概要
扇レクイエムとは扇要をゼロレクイエムを合わせた蔑称のようなもの。
何故扇が嫌われているのか?
…本編の来歴を簡単にまとめると、それなりに綺麗に纏まっているように見えるが、R2に入ってからは
- 「敵国の将校ヴィレッタをかくまった上に、記憶がないことを良いことに自分の女にしたこと」
- 「敵司令官シュナイゼルの話を鵜呑みにして、裏付けも取らなかったこと」
- 「恩人であり有能な司令官ゼロに、弁解さえさせずにあっさりと裏切って追放したこと」
- 「2〜3の過程において、黒の騎士団で外交を担っているはずの皇神楽耶や手を組んでいた中華連邦の実質的なトップに一切話を通していなかったこと」
- 「無能と自覚しているにも拘らず、日本の総理になったこと」
……といった支離滅裂な言動を繰り返したため、ファンからは総スカンされている節があり、「扇死ね」と忌み嫌われている。
この展開に関しては担当声優の真殿氏からも「フォローしきれない」と言われて、ヴィレッタを担当した渡辺明乃女史からもこの2人のカップリングには難色を示され、他の女性声優陣からも「(扇は)女を思い通りに出来ると思っている男の傲慢さを感じる」とコメントされているなど、かなりの嫌われようである。
当初は扇好きを公言していた監督も、ファンからの反感が大きくなるにつれてあまり扇に触れなくなっていった。
また、ルルーシュの追放とその後の扇(と黒の騎士団幹部)の行動や考え等は、眼も当てられないくらいに浅はかさや無様さを露呈している部分が多かった。
- 黒の騎士団の裏切りのきっかけ(に見える)
- ルルーシュがギアスで人を操っているという事を、言葉巧みに誘導し黒の騎士団を疑心暗鬼に陥らせようとするシュナイゼル・エル・ブリタニア。ディートハルトはゼロを擁護して、藤堂鏡志朗等は(死の直前の朝比奈省悟のゼロの虐殺の報告を)思案していたが、よりにもよって敵国のスパイという立場のヴィレッタの言葉を、そのまま鵜呑みにしてしまった扇の一言で騎士団はゼロを裏切ることを決定した。その後はまんまとシュナイゼルの思惑通り陣頭に立ってゼロ排斥を推し進めた。
- ディートハルト・リートへの不当な暴力(メールマガジンより)
- 黒の騎士団幹部のディートハルトは、扇と密通しかけていたヴィレッタ・ヌゥを拘束し、扇が女にかまけて裏切ったりしないよう脅していた(彼の裏切りを防止し、職務を果たすようにしていただけなので不当というほどではない)。
- また、ヴィレッタの立場ならば組織の理論としてディートハルトの行動は自然でもあるし、咲世子が暗殺を試みるのも組織やゼロを考えれば当然とも言える。
- ましてや相手が敵国の爵位を持つ軍人、しかもエリア11時代は一時期実権を握った純血派のナンバー3で、現在は皇帝直属機関で一部隊の指揮官となれば尚の事である。
- にもかかわらずゼロの追放後(R2・20話)、後ろ盾を失ったディートハルトを、解放されたヴィレッタと共にリンチ。彼に傷をつけた。
- 黒の騎士団幹部のディートハルトは、扇と密通しかけていたヴィレッタ・ヌゥを拘束し、扇が女にかまけて裏切ったりしないよう脅していた(彼の裏切りを防止し、職務を果たすようにしていただけなので不当というほどではない)。
- 黒の騎士団の傀儡化
- 後先考えずにトップを放逐した結果、黒の騎士団の実権を握った・トップになったという自覚はあまり無い。
- それ故に、自らが積極的に騎士団のメンバーを引っ張るような事はほとんどせず、その方針の決定は外部から招いた司令官である星刻やシュナイゼルにまかせっきりな状態で事実上、組織をシュナイゼルの傀儡になり下げてしまう(目的の為に味方も平然と使い捨てにするシュナイゼルは、当然黒の騎士団も使い捨ての駒としか認識していなかった)。
- この事で、結果的にディートハルト・リートは黒の騎士団を見限りシュナイゼル側についている。最終決戦での黒の騎士団の被った甚大な被害も、こういった扇の姿勢が大きな原因の一つだったと言わざるを得ない。
- 後先考えずにトップを放逐した結果、黒の騎士団の実権を握った・トップになったという自覚はあまり無い。
- ブリタニア皇帝への脅迫
- 次に、ブリタニアの皇帝となったルルーシュとの会談の際には、既に彼を敵以外の何者でもないと認識していた為か、いきなり相手を拘束(しくみのよく分からないギアスへの警戒もあったが)して法外な条件(殖民エリアの開放だけでなく、国土の分割まで要求している)を突きつけるという脅迫まがいな手段に出ており、かえってルルーシュに軍を進軍させる正当性を与えてしまっている。
- 最終的にルルーシュが独裁の道を選び、日本が戦場になった為、世間からの顰蹙は買わずに済んだようだが、普通に考えれば外交手段としてはありえないを通り越した非常識な判断であり、小説版では「恐ろしく外交マナーから外れた行為」と酷評されている。
