概要
『強殖装甲ガイバー』の登場人物。
顎人の実父の兄…つまり顎人の伯父にあたる人物であるが、後述の人物像から権力欲が強く、弟とは良好な関係ではなかった模様。
人物像
本編開始以前からクロノスに所属していたらしく、己の地位を支える手駒を得るために弟の経営する会社を陰謀で倒産に追いやり、その結果多額の負債を背負った弟夫婦(顎人の両親)に対して「甥の顎人を養子に差し出す事を条件に負債を立て替える」という卑劣な人身取引を持ちかけ、事実上息子を人質に取られる形で身内に陥れられた弟夫婦は人生転落した末にこの世を去ってしまった(TVアニメ版では弟夫婦が自宅で首吊り自殺を図っていた他、弟夫婦の使用人であった尾沼与平からは「殺してやりたいほど憎んだ」と恨まれていた)。
もっとも、仮に玄蔵の申し出を拒否した場合は遅かれ早かれ一家揃って共倒れの運命が待っている事から、他に選択肢が無かったとも言える。
それらの経緯から顎人にとっては両親の仇とも呼べる悪党であるが、当の顎人は養子となった後に有能な手駒として育てられながらも玄蔵に対しては「クロノスに踊らされた小物」と内心見下していた。ちなみにOVA版では玄蔵が「力こそ全て」と顎人に言い聞かせていた事が言及されている。
作中の行動
序盤でクロノス日本支部を脱走した実験体の男にユニット・ガイバーを盗まれた事で長年築き上げてきた地位が揺らぎ始め、ガイバーⅠとなった深町晶の活躍や幹部であるオズワルド・A・リスカーの戦死などといったイレギュラーな事態でリヒャルト・ギュオーに責任を追及されて失脚へと追い込まれてしまう。
その後、失態の制裁を兼ねた実験台として試作ゾアノイド・エンザイムに調整されてしまい、クロノス日本支部長としての地位も人間としての人生も失った事で怒りと憎しみでガイバーⅠに襲いかかり、憎悪の感情で圧倒した末にコントロールメタルを奪い取って実質的に晶を一度殺害。直後に自身もギュオーの思念で肉体を爆散させられて死亡した。
実の弟を犠牲にしてまで「力」を手にした男の末路は、より強大な「力」に叩き潰されて破滅するという皮肉なものであったが、更に皮肉だったのは玄蔵のエゴで人生をねじ曲げられた顎人もまた「力」を求める野心家に成り果てるという負の連鎖であろう…。
余談
緒方賢一氏はOVA版で奇しくも玄蔵と因縁のある尾沼与平役を演じていた。
OVA版では失脚する際に「優秀であるはずの日本支部が失態続きなのは指揮官が無能だから(要約)」と糾弾されていたが、その言葉を口にしたギュオーをはじめとする一部の幹部がのちに謀反を起こして結果的にクロノスの足を引っ張ったのが皮肉と言える。