ローレンスたちの月の魔物
ネタバレ注意
この記事はBloodborneの物語における重大なネタバレとなっております。閲覧はゲームの楽しみを大きく削いでしまう可能性があるので、到達前の方は出来れば自身の目で確かめてから閲覧して下さい
概要
ブラッドボーンにおける超重要存在であり、ある意味で物語のすべての元凶とも呼べるもの。
プレイヤーが拠点とする狩人の夢、その真の支配者。Bloodborneの3つあるエンディングの内、遺志を継ぐ者エンドと幼年期のはじまりエンドの2種類のエンディングに登場する。
人間が上位者と呼ぶ存在の一つ。「月の魔物」という名前が正式名称にも見えるが、作中では「青ざめた血」と呼ばれてる様な描写もあり、すべては謎に包まている。
ローレンスたちによって召喚されたような記述があるものの詳細は不明。
しかしこの上位者とローレンス及びゲールマンたちの邂逅が狩人と狩人の夢の始まりをもたらした、ということだけが唯一明確に示されている。
その為ゲールマンと深い関わりがある筈なのだが、彼を狩人の夢に捕らえ助言者の役割を与えていること以外は明かされていない。
主人公である狩人との関係も不明。決して無い筈はないのだが、考察するにも明確な文章が作中に存在しないので各々の解釈に任せるしかない。
同じ上位者の『メルゴーの乳母』や『姿なきオドン』と並んで、謎だらけのブラッドボーンの中でも背景が全くと言っていいほど見当たらない、珍しいキャラクター。
葬送を行う古狩人との戦いを経て、赤い月となった狩人の夢に突如として現れ、なすすべもなく狩人はこの上位者の傀儡とされてしまう。
だが……
異形の上位者
ブラッドボーンにおいて上位者や獣の外見は、それとなくニュアンスで伝えられるようなものが多い。
エーブリエタースであれば「女性的なフォルムで触手を持った竜っぽいもの」、アメンドーズであれば「アーモンドみたいな頭をした、痩せた千手観音っぽいもの」など、人によって変わるもののボンヤリとしても大体は伝わる。
ところがこの月の魔物は何とも名状し難い、上位者の中でも説明が難しい外見をしている。
まずはその身体。
どう見ても四つん這いとなった人間のような形を持つ。しかしあり得ないほどに痩せさらばえ、肋骨と背骨は剥き出し。外皮か肉らしきものが腕と脚、そして胴体背面部にある。
次にその貌。
頭は触手か触覚らしき器官がさながら獅子の鬣の如くあるが、その貌は穴が空いたような仮面とでも言うべき無貌である。瞳も口も何もなく、本当に仮面を取り付けたような見た目をしている。
そして尻尾。
尻尾が生えているのだが、その周りを細い触手のようなものが枝のように分かれている。
複数の尾を持つのかは不明。一応攻撃に使っているようだ。
極めつけはその血。
通常上位者は白い血を流すのだが、月の魔物だけは人間や獣と同じ赤い血を流し、同じように赤い血を用いて謎めいた攻撃を行う。
上位者としても謎多き立ち位置であるが、これがその謎に拍車をかけている。
何故赤い血を流し、何故人の如き身体を持ち、何故貌が無く、何故獣ともとれる特徴があるのか。何一つ分からない。
このように説明こそ出来るが、ニュアンスが伝わるかというとそうは言いがたく、またエーブリエタースやアメンドーズ、メルゴーやオドン、そしてゴースといったような個体または種族名称が無いというのも、上位者として異形であると言わざるを得ない。
三本目のへその緒
狩人の夢の中、最後に立ち塞がる古狩人を退けた狩人の前に突如として現れ、そのまま戦闘となるのだが、単に最後の古狩人を倒しただけではこのボスとの戦闘にはならない。
月の魔物と戦うためには、最後の選択を行う前に三本目のへその緒と呼ばれるアイテムを三つ以上使用する事が必要。
ちなみに、三本目のへその緒はゲーム内に四つ存在するが、その内二つはNPCのイベントを完了しなければ入手することはできない。
残りの二つはメルゴーの乳母の撃破によるドロップと、『捨てられた古工房』で人形の髪飾りと共に手に入れることができる。
このアイテム自体にも謎が多く、他アイテムの名称に比較して名前の由来すらも分かりづらい上に、登場する全ての三本目のへその緒のテキストは、一部内容が異なっており、ヤーナムや狩人の探求にまつわる大きなカギとなっていることが理解できる。
