概要
漫画アプリピッコマで独占配信されている漫画。原作小説があり、それを漫画化した作品。外伝も含めて全125話。
義理の妹ミエールの罠にはめられて処刑された主人公アリアが、砂時計の力で過去に戻り、運命を変えるべく自分を磨き、ミエールや侍女たちに復讐していくストーリー。
ピッコマのオリジナル作品は基本的に韓国で配信しているkakaopageというサービスと連携しており、そこからピッコマに日本語翻訳されている。ちなみに翻訳前の台詞はかなり酷いものも多々あり(特にミエールのアリアに対する侮蔑関連の台詞)、日本版はかなり抑えた表現になっている。
あらすじ
売春婦だった母がロースチェント伯爵と結婚し、貴族の一員となり生活が一変したアリア。しかし、義理の妹ミエールによって母が毒殺され、自分もミエール毒殺未遂の犯人に仕立てられて処刑されかけたが、死の直前に砂時計のおかげで過去へと戻ることができた。アリアはミエールを超える悪女になって、ミエールに復讐することを決意する。
登場人物
本作の主人公でヒロイン。平民だったが、母が貴族と結婚したことで、ロースチェント伯爵家の令嬢となる。前世では、不作法で傲慢な性格の美少女で、愚かしい言動で周りから冷たい目で見られていたあげく、義妹のミエールの罠に嵌まって罪人として処刑される。しかし、時間を逆行する砂時計の能力で過去に戻ることができたアリアは、ミエールに復讐しようと決意。復讐するには、ミエール以上の礼儀作法を身に着け、周りの人に信頼される人間になる必要があると考えて、サラに教育を受けることで、一流の淑女へと成長していく。さらに商売の勉強をしたり、カジノで大儲けすることで資金を得たりして、投資家としても台頭していく。過去のアリアの行動から広まっている悪い噂と実際に会った時のギャップで、着実に人脈を広げていく。砂時計の異能は実証実験で使用時の反動や制限で多用はできないことが判っていたこともあり、要所要所で使用している。後に実父から皇族の血を引いていたため発現したことが判明する。
悪女というタイトルどおり、自分は今世も前世と変わらずに性悪のままと自認しており、復讐のために躊躇せずに相手を利用しようとする狡猾な面もあるが、母親や自分が認めた相手には素直であり、サラを心から祝福する自分に戸惑う場面も見せている。純粋な信念と腹黒い面を持ち合わせる「したたかなダークヒロイン」といったキャラクターである。
- アース
アリアに近づいてきた謎の男。正体は皇太子。
遠方まですぐに移動できる特殊な能力の持ち主。これはアースの一族が持つ能力であり、能力の使用には”対価”が伴い、体力をたくさん消費するため休息が必要になる。
前世ではアリアと接点がなく、やることが失敗続きでイシースに良いように扱われていた。
今世では有能な人物であり、偶然出会ったアリアの言動に興味を持ち、何かとちょっかいをかけてくるうちに、交流が深まっていく。アリアを同志である知識人たちの集会に招いたり、学校投資などを提案して、事業や政策のパートナーとなっていき、お互いの危機を協力して乗り越えていく中で、恋仲となる。
お互い忘れていたが、幼い頃に暗殺に見舞われて逃亡した際にアリアに救われている。
- カリン
アリアの実母。後妻としてロースチェント伯爵夫人であり、妖艶な雰囲気を漂わせた美女。売春婦出身のため周りからは白い目で見られている。ロースチェント家におけるアリアの数少ない味方。娼婦時代はネグレクトに近い状況でアリアに接し、貴族となってからも普段はそっけない態度だが、アリアのことは大事に思っており、アリアの馬車が壊されていたことを知った時は激怒して、女主人として馬丁たちに罰を与えた。また、イシースによって戦争が起こるかもしれないと知ったときは、自身もロースチェント伯爵にいつかは飽きて捨てられることを予測して準備していたこともあり、アリアに一緒に国外逃亡しようと言っていた。
伯爵がミエールのせいで意識不明の末に半身不随になった際にはアリアと協力して伯爵の財産や権益を自分の名義にしていたため、カインとミエールが反乱の罪に問われても伯爵家の財産は没収を免れている。
後に再会したアリアの実父と再婚する。