- 次に、ブリタニアの皇帝となったルルーシュとの会談の際には、既に彼を敵以外の何者でもないと認識していた為か、いきなり相手を拘束(しくみのよく分からないギアスへの警戒もあったが)して法外な条件(殖民エリアの開放だけでなく、国土の分割まで要求している)を突きつけるという脅迫まがいな手段に出ており、かえってルルーシュに軍を進軍させる正当性を与えてしまっている。
- フジサンでの決戦
- そして最終決戦では、ルルーシュ(ゼロ)の身近にいた者でありながら、その戦略等に関して全く見抜けない無様さ(完全に勝てるとタカを括っていた)を露呈し、その直後に富士山の噴火で乗っていた斑鳩を撃沈させてしまうという大失態を犯し、これによって黒の騎士団を事実上の壊滅状態に追い込んでしまっている。
以上のように、『凡庸な自分に苦悩する人の好いリーダー』という当初の印象を、物語後半(特に二期の中盤以降)の越権行為で大きく変えてしまった(ルルーシュの排除に協力したのは、殆どがブラックリベリオンに参加していた旧メンバーであった)。
更に、讒言に惑わされてルルーシュを裏切り、自身の組織である黒の騎士団に最終的に自身の裁量不足で大きな被害を出したにもかかわらず、そのルルーシュが自分の名誉と命を引き換えにして築いた平和の中で首相という立場を手に入れて順風に人生を送っている点も、視聴者の印象を一層悪くした一因だと思われる(そもそも作中の描写を見ても、彼が政治家に向いているとは到底思えないのだが)。
しかも、そのシーンでは自らが裏切ったルルーシュの妹であるナナリーと、笑顔で握手を交わすという図々しさである。
その一方で、ゼロ=ルルーシュも黒の騎士団結成時からメンバーに対して秘密が多かったり、部下を駒扱いしたような発言、1期の終盤で戦場を放棄して失踪する、私怨による極秘任務(ギアス嚮団殲滅)、しまいにはナナリーがフレイヤの爆発に巻き込まれて死亡した(と思われた)際の錯乱した言動から大きく信頼を失墜してしまっていた。
故意でなかったとはいえ、ユーフェミアを操って日本人虐殺を実行させた事も紛れもない事実である。
シュナイゼルから(十分な証拠は全く無いが)今までの「奇跡」や虐殺の真実を知らされた後でも、彼らが『ギアスで人を操る』という疑惑のゼロをこれまで通りリーダーとして仰いでいけたかと思うとそれも難しい話である。
その為、扇たちの裏切り行為は黒の騎士団メンバーすら信用できず素性を隠し続け信頼関係を築けなかったルルーシュの自業自得な面が大いにあるので、扇ばかり責めるのは酷と言える。
とはいえ、扇も上記の行動の根幹となった敵国のスパイであるヴィレッタとの関係を完全に棚上げにしている事についてはルルーシュだけでなく、カレンたち結成時のメンバーを始めとする黒の騎士団そのものに対する裏切り行為に等しい為、組織人としてはルルーシュより酷い。
確かに、ルルーシュは非道の行いを働くこともあったが、対局や騎士団メンバーの為、ひいてはブリタニアと渡り合う為には、仕方なかった側面も少なからずあり、しかも騎士団メンバーもそれをある程度飲み込んでゼロに付いてきた。それに対して、扇の行為はただ自分とヴィレッタの保身という完全に私情でしかないと言わざるを得ず、その事についてもルルーシュにもC.Cを通してバレている時点でルルーシュからの信頼を失うのも当然と言える。
この為、藤堂達はまだしも、扇だけはルルーシュの事を頭ごなしに責める資格はないと言わざるを得ず、どっちもどっちというのが妥当なのかもしれない。
こういう風になったのは、尺の都合やその尺の中で物語の着地点であるゼロレクイエムという展開(黒の騎士団の裏切りやルルーシュを憎み団結する人々)にもっていく必要があったからなのかもしれない(終盤のシュナイゼルの強引かつ性急な思想など、そういった所は随所に見られる)。
『騎士団の裏切り』という行為の原因が彼一人に集約されてしまっており、共に戦ってきた仲間であるゼロを売る事になった苦悩や後悔、ゼロレクイエム後から首相になるまでの過程についても、心情などほとんど劇中では省略され、行動や言動があまりにも短絡的に見えてしまった事が彼がディスられる要因であると思われる。
そのあまりの嫌われっぷりから、現実世界では扇にファンの憎しみが集まっている状態を、ゼロレクイエムをもじって『扇レクイエム』と呼ばれる事もある。
そして、「劇場版新3部作」及び「復活のルルーシュ」では扇に関して大幅な改変やフォローがなされているのだが、これはこれで結局ファンから批判を集めてしまったりもしている。
扇や玉城が何とかゼロを信じようとしても状況がそれを許してくれず、結局彼を追い出してしまう形となっており、扇のゼロに対する感情に関係無く、決裂の事態は避けられなかった模様(『第2次Z』のifルートは、プレイヤー部隊というイレギュラーが存在してこそだった)。