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小さな王子

ちいさなおうじ

小さな王子とは、ゲーム『Lobotomy Corporation』に登場するアブノーマリティの一種である。
目次 [非表示]

これが私の呪いであっても、私はこの呪いを祝福として愛するだろう。

(Even if this turns to be a curse, I will love this curse like a blessing.)

概要編集

小さな王子(The Little Prince)とは、濃い青と紫色のキノコのような姿をしたアブノーマリティ(幻想体)である。


分類はO-04-66,危険度はWAW。


職員たちからは、「巨大なキノコ」とも言われるアブノーマリティで、その評判に漏れず青黒いデカいキノコといった外見。

ただそれだけではなく、大きな青色の傘、紫色のリング、赤い指を持つ青い手が垂れ下がった二本の枝が付いているのが特徴。


待機中の収容室にカメラを近づけると、「キン、キン、キン、キン……」といった透き通った金属音を聞くことも特徴。


管理方法編集

作業時編集

属性ダメージE-Boxes悪い普通良い
BLACK3-4120-89-1516-24

職員ランク本能洞察愛着抑圧
1最低低い最低最低
2最低低い最低最低
3普通低い普通普通
4普通普通普通普通
5普通普通普通普通

クリフォトカウンター:2

特殊能力編集

小さな王子は、二つの特殊能力を保有する。


1.クリフォトカウンターが0になると発動する。

クリフォトカウンターは以下の影響で減少する(初期値/最大値2)


1.洞察以外の作業を3回以上で行う(洞察作業を行えば作業カウントはリセット)

2.作業結果が悪い


この特殊能力が発動すると、施設内にいるランダムな職員三名が魅了状態になり、収容室に引き寄せる。

いずれか一名が収容室に到達すると②の特殊能力が発動する。②が発動するか、魅了を全て解除するとカウンターは2に回復。

魅了状態になった職員は、顔に青い胞子が付着している。連続してクリックすることで速度を低下させ、最終的に魅了状態を解除できる。


2.以下の条件のいずれかを満たすと特殊能力が発動する。


1.①の効果で魅了された職員が収容室に入る

2.1日の間に任意のエージェントが小さな王子に対して作業を合計して5回行う


この特殊能力が発動すると、入室したエージェントが「小さな王子-1」というアブノーマリティ(もしくは、眷属)に変貌して死亡。

そして脱走する。


EGO編集

武器編集

名称ランク属性ダメージ攻撃速度射程
胞子WAWBLACK8-16高速普通

特殊能力:

1.攻撃を受けた対象に、25%の確率でWHITE属性に弱くなる効果を与える。(3秒間、受けるWHITEダメージを1.5倍にするデバフ)

防具編集

名称ランクREDWHITEBLACKPALE
胞子WAW耐性(0.8)耐性(0.6)弱点(1.2)弱点(1.2)

特殊能力:なし

ギフト編集

名称:胞子

部位:手

効果:MPが5、作業速度・作業成功率が2上昇


ストーリー編集

小さな王子は裸眼でも確認できるレベルの濃度の胞子を大気中に放出・充満させている。

一体全体、この胞子はなんなのか……収容当初では判断が及ばなかった他、小さな王子自身の見た目も好まれてるとはとても言えなかった。

結果として、大多数の職員がこのアブノーマリティを嫌悪している。


というわけなので、このアブノーマリティの観察を申し出る職員はごく少数だった、とのこと(少し前から、「魔法少女たちの事件」と呼ばれるものが起きてから、職員の意見が業務に反映されるようになった)。


で、色々ないざこざと長い期間を経てようやく得られたアブノーマリティの情報としては、この胞子は呼吸器系を介して他の生物に侵入する。一定数吸引してしまうと、まず身体中に腫瘍が発達し始めて、最終的には原型を留めぬ、青い腫瘍の塊の化け物と成り下がってしまう。