ロースチェント伯爵家令嬢。アリアの義理の妹であり、復讐対象。愛らしい外見と性格で完璧な令嬢で、相手の望むように振舞うことに長けている。内面は身勝手で傲慢で、自分は常に正しいというスタンスでいるため、他責他罰思考が強い。アリアと後妻(アリアの母)を卑しい女と心底見下して嫌っていて、過去では周りの人間をうまく使い、二人を死へと追い込んだ。今生でもアリアを排除するために、毒を使って食中毒にしようとしたり、事故を起こすように馬車に細工をしたり、様々な罠をしかけてくる。だが生粋のお嬢様のため、新興勢力である仕事をしている平民の婦人グループを取り込もうとしても、女性が仕事をするということが理解できずに価値観の相違から失敗したりしている。イシースと結託してアリア毒殺を企むが失敗した挙句、エマが処刑されたことで、侍女の前でアリアへの憎悪を隠さずにむき出しにするなど、余裕をなくしていく。
やがて、父を階段から殺すつもりで突き落とす。伯爵は死なずに意識不明となったものの、その罪をアリアに着せようとするが、それもアースのアリバイ工作で失敗し、意識が戻ったロースチェント伯爵が娘の仕業と証言したため、罪が明らかになったミエールは自宅拘禁5年の罪を受ける。その後、イシースの手引きでクロア王国に逃亡して、反乱に参加することになる。
しかし反乱は失敗し、イシースともども捕縛されて貴族の地位をはく奪されて処刑を待つ身になるが、アリアの嘆願で助命される。その後は、アリアの屋敷で侍女として暮らすことになるが、貴族としての意識を捨てきれず、さらに他の侍女からいじめられるなど悲惨な目にあう。実は、アリアはミエールを長く苦しめたかっただけで、やがてミエールはアリアの罠にはまり、前世の自分がアリアにかぶせた冤罪をなぞるように、誤ってカインを毒殺してしまい、牢獄に再度投獄されたあげく、アリアが今までの復讐について告白するが、理解できずに混乱し「アリアと自分は仲の良い義姉妹として共に幸せに成長していく」という妄想の中で処刑された。
- ロースチェント・カイン
ロースチェント伯爵家の長男でミエールの兄。アリアの義理の兄でもある。アリアと後妻(アリアの母)を見下していたが、礼儀作法を身に着けて周囲が認める淑女となったアリアに心惹かれていく。エマに有罪判決が下ったショックで気を失った実妹ミエールよりも、義妹アリアを優先したり、アリアの結婚に反対して貴族たちからの「アリアへの求婚の手紙」を断るなど、その執着ぶりはアリアもドン引きするほどだった。後に皇太子(アース)がアリアにプロポーズしたことで失恋してしまった。
ミエールがロースチェント伯爵殺人未遂を引き起こしたときは、犯人がミエールだと気づきながらも従う姿勢を見せるが、裁判でミエールが不利になると、自分は無関係を装い保身に走るなど、身勝手な本性を露わにした。
その後、反乱を企てたイシースの失敗で、ミエールともども捕縛されるが、アリアによって助命されて、平民として生きることになる。ミエールと違い、それなりに適応して生きていたが、アリアの陰謀によってミエールの毒入りのお茶を飲まされて死亡。
- ロースチェント伯爵
アリアの義父。最初は後妻の連れ子のアリアをよくは思ってなかったが、サラから教育を受けて淑女として成長して自分に刺繍入りのハンカチをプレゼントするアリアに対して、次第に態度を軟化させていく。だがアリアをないがしろにしている事実は変わりなく、後にアリアが投資家で金持ちだと知って擦り寄ろうとするが、そっけなく拒否されていた。やがて、アリアを陥れようとするミエールに階段から突き落とされてしまい、命はとりとめたものの下半身不随になってしまう。しかし、自分を突き落としたミエールの異常さに怖気づき、正直に彼女が犯人だと証言するなど、ある程度の良識は持ち合わせている。このときに財産をカリンに奪われてしまうが、面倒はみてもらっていた。
しかし、息子と娘が反乱を起こしたせいで伯爵位を失い、娘が息子を毒殺して処刑されたことで自死している。
- プレデリック・オスカー