共通するテキスト
別名「瞳のひも」としても知られる偉大なる遺物
上位者でも、赤子ばかりがこれを持ち
「へその緒」とはそれに由来している
使用により啓蒙を得るが、同時に、内に瞳を得るともいう
だが、実際にそれが何をもたらすものか、皆忘れてしまった
捨てられた古工房
全ての上位者は赤子を失い、そして求めている
故にこれは青ざめた月との邂逅をもたらし
それが狩人と、狩人の夢のはじまりとなったのだ
メルゴーの乳母
全ての上位者は赤子を失い、そして求めている
故にこれはメルゴーとの邂逅をもたらし
それがメンシスに、出来損ないの脳みそを与えたのだ
アリアンナの赤子
全ての上位者は赤子を失い、そして求めている
姿なき上位者オドンもまた、その例外ではなく
穢れた血が、神秘的な交わりをもたらしたのだろう
かつて学長ウィレームは「思考の瞳」のため、これを求めた
脳の内に瞳を抱き、偉大なる上位者の思考を得るために
あるいは、人として上位者に伍するために
また、このアイテムが入手できる状況にも共通点があり、このアイテムを入手する前後には、何らかの形で女性のキャラクターとのイベントが進む。
具体的には、以下の様になる。
- 捨てられた古工房から入手した後には、狩人の夢の人形のイベントを進めることになる。
- メルゴーの乳母から入手した後には、女王ヤーナムがプレイヤーに向かって礼を言うように頭を下げる。
- アリアンナから入手する前には、娼婦のアリアンナが上位者の子供を産み、発狂した彼女とその子供を殺害することになる。
- 偽女医からから入手する前には、手術台の上で苦しんでいる偽女医を殺害することになる。
……女性とへその緒と言う思わせぶりなつながりを持つこのアイテムが、何故月の魔物と関連付けられているのかは不明である。
ボスとして
異形の巨躯ながらも獣のように俊敏に動き、人のように狡猾に立ち回り、上位者のように理解し難い攻撃を行う。
だが作中終盤のボスの中では体力が何故か低く、所々で様子見をするなど極めて不自然な行動を取る。また狩人のHPを1に、その他をリゲインゲージに変える発光を伴う咆哮と、白い靄を破裂させ赤い血を降らし、命中すると輸血液が使用不可となる攻撃を用いるが、それはまるで狩人に自身の血を吸わせているようにすら見える。
強敵揃いのBloodborneの中で、珍しくプレイヤーから明確に弱いと呼ばれる月の魔物。
イベントボスの様な扱いなのでは? と考察されているが真相は不明のまま。
だがもしかしたら、自ら狩人に倒されに来た、もしくはそれは幼年期の始まりに近付く狩人が人を超えた存在と化しつつあるという証明なのかもしれない……
戦闘BGM
Moon Presence
和訳は「月の御前」。月をバックに舞い降りる月の魔物にはこれ以上ないほどにふさわしい。他の例に漏れずボスのHPによって曲調が変化するが、前後半の差異が著しく、別物と思ってもらっても差支えがない。
前半は拠点BGMである狩人の夢(ロマ撃破後)のアレンジ。
印象的だった女性コーラスのテンポがやや早く、なおかつ不穏なものに差し変わっているため、原曲の穏やかさはなりを潜めている。花を踏む乾いた音と月の魔物の呻きばかりが響く戦場は不気味に静まり返っており、その中で滾々と響くコーラスは底知れない不吉さ感じさせる。
そして月の魔物のHPが削られると発光攻撃の後に一転、行進曲あるいは心臓の鼓動のように重低音が一定のリズムを刻む曲調へ豹変する。金切り声を上げる弦楽器と慄き絶叫するような混成バックコーラスと相まり、ただでさえ荒々しく恐怖を煽る今作のBGMを十把一絡げにして余りある程に禍々しい。
余談
前触れもなく狩人の夢の月から現れ、ゲームの根幹に関わるキャラクターである月の魔物だが、実はもう一体、赤い月から現れるキャラクターとして再誕者が存在する。
隠し街ヤハグルに存在するボスの一体だが、実はヤハグルには青ざめた血について言及されたメモがある。
この再誕者と月の魔物との関係も不明だが、もしかしたら再誕者の存在はこの月の魔物の存在を暗示していたのか、あるいはもっと深い繋がりがあるのかもしれない。
関連タグ
幼年期の終わり:月の魔物と戦うエンディングの名前の元ネタ。