この段階になると、目に映るもの全てを攻撃するようになる。


……当然、脱走して敵対存在となったアブノーマリティは、鎮圧するのがロボトミー社の厳令である。それがたとえ、元職員であっても。


ただの、寂しがりやだったとしても。


カウンセリング・セッション記録-ジョン-編集

これは、「ある事件」の後にカウンセリングを受けた職員ジョンの会話記録である。

「ある事件」の被害及び鎮圧を担当した職員だったため、恐らくアフターフォローとしてカウンセリングを受けた。

それが記録までされるということは、このアブノーマリティの本質を如何に表しているかの重要な資料となりえたからだろう。


まず記録は、ジョンが重要な関連性を持つとされる「ある職員」のことについて語るところから始まる。


「本当に無口な男だった。アイツは、俺達が話しかけるのを期待しているように、横目で見ているような男だった。」


「そう、あいつは変なところがあった。あいつがキノコの作業を志願してたが、あの不快なキノコのどこがいいのか全くわからなかった。あいつがキノコの収容室で異常に長い時間を過ごすことも不穏の種だった。収容室からどんな恐ろしい物を持ちだしてくるか、誰に分かるっていうんだ?」


ジョンによると、件の職員は無口な男だが、その実、結構寂しがり屋だったのかもしれない。ジョン達が話しかけるのを期待していたところがあるようだ。


それだけならまだいいが、なんと件の職員は嫌われている筈の「小さな王子」……巨大なキノコの作業に志願したのだという。

しかも、その収容室の中で長い時間を過ごしていて……ああもうこれ、[[SCP>

SCP_Foundation]]で言うならもう完全にダメな奴だよ。

この時点で嫌な予感しかしないが、次に進めることにする。


「キノコと友人になったなんて馬鹿げた話をした時に、あいつもついにおかしくなったと思ったもんだ。けど、それはよくあることだ。いろんな事がここじゃ起きる。どっかの職員が狂っているなんてのは大したことじゃあない。精神鑑定を受けるようそれとなく言ったが、あいつは見下したような表情をするだけだった。それはまるで俺達の知らない何かを知っているかのようにも感じた。」


キノコと友人になってしまった件の職員君。でも、ロボトミーではよくあることだと思い、ジョンは精神鑑定を受けるよう言う。

しかし、それに対し彼は見下したような態度を取った。……ただ気が狂ったにしては様子が妙だが……?


「数日後、皆が知っているように、あいつは逝っちまった。アレはあいつだったと言ったっけか?アレの額のあざ。もしその傷跡を見つけられなかったら、アレがあいつだと思わなかっただろう。俺を除いて、誰もあざがあることは知らなかった。何しろ、あいつには友人がいなかったから。」


……嫌な予感、的中。彼は、キノコの影響で怪物に変貌してしまい、そして他の職員によって鎮圧されてしまった。だが、ジョンだけは、その怪物が件の職員であることに気がついた。額にあざがあったのを知っていたのはジョンだけ……となると、友人とまではいかないまでも、全職員の中で彼と一番交流があったのはジョンなのだろう。


「バケモノになった後のあいつは、巨大なキノコの収容室の周りをうろつくばかりだった。あいつは目のに映るすべてを攻撃したので、俺達は人のいない場所にあいつを誘い込もうとした。だが、あいつは死の瞬間まで、その場から10メートルも離れなかった。」


