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概要編集

明治三十八年九月一日生マレ。身ノ長五尺九寸(177センチメートルくらい、志磨家の者は男女を問わず高身長)。事故で母・右手の自由・父の期待を失う。17歳(第1話時点)。


実家から半ば追い出される形で千葉の田舎にある別荘でひっそりと暮らしていたが、立花夕月との同棲生活の中で少しずつ生きる希望を取り戻していく。夕月の優しさや明るさに触れれば触れるほど己の存在価値について深く思い悩むが、いつしか彼女に心惹かれていき、本当の妻として側にいてほしいと思うようになる。


元々は心優しい性格であった。実家から追い出され、全てに絶望したことで精神が歪み始めたところに夕月に救われ、元々の性格を徐々に取り戻す。

また、思い立ったが吉日とばかりに行動を起こすと、とてつもない行動力を起こし、判断力が冴えに冴え渡るようになる。特に夕月が絡むと常人のそれを遙かに超えるものとなる。

また、学業もかなり優秀な上、右手のハンデを差し引いても運動能力もなかなか高い。

ただしコミュ障気味。


夕月が実家の手により拉致・監禁状態に陥った事件を期に実家に三行半をたたきつけ、夕月の実家である立花家の婿養子となった後、叔父のいる兵庫県に移住、右手のハンデを乗り越え尋常小学校の教員となった。

親族とは同じく志摩家から飛び出した妹の曲直部珠子としか交流していないらしい。


大正処女御伽話編集

交通事故がもとで実母と利き手である右手の自由、父の期待を失った志摩の次男・珠彦は、千葉の田舎にある別荘を自宅として与えられ、養生という名目で厄介払いされていた。世の中の全てに嫌気がさし、引き籠もりの厭世家(ペシミスト)となり果てている珠彦のもとに、立花夕月という少女がやってくる。彼女は父が珠彦の世話をさせるために金で買った嫁であった。珠彦は夕月を迎え入れはするものの、それは彼女が路頭に迷わないためで世話をされるつもりはなかったが、共に暮らす内に珠彦は夕月に心を許し始め、仲睦まじく生活を送っていく。

始夏、妹・志磨珠子が家出をして珠彦のもとへやってくる。2人に悪態をつく珠子だが、夕月の優しさに触れ、夕月を「ユヅ姉様」と慕うまでに変貌。過労のため倒れた夕月の看病をした珠子は医者を目指すことを決め、兄との確執も解消して神戸へと旅立っていった。


9月になり、誕生日を初めて祝われたことに珠彦が感動していると、自宅に侵入してきた少女・渥美綾と出くわし、夕月から贈られたばかりの栞と財布を盗まれてしまう。珠彦は栞を取り返すべく麓の村まで行き綾と会うが、上手くかわされて取り返すことができなかった。その翌朝、栞を持って自宅に現れた綾は夕月に嘘を吹き込むが、夕月から本音を引き出してわだかまりを解消することができた。

珠彦は夕月を幸せにするため前向きに生きることを決めると、父に学校に通いたいという旨の手紙を送るようになる。夏頃、夕月の親友で文通を続けている美鳥が妊娠し、結婚することを知らされる。再会できる最後の機会かもしれないと夕月を送り出した珠彦だが、彼女が帰ってくる予定日であり、珠彦の誕生日でもある9月1日、関東大震災が起きる。

夕月の身を案じる珠彦は最悪の事態ばかり考えてしまい、崩壊を免れた家に閉じこもっていたが、夕月が用意していた手紙や手作りのマフラーを見つけ、気力と希望を取り戻す。綾と共に珠彦が東京に到着すると、医者である叔父・珠介と共に怪我人治療にあたる珠子と再会する。地獄のような光景の中、珠子と協力してやっとの思いで夕月を見つける。叔父のいる東京駅に運び込み治療を施しても眠り続ける夕月だったが、珠彦の必死の呼び掛けに応じるかのように目を覚ます。


珠彦と夕月が千葉の自宅へ戻ると、珠義が学校への編入を許可したと知らされる。厳しい条件をクリアした珠彦は10月から学校へ通うことになるが、12月に兄が亡くなったという訃報が届く。葬式で再会した父の温和な態度に珠彦が違和感を覚えつつ帰路についていた頃、自宅では夕月を誰かが訪問していた。


大晦日の夜、誕生日を迎えた夕月にプレゼントとプロポーズの言葉を贈った珠彦だが、翌朝の自宅に夕月の姿はなく、気づけば丸二日が経過していた。新年の挨拶をしにきた綾から心当たりを聞き出すと、失踪の原因が姉の珠代であることが判明する。激怒した珠彦が志摩家の屋敷にに行くと、夕月の母が身篭っている事を利用して夕月を脅迫したこと、兄が死んだことで自分が次期当主とされていることを知らされる。父の温和な態度も嘘偽りだと気付いた珠彦は志摩家との関係を絶つことを決意、弟・珠央の世話係にされている夕月を発見し、自分の幸せを第一に考えろと説得する。しかし夕月は本心を打ち明け拒絶。珠彦は夕月がいない世界に絶望し果物ナイフを手に取ると、珠央にナイフを握らせ、自分を殺すように満面の笑顔で迫る(作者曰く「帰ってきたペシミスト」)。珠彦の喉にナイフが突き刺さる寸前、怖気づいた珠央が叫ぶと同時に飛び出してきた夕月がナイフを払い落とし、母よりも珠彦の方が大切だという本心を吐き出させた。文字通り自身の命を盾にして夕月を取り戻す力技であった


その場に現れた珠義は志摩家との決別を宣言する珠彦を留まらせようとするが、珠彦は夕月を買った金額と同じ借用書をその場で書き上げると、必ず返済することを約束して屋敷から去る


珠彦と夕月はすぐに夕月の故郷である岩手へ向かって彼女の両親と会い、結婚する決意を伝えると共に、志摩家と決別した経緯を説明する。最初は珠彦のことを警戒していた夕月の母親も珠彦を信頼できる人間だと認め、2人の結婚を祝福。彼は「立花珠彦」として生きていくことになった。1年後、尋常小学校の教師となった珠彦は、珠子のサプライズで結婚式を行った。


昭和オトメ御伽話編集

夕月との間に息子に恵まれた(しかも後にもう二人子供が増えたりしている)一方で、物語には関わらない。登場シーンも志磨珠代の証拠を持ってきた珠子の付き添い、疎開先から本来の居住地に舞い戻ってきた際に少し出てくる程度。後は回想のみでの登場となっている。

ただ、彼を知る人物からその存在は言及されており、昭和になった今でも少なからず影響を与えている。

手が不自由なことを考えると徴兵等とも無縁だと思われる。


関連タグ編集

大正処女御伽話 志磨家


関連キャラクター編集

坊ちゃん死神坊ちゃんと黒メイド)…名門に生まれたが、魔女の呪いにより家を追い出されて、ネガティブ思考をするようになったという似た境遇を持つ。

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