概要
啓蒙とは、「暗きもの(蒙)が啓かれる」、つまり「知識」を得て、「真実」を知ることを指す。『Bloodborne』においては、経験値と通貨を兼ねたパラメータである血の遺志に並ぶ、使用によりプレイヤーの助けとなるパラメータであり、従来のソウルシリーズにおける人間性に相当する。
獲得手段
主な入手方法は四つ。
- 特定のエリア、場所への到達(その周回における初到達時のみ)
- ボスキャラとの遭遇(その周回における初遭遇時のみ)
- ボスキャラの撃破
- アイテム”狂人の智慧”や”上位者の智慧”の使用
この他にも啓蒙を入手する手段として、上位者の赤子だけが持つ”三本目のへその緒”、高位の”血の穢れ”を使用する。特殊なNPCと会話を行うと言ったことが挙げられる。
また、アイテムの狂人の智慧や上位者の智慧は、偉大な知識に触れて発狂した人々の頭蓋骨であり、これらのアイテムの使用は、彼らの持つ智慧や遺志を取り込む事を示している。
つまりは異常な体験、それらを経験した人々の遺志を取り込むことで啓蒙を獲得し、高めることができる。当然ながら体験の内容によって獲得量にも差が生じ、異常なエリアに到達した際、異常なボスに勝利した際などには、相応に高い啓蒙が得られる(最低で1、最大で5)。
ゲーム本編の探索では一周回ごとに得られる啓蒙の量に限りがあるが、聖杯ダンジョンは再生成する事で何度でもボスやアイテムが復活する為、取得可能量は無制限と言える。
ゲーム内での機能
啓蒙を1以上取得すると、狩人の夢にいる人形との会話が可能になり、以降は血の遺志を消費する事でレベルアップが可能になる。逆に言うと、最初のボスである聖職者の獣あるいはガスコイン神父と遭遇し、啓蒙を得るまではレベルアップを行うことは出来ない。
啓蒙は取得したのちに消費することが可能なパラメータだが、従来作の人間性のように死亡によって喪失することはなく、一部の例外を除きプレイヤーの意志で消費する事によって減少する。ただし、取得することにメリットしか存在しない血の遺志や人間性に対して、啓蒙の場合は取得・蓄積するごとにリスクとデメリットが生じる。
啓蒙の取得によって生じるリスクとデメリットは以下の通り。
- ステータス異常の一つである発狂のゲージが溜まりやすくなる(発狂のゲージが溜まると、全身から血を噴き出してHP70%分の大ダメージを受ける)
- 一部のエリアで、特殊なエネミーが追加出現する
- 特定のエネミーの攻撃手段が追加され、強化される
- 「獣血の丸薬」使用時の獣性ゲージが短くなり、攻撃力上昇倍率が低下してしまう
啓蒙の使用によって行える事は以下の通り。
- 啓蒙を消費する特殊なショップ「啓蒙取引」でのアイテム購入
- 「狩人呼びの鐘」で戦闘で協力してくれるNPCを召喚する(消費量1)
- オンライン環境で「狩人呼びの鐘」を使用し、他プレイヤーを召喚する(消費量1)
総じて溜め込むほどデメリットが増えていくが、啓蒙取引で貴重なアイテム(血の遺志では購入できない消耗品、ボスキャラクターが装備していた狩装束、需要に反して入手機会が非常に少ない武器強化素材、聖杯ダンジョン生成用の素材)が購入できたり、NPCや他プレイヤーのサポートを得らえるなど、蓄積する必要性も無視できない。
特に武器強化素材の「血石の塊(消費量20)」「血の岩(消費量60)」はかなりの高額で、購入しようとすると相当量の啓蒙を溜め込む必要が出てくる。
プレイヤーの意志とは無関係に啓蒙を失う例外的な例として、脳を吸う攻撃を行うエネミー「脳喰らい」から攻撃を受ける(消費量1)。ということが上げられる。しかし、脳を吸う攻撃以外では啓蒙が減少する事はなく、脳喰らいの数自体もゲーム全体を通して見ても少ない部類にある為、基本的には増加することは多いが減少することは少ない。
また、発狂攻撃を行う敵は総じて強敵ではあるものの、高い啓蒙を保った状態でも、攻略が困難になるほど難度が上昇するわけではない。
『啓蒙』の意味
このゲームにおける啓蒙は、どちらかと言うとゲーム性よりもストーリーに関係のあるパラメーターとなる。
啓蒙という概念は「上位者の姿を観測する為の必要数値」とも言える。
かつてビルゲンワースと学長ウィレームは、高次元思考力”思考の瞳”と呼ばれる禁断の知識を求めていた。チンパンジーが原子物理学を理解できないように、知能の劣った人類には、より高い次元にいる上位者の智慧を理解できない。そこで、高次元の思考の足掛かりとして、この啓蒙が必要になる。
啓蒙を高めることで狩人は様々なものが見えるようになったり、聞こえなかった音が聞けるようになる。メタ的に言うと、オドン教会にいるアメンドーズの姿が見える様になり、BGMに赤ん坊の声が追加される様になる。言うなれば、コズミックホラーにおける、知ってはいけないものを知った状態を疑似的に体験する事になる。
ならば、啓蒙を高めれば隠された秘密が観測できるようになるのかと言えば、そんな単純なものではない。啓蒙を高めればそれまで認識できなかった存在を観測できるようになるが、それと同時に文字通りの「疑心暗鬼」の如くありもしないモノを想像だけで観測するようになってしまう。
更に、発狂に関しても「全身から血を噴き出す」という一般的な発狂とはあまりにもかけ離れた物理的な反応を示す。発狂した狩人は、一体何を知ってしまったのだろうか……
なお、作中には「人間から眼球を摘出して全身に貼りつける」「異形化した者を解剖して脳内に瞳があるかを調べる」など、物理的に脳内へ瞳を取り込む方法を模索していた者達が登場している。学長ウィレームは「知識でもなく、哲学でもなく、外形ばかりを模する」者達を憂いていたようだが、それはこうした者達の事だったのかもしれない。
啓蒙の一定数蓄積により起こる変化
0 | 人形が動かなくなる(一度でも起動していればレベルアップのみ可能) |
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1 | 人形が動き、会話やレベルアップが可能になる。啓蒙取引の使者が出現。ヘムウィックの魔女が狂気者を召喚するようになる。 |
15 | ヘムウィックの墓地街とその付近エリアで夜以降に狂気者が出現する。聖堂街、聖堂街上層にいる敵のランタンに目玉が発現し、攻撃パターンが変化。 |
16 | 発狂耐性が低下。以降1増加するごとに少しずつ下がり続ける。 |
40 | 聖堂街のアメンドーズがストーリーの進行に関係なく視認できるようになる。 |
50 | 狩人の夢のBGMがストーリーの進行に関係なく変化する。「狩長の印」により開く正門のレバーに使者の姿が見える。 |
60 | ストーリーの進行に関係なく赤子の泣き声が聴こえるようになる。 |