「だから俺達はアブノーマリティの呼び名を変えることにした。キノコと友人になったことの同情、そしてあいつの悲劇的な死を追悼する入り混じった理由で。」


「キノコと友人になった」……この言葉に、嘘偽りはなかったのだろう。少なくとも、彼の中では。

化け物にされた後も彼は、キノコのアブノーマリティを、自分の一番の友人だと思いこんで守ろうとした。

自分が殺される最期の瞬間まで。

そして、キノコのアブノーマリティは、この事件の真の犠牲者たる彼に対する追悼の意味合いを兼ねて、「小さな王子」と名前が変更された。

人にとって一番大切な、目に見えないものすらも、自らの道具としてしまう小さな王子として。


「あいつはいつも友人は必要ないと言っていたが、俺はそれが嘘だとを知っていた。

あいつには友人が必要だった。

それがあいつが感染して幻覚でおかしくなり、バケモノになっていることを知らなかった理由だ。

キノコは繁殖の道具にするために哀れなあいつを手懐けた。

誰も名前が分からなかった、アレックスを……」


アレックス。それが件の職員の名前。

……カウンセリングの場でこのようなことを吐露しているということは、ジョンも後悔しているのだろう。

何故、アレックスともっと早く友人になってあげられなかったのか、と……。


<職員アレックスのメモ書き>編集

これは、小さな王子の眷属となって死亡してしまったアレックスが遺していたメモ書きだ。これも、小さな王子を知る上で重要な情報なのだろう。以下から、中略を挟みながらも列挙していく。


「人の心は余りにも儚い。ゆえに人はありのままを表わすことができないものです。

シャコには人間が見ることのできない何百もの色を見ることができることをご存知ですか?

これは、見えるものだけを信じて判断することが有害であるという私の主張を説明する簡単な例です。」


「確かに、私には友人が多くありません。

誤解しないでいただきたいのですが、私は友人を「作れない」のではなく「作らない」のです。

私達は、人間として、互いを理解していません。

人は自分自身を完全に孤立した存在とみなしすため、他者の完全な理解は不可能になっています。

しかし、皮肉なことに、進化の過程で群衆心理の本能は受け継がれてきました。

決して理解できないのに理解しようとする矛盾した行動をアピールする。

そんなお互いの領域を守ったままのきわどい綱渡り遊びを人間は繰り返しています。」


自分と他者は、決して理解し合うことができない。

なのに、人々は相手のことを分かったふりをする。それは相手は同じで、相手も自分のことを分かったふりをする。

いつ均衡が崩れるか分からない、人と人との欺瞞で満ちた関係。


「私はこの意味ない遊びに早くも飽きてしまいました。

それが私が巨大なキノコの観察を志願した理由です。

誰もそのアブノーマリティに近づきたがりませんでした。

それが、彼らの目にどれほど不快で異質な外見に映っているかは些細な問題でしかありません。

事実、私が仕事をすると言ったときに、皆が私に驚いたことに優越感を覚えました。」


……しかし、いや、だからこそアレックスは、小さな王子に近づいた。彼は、人と関係を築くことに飽きてしまった。

だから、人でなければいいじゃないかと、小さな王子と交流を始めてしまったのだ。

「友人」ではなく、「友達」を作ることを目的として。

寂しがりやで、哀れな彼は……人以外に救いを求めてしまった。


この後の記述は、彼がどう小さな王子を観察していったかについてなので、少し中略させて頂く。

で、その結果どうなったかというと、


「私は彼に近づきたかった。彼の一部になりたかった。」

「私は常に彼のことを考えていて、彼の収容室に入ることを心待ちにしていた。」

「私は彼に帰属していたかった、彼の世界を理解したかった……」

「私の心は開花する前のつぼみのようで……」

「私はゆっくりと飼い慣らされて……」


皮肉なことに、彼自身がそう感じたように……小さな王子に飼いならされてしまっていた。


余談編集

・「小さな王子」の元ネタは、大人が読む児童書とも言われる「星の王子さま」の王子。ストーリーの他に、小さな王子のフレーバーテキストに「キツネは言いました。『一番重要なことは見ることができないんだよ。』」というものがあるのでほぼ確実だと思われる。

Lobotomy Corporationの開発元であるProject Moonによると、小さな王子は宇宙から来たアブノーマリティであるらしい。

・特殊能力②が発動して小さな王子-1に変形している時、収容室をよく見ると小さな王子が変形している。どうやら、これが真の姿であるようだ。


関連タグ編集

Lobotomy Corporation:登場作品

アブノーマリティ WAW

キノコ 浸食 友達 胸糞

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