので曜日を決めた会となった)に出席するようになったとある。

座談会そのものでは江戸川は饒舌に話す一方で坂口は無口であり、短い発言を七、八回しただけだったらしい。その中でも、江戸川は坂口が探偵小説好きと知り、探偵小説執筆を勧めたところ「探偵小説を書く、読者に犯人当てっこをしてもらう」とはっきり言ったとのことである。その座談会が発表された直後に『不連続殺人事件』(以下『不連続~』と表記)の連載が開始された。

坂口は『不連続~』連載前に江戸川の主催する「土曜会」に顔を出しているが、江戸川が「こういう人が探偵小説を書いてくれれば探偵文壇が賑やかになっていいと思ったので土曜会に誘い、友達になろうとした」という意図を持っていたのに反して親しみを見せることもなく呑みに誘っても乗ってこなかった。そのため、江戸川は「一種の敵情視察だったのかもしれない、もしくは私の性格の一部に興味を持って会ってみたけど平凡で幻滅したのかもしれない」とか「振られたような気持ちで、仲良くなれないと思って引き下がった」というようなことを述べている。

『不連続~』について、名指しで回答を求められていたことは知っていたが、第一回を読んでちょっと期待外れと感じ、二回、三回と進んで読む気になれなくなって置いていたのを、完結したと聞いて読んだところ「嫌だなと思っていた登場人物の不倫乱行が意味のあることだと知って感心した」などと、長文の賛辞を推理小説雑誌「宝石」上で発表した。(なお、本稿は「宝石」紙上で発表されるよりも先に当時江戸川が会長を務めていた探偵作家クラブの昭和23年9月発行の会報16号に掲載されている。『不連続~』の紙面上での連載終了が昭和23年8月であることから、江戸川は『不連続~』読了後すぐにこの長文を認めたと推測される)その賛辞について、褒め過ぎではないかと意見されたこともあったそうだが、「当時の自分の本当の感想であり、今でも間違っていたとは思っていない」と言い切っている。

また、その年度の探偵作家クラブ賞の長篇賞を『不連続~』が受賞することになったのも、江戸川がそれを主張し、多数決で認められたからである。ただし坂口は授賞式に出席せず、江戸川は「探偵作家などから賞をもらうのを嫌がっているのか」と考えたらしい。また、クラブ賞の賞品である銀製の酒盃と金二万円(江戸川自身は一万円程度と記述)を幹事が届けたところ、坂口はクラブに寄附(または土曜会の講演費として寄附)すると突き返した。そこでクラブでは賞金を坂口の終身会費ということにしてしまったため、坂口はその後一度も会に出席しない「探偵作家クラブ」会員ということになった。江戸川は、私情はともかく、坂口のような人は後にも先にもいない、彼の死は探偵小説のためにも惜しまれることであると思い出を結んでいる。

なお、坂口が『刺青殺人事件』の江戸川の評を批評した件については、「意見の相違だからあとは読者の判断に任せる」としている(坂口はパズルゲーム的な推理を好み、江戸川はもっと広義に「探偵する」ということに意味を見出すタイプという点で着目点が違うのは道理である)が、島田一男の『古墳殺人事件』についての評(こんなもの読ませて金払ってほしいくらいだ、読むのが恥ずかしいなどと坂口は述べている)については、「探偵小説に寄与するところのない、評された人だけでなく批評者自身も傷つける文章だから良くないよ」とちくりと釘を刺している。

賞をあげたけれど授賞式にも来なくて賞金も突き返されてしまった、探偵作家などから賞をもらうのは嫌だったのだろうか、ということを江戸川が坂口の思い出として書いたところ、評論家の大井広介(雑誌「現代文学」で坂口と同人であり、戦中に何も書けないときに犯人当てっこをした仲間であり、坂口は彼について文章を書いているが、後に大喧嘩している)から「それは事実に反している」という旨の葉書が江戸川の元に届く。それによると、「坂口は賞の受賞を無邪気に喜び、大得意で、探偵小説を書いて探偵小説賞をもらったのを自分に自慢してきました。式に出席しなかったのは、彼は意外に照れ屋だったので照れたのだと思います。探偵小説賞以外もらったことがなかったので照れるのも仕方のないことです、貴方の思い過ごしです」ということであった。

江戸川は坂口の葬儀には参列していないが、檀一雄らが「安吾忌」を定め、一周忌の会をする際に招待されている。その招待に応じた江戸川は、坂口の奥さんと知り合うことになった。奥さんが銀座にバーを開くとそこに通うようになり、奥さんと親しくなった江戸川は毎年の安吾忌に必ず出席し、坂口の奥さんと子息が江戸川の新年会に参加し、と本人抜きで家族ぐるみの付き合いをしている。 坂口の子息については「顔も体つきも気質も坂口君そっくりで前途有望に思える」と述べていた。

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