概要
『Bloodborne』の作中に登場する人ならざる存在たち。超常的な能力と悍ましい外見をもっている。彼らの残した死血からは宇宙悪夢的な血の遺志を得るという。また、上位者に連なる「眷属」と呼ばれる下位の存在もいる。
また、本作における『獣の病』と呼ばれる病気は明言こそされていないが、彼らが直接的な原因であるようで、いわば本作における全ての元凶とも言える存在。
上位者の最大の特徴として、今では全ての上位者は赤子を失い、赤子を求めている。とされる。
また、上位者は人間を超越する思考力を持っており、人類がそれに伍する能力を得る為には脳の内に瞳を抱くこと(思考の瞳)が必要なのだという。
作中では人間が後天的に上位者あるいは眷属と化したと思しき存在も登場している。
物語での関わり
作中において、上位者がどういう存在であるのか、その真の目的は何か。と言うことに関しては一切触れられておらず、目的や出自と言った基本的な情報をはじめとして、その多くが謎に包まれている。
ただ、作中で提示された上位者に関する情報だけを纏めると、以下の通りになる。
- Bloodborneの舞台となるヤーナムの街には、医療教会と呼ばれる宗教勢力が存在している。
- 医療教会はキリスト教やそれに類する一神教的な宗教ではなく、上位者を崇める独自の宗教である。
- 医療教会は元々、史学や考古学を研究していたとされる学び舎のビルゲンワースから発生した組織である。
- ビルゲンワースはかつてその研究の成果の一つとして神の墓を暴き、その聖体を持ち帰ったという。
- ビルゲンワースが聖体を持ち帰った結果、これにより『獣の病』の前身となる『灰血病』が起り、最終的にヤーナムの旧市街は医療教会によって焼き払われたという。
以上の情報だけを纏めると、ビルゲンワースの人間が上位者の墓を暴いたので、上位者はそんなビルゲンワースに対して罰を加える為に『獣の病』を蔓延させ、ヤーナムの街や狩人は単にその罰に巻き込まれているだけにすぎないようにも見える。
しかし、概要の項目にもある通り、全ての上位者は赤子を失い、赤子を求めているとされており、赤子を手に入れる為に人類を利用しているかのような行動を取っている節がある。
一方で、後に狩人の礎となるかつてのビルゲンワースの目的も、そんな上位者を利用することで人類に進化をもたらすことであったかのような節があり、『獣の病』やその前身となる『灰血病』もその目的の為の手段の一つであるかの様でもある。
そして、ヤーナムやそれに関係する人々も、そんな状況を黙認。ないしは、積極的に支援していたような素振りがストーリーの端々に垣間見られ、それはプレイヤー自身が操作する主人公のキャラクターにも言える。
結局のところ、上位者がどういう存在であるのかはプレイヤーの解釈に大きくゆだねられている為、ゲームの情報を基に各々が判断するしかない。
主な上位者および眷属
姿なきオドン
オドン教会が信仰していると思しき上位者。
姿や形状などは何一つ明らかにならず、ただエリアの地名にはオドンの地下墓とオドン教会と言うオドンにまつわる場所が存在している。
尚、作中において言及された上位者の中で、唯一キャラクターのビジュアルがゲーム中に登場しない上位者であり、正に『姿なき』上位者である。
多くの狩人が初めて遭遇したであろう眷属。頭部に手術痕のような傷があり、殆どの個体が医療教会関連施設やその付近に出現する。基本的にはザコエネミーだが、聖杯ダンジョンではボスとして登場する個体もいる。
ゲーム後半のヤーナム市街に出没するようになる眷属。
エーブリエタースと関連が深いようで、彼女と関連のあるエリアに出没する事が多いが、脳喰らいと同じくヨセフカの診療所にも関連する眷属でもある。
基本的には雑魚エネミーとして登場するが、頭からイソギンチャクのような触手が生えた大柄な個体がボスとして登場する。
ビルゲンワースの学長ウィレームが見守る月前の湖に棲む眷属。
湖の底にある空間の中に存在しており、何もしなければ敵対行動はとらないが、攻撃を受けると大量の子蜘蛛を召喚。子蜘蛛や強力な神秘を使って反撃してくる。
美しい娘よ、泣いているのだろうか?