プレデリック公爵の息子でミエールの婚約者。ミエールの兄カインの友人。優柔不断で、か弱い一面を見せられると断れない性格。姉イシースに頭が上がらない。皇太子を追いつめようとするイシースの企みにも勘づいていて苦悩している。姉(イシース)は謀反人、好きな子(アリア)は毒殺未遂にあい、婚約者(ミエール)はその犯人と、何かと苦労が多い不憫な青年。
姉や父と違い、反乱には消極的で、アースの捜査にも協力的だったため、処刑されることはなく平民に降格されて国外追放されただけですんだ。その後の消息は不明。
- プレデリック・イシース
プレデリック公爵家の長女でオスカーの姉。プレデリック家の実質的な権力者。鋭敏で狡猾な性格。ミエールの裏のある性格も見抜いていて、それを承知でミエールを気に入り、自分の権勢を広げるためにオスカーとミエールを結婚させようと画策する。アースとアリアが接近しているのに焦りを感じて、ミエールにアリアを排除させようと企む。その一方でクロア王国のローハン王子と通じて、反乱を起こそうと企てる。しかしローハンはアースとは友人で通じていて、イシースの陰謀はすべて筒抜けで失敗。逆賊として捕らえられて処刑された。
外伝では、死の間際に皇族の能力が発現し、クロアの村で病死したばかりのネーケという若い女性に憑依転生した。イシースとしての人生は家門の重責を背負うために不相応にあがいていたと振り返っており、アースやアリアに対する怨みはなく、ネーケとしての人生を満足して歩んでいることが明かされている。
- サラ
ローゼン子爵の一人娘でアリアの家庭教師。子供好きでとても心優しい女性。アリアに礼儀作法や刺繍を教えている。後にビンセント侯爵に見初められて、結婚して侯爵夫人になるが、そのことをアリアは前世で知っており、その地位を利用することを目論んで、家庭教師に指名した上で好かれるように振る舞っているのだが、その手にまんまと乗ってしまう。
やがてアリアがミエールに不当な扱いを受けているように思わされ、アリアを励まして力になると言うなど、この作品における数少ない良識的な人間。その善良さにアリアまでほだされていき、利用するつもりが真に心を開いていく。
外伝では多忙を極めていたが、アリアによって妊娠が発覚して周囲から祝福を受けていた。
- ジェシー
アリア付きの侍女。元はミエールの侍女の一人だった。ジェシーをアリア付きの侍女にしたミエールの真意はアリアをここから追い出せるように監視するためだったのだが、人の良いジェシーはミエールがアリアを心配して自分をアリア付きの侍女にしたと思っている。そのため、おせっかいなほどアリアを気遣って心底尽くしている。前世のアリアはそんなジェシーを鬱陶しいと思い虐待していたが、今生ではジェシーが自分の数少ない味方だったと理解して大事にしている。サラと並んでこの作品に数少ない良識的な人間。
後に新聞売りの青年ハンスに恋するようになり、外伝の第一話で結婚式をあげていた。
- アニー
ミエール付きの侍女の一人だったが、エマの命令でアリアの監視のためにアリア付きの侍女となった。こっそりミエールの化粧品を使うなど貴族にあこがれている。自身の欲望に素直なところがあり、アリアにそこを付け込まれて、懐柔されて彼女の側につく。一旦、味方になってからは一途にアリアを支える。主に良識的なジェシーではこなせない命令などを受けもつ。情報戦に長けており、必要な情報を収集してくるだけでなく、アリアに有利な噂を広めたりしている。やがてアリアが事業相手に選んだボブーン男爵に恋をして、アリアのアドバイスで”誠意のある姿”をアピールし続けていき、ボブーン男爵と良い関係に発展する。外伝ではボブーン男爵と結婚している。
- エマ
ミエールの専属侍女。どん底状態だったところをミエールの母親に請われて、生まれてくるミエールの専属侍女として雇われた過去を持ち、ミエールを実の娘のように育てて仕えてきた。だが、アリアを排除すべく侍女たちを送り込んだり、ミエールに「害虫(アリア)のお茶に害中薬(毒)を入れましょうか?」と悪質なことを言ったり、ミエールの裏のある性格やアリアを陥れる悪女になったのはエマの影響があったと思われる。やがてイシースの命令を受けたミエールのためにアリア毒殺を企むが失敗。ベリーの裏切りで悪事が露見して処刑された。
- ベリー
