概要
CV:織田碧葉
旧I水門に地縛されていた少年霊。封印を解く際の言霊は「盈(み)たして」。封印されている人形はライオン。
所持しているスケッチブックに描かれた人間や霊を透明な腕によって水門に吊るし、さらにスケッチブックの絵を塗り潰すことで塗りつぶされた部位が肉団子に変換され、少年霊はその肉団子を食べて自身を強化・回復する。
その正体は継母による虐待の末に旧I水門で殺された少年の霊であり、その前に実父と継母の間男も殺害されている。継母は死体処理の方法として、遺体を肉団子にして少年に捨ててくるよう渡しており、少年は空腹のためにそれを実父と知らず食べてしまったが、死後霊となった際に自身と間男の死体を肉団子にする継母の姿を見てかつて食べた肉団子の正体に気づいてしまい、実父への罪悪感と継母への憎悪から悪霊化した。悪霊化してからは全ての顔が継母に見えてしまうようになり、継母への憎悪から無差別に霊や人間を食べるようになった。
夜宵達に敗れた後は悪霊のみを食べるという約束で封印され夜宵の所有霊となった。
夜宵の所有霊となってからはスケッチブックを介しての意思疎通が可能となり、夜宵から敵味方の区別を特定の香水の匂いを「味方」と覚えさせることで可能としつつ、その他にも様々な戦略の指導を受けたことで、卒業生の中でも最強クラスの力を持つようになった。また、上述の全ての人間が継母に見える問題はあるが、人格的には醜悪という訳ではなく、一時的に自分を使役した詠子に敵の悪霊の能力を防ぐ為の耳栓をしてもらった際には僅かに笑みを浮かべるなど、根底から弟切花魁や斎弄晒レ頭のような凶悪さを持つ訳ではない。
能力はスケッチブックを用いて漆黒の腕を操り敵を攻撃することであり、腕を様々な形状に変化させることで多種多様な能力を編み出している。
- 第一形態『常(じょう)』…通常状態の姿であり、この状態だと普通の子供の姿をしている。しかし、この姿の本質は光の屈折を利用して物理的に自分そっくりな虚像を作り出し、霊能者ですら一般人にしか見えない精巧な擬態によって他者を欺く点である。日中であっても気配を隠し、この姿で周囲の人間を欺くことが出来る。
- 第二形態『血(けつ)』…この段階に進むと悪霊としての姿を現し、白目と黒目が反転した目となり、目や口から血液が滴り落ちる悍ましい姿となる。この段階になると上述のスケッチブックを用いた能力を行使するようになる。スケッチブックに描かれた対象の体を黒く塗りつぶすことで対応する部位が削り取られてその質量が肉団子に変換し、少年霊の手元のタッパーに