ゲームの後半、嘆きの祭壇にて遭遇することになる眷属。
基本的には白痴の蜘蛛、ロマを思わせる祭壇に頭を垂れており、プレイヤー側が攻撃を仕掛けない限りは一切敵対的な行動はとらない。
星の子ら
聖堂街上層に多数現れる眷属。胎児あるいはエーブリエタースの幼体のような姿をしており、どの個体も嘆きの祭壇の方を向いている。一方、ある人物が出産したオドンの子と思しき赤子も同じ姿を持つ。こちらは母親の方を向いており、赤子を殺すと同時に母親も死亡する。
プレイヤーが最初に接触する事になる上位者。
聖堂街の広場に存在しているが、啓蒙の低い初期状態ではそれに気づくことが無く、初見のプレイヤーは何も知らない状態でこの上位者に握りつぶされることになる。
メンシスの脳みそ
メンシスの悪夢にあるメルゴーの高楼上部に鎖で吊るされている上位者。
目玉のついた巨大な脳味噌のようなグロテスクな姿が特徴。広範囲に怪しげな光を放ち、浴びた者を敵味方問わず発狂状態にしてしまう。
仕掛けを起動させて地下の暗闇に落下させると無力化し、目の前で交信のジェスチャーをとり続けることでカレル文字『月』を得ることができる。
ドロップアイテム『生きているヒモ』の説明文曰く、出来損ないではあるものの正真正銘の上位者であることは確かであるらしい。
ゴース、あるいはゴスム
悪夢の主、ミコラーシュが口にした上位者。
ロマに「思考の瞳」を授けたらしく、ミコラーシュはこの上位者と交信を交わす事で瞳を得ようと企んでいた。また、名前の正確な発音が分かっていなかったようだ。
本編では台詞の中だけの存在だったが、DLCにて死体の姿で登場、名前の発音も「ゴース」で確定した。巨大な白い魚のようなフォルムで、魚の口にあたる部分には女性の顔のような口元があり、前髪の様な触手が生えている。
正確なところは不明だが、生物学的に女性的な特徴を持つことは確かなようで、ゴースの胎内から這い出してきた新たな上位者が、ゴースの遺子と呼ばれている。
ちなみに日本の古い説話を集めた今昔物語三十一巻には、
常陸国(現茨城県あたり)の海岸に15m近い大きさの何かが流れ着いた。
それは頭部と右手と左足らしきところが欠損していたが、体つきや肌の感じから女であると判断された。
という話が記録されている。
もしかして狩人の悪夢の舞台は茨城だった?
メンシスの悪夢に登場する上位者、本作のラスボス。
同エリアの最深部であるメルゴーの高楼最上階にて、メルゴーの乳母車を護っている。
メルゴー
メルゴーの乳母によって護られる上位者。
遥か古代、トゥメル文明において女王ヤーナムが孕んだ赤子。ゲーム終盤から聴こえ続けていた謎の赤子の泣き声の発生源。
メルゴーの乳母を倒す事で眠りにつき、女王ヤーナムも礼を告げるように消えていく。
赤い月をバックに降臨する上位者、本作の真のラスボス。
ゲールマンによる介錯を拒む「遺志を継ぐものEND」では戦わず、赤い月から降臨した月の魔物に抱きしめられることでプレイヤーはゲールマンから狩人の夢を引き継ぎ、エンディングとなる。
「3本目のへその緒」を3本以上使用している場合、「幼年期のはじまりEND」へと移行し、魔物が抱擁途中で何かに気づいたように主人公から離れ、そのまま戦闘となる。
DLCステージ、実験棟のボスとして登場する眷属。
医療教会の実験棟で行われていた人体実験の過程で生み出された、上位者のなりそこない。
DLCステージの最深部、漁村のボスを務める上位者。
本編ではミコラーシュの台詞にしか登場しなかった上位者ゴースの胎内から生まれた、老いたる赤子。胎盤の様な器官を右腕に絡ませており、これを武器として戦う。
余談
弱点
上位者と眷属に対しては雷光属性攻撃で大きなダメージを与える事が可能なので、これが上位者共通の弱点と言える。ただし、全属性攻撃が効かないうえに、逆に雷光を操る例外もいる。
また、血晶石の中には眷属へのダメージを増やす『対眷属』属性を付与するものがあるほか、眷属には刺突攻撃に弱い者が多いが、これらは眷属特有の弱点であり上位者には通用しない。
体液に関する考察
上位者には、赤子を求めるという性質の他に、例外はあるもののビジュアル的な共通点として、攻撃された際には白い体液を撒き散らすと言うものがある。
正確には上位者としての特徴と言うよりも、パラメータの一つである神秘の属性に由来する共通点であるようで、上位者以外にも白い体液を持つキャラクターが二人存在する。
一人が、聖剣のルドウイーク。
もう一人が、狩人の夢の人形である。
ルドウイークに関して言えば、ストーリーの内容や各種アイテムのテキストから、啓蒙と言うパラメータや精霊と呼ばれる軟体生物、もしくは寄生虫や『獣の病』が関係しているのだろうとは予想が付くが、人形に関しては何故彼女が白い体液を持つのか全く手掛かりがなく、不明である。
その為、彼女もまた上位者の一体なのではないか?とも言われる。
但し、あくまでもプレイヤー間の考察の一つにすぎず、真相は不明である。