ミエールから派遣されてきた侍女。しかし、前世でアリアをそそのかし、アリアがミエールを毒殺しようとしたと嘘を言って罠にはめた侍女だと気づいたアリアによって徹底的にいじめられる。やがてエマの命令でアリアを毒殺するという暴挙に出るが失敗。逃亡したが捕らえられ、自身の赦免と国外追放と引き換えにエマを告発する。そのことで許されて国外へ旅立つが、アリアの雇った殺し屋によって、森の奥に置き去りにされて獣に殺された。
- アンドリュー
アニーの実兄。宿屋で経理をしていることを見込まれて、アリアに指示で砂糖を大量に買い付けたり、事業で協力するようになる。
- ハンス
新聞売りをしている青年。貧民時代のアリアの知り合い。後にジェシーから想いを寄せられるようになる。後にアリアの計らいで奨学生となる(ジェシーの恋を応援することにしたアリアが、ハンスをジェシーを幸せにできるだけの人物に育てようとした)。
- ボブーン男爵
アリアの投資先の一つ。香油で事業をしている。やがてアニーの積極的なアプローチもあり、アニーと親しくなっていき、外伝ではアニーと結婚している。
- ビンセント侯爵
サラの夫。アリアのおかげでサラと出会い結婚できたことを理由に、サラ同様アリアに好意的で、アリア毒殺未遂事件が起きたときは、サラと一緒に犯人を早く見つけるようにと社交界で訴えた。
- フィノ
アースの従者。アースの代理としてアリアに様々なプレゼントを届ける。
- プランツ・フレイ
皇族出身の女性で裁判官を務める。賄賂を受け取らないなど、法に忠実で厳格な女性。エマの裁判でアリアと出会い、自分の弟クロイそっくりの容姿をしたアリアに興味を抱く。後にアリアの裁判を受け持つが、そのときも公正に裁判を取り仕切り、ミエールを真犯人として有罪にした。
- クロイ
フレイの弟。年齢は37歳。皇族であるプランツ・デイビッド(フレイの父親)とバイオレットの長男として育ったが、バイオレットの婚外子であることが判明し(デイビッドが恋人のいたバイオレットを連れてきて結婚したため)、17年前に母子ともに帝国から追放され、現在は名字を失っている。実父はクロア王国のピアスト侯爵だが、侯爵の名のもとにすべての情報が公開されておらず、現在行方不明。
- メディアン
貴族令嬢。ミエールの取り巻きの一人。ミエールに頼まれて、アリアの裁判で証人として証言するが、裁判が進むにつれて不利になり、あやふやな証言をした罰として、自宅謹慎三ヶ月を言い渡された。
- ウェンディ
貴族令嬢。ミエールの取り巻きの一人。ミエールに頼まれて、アリアの裁判で証人として証言するが、あやふやな証言をした罰として、自宅謹慎三ヶ月を言い渡された。
- ローハン
クロア王国の王子。アースとは友人同士。飄々としてつかみどころのない青年。アリアにも興味を抱く。その一方でイシースの反乱に協力するという謎の行動をとるが、それはイシースと彼女に従う貴族たちを一掃するための、アースとの共謀だった。
- ピアスト侯爵
クロアの貴族。アリアの実父クロイの父親で、アリアには祖父にあたる。
- ブリス
外伝に登場するアリアそっくりの女の子。正体は未来からやって来たアースとアリアの娘。アースの空間転移能力とアリアの時間をさかのぼる能力を併せ持つ。自分を産んだためにアリアの身体が不自由になってしまったことを気に病んでおり、自分の皇族の能力を使って、アリアが自分を産まないようにすべく、過去にやって来た。最終的には未来は変わり、ブリスが戻った未来ではアリアは健康になっていた。
- ルーペ
外伝に登場。ブリスの兄弟。
- ルビー
外伝に登場。アリアの専属侍女。だが貴族としてのプライドが高く腹黒い性格。ブリスを排除しようとするが失敗して、アリアから解雇された。
- ネーケ
外伝最終話に登場。クロアの貧しい農村の女性。病で死んだが、死んだ直後、プレデリック・イシースの転生として生き返った。イシースだった頃の知識を生かして、純朴な村人たちを騙していた悪党商売の問題を解決したり、農夫たちに文字を教えたりして、聡明な女性と噂されている。本人曰く「(アースやアリアに対しては)二人がどうなったとしても気にならないわ」とのことで、前世に囚われず、穏やかな生活を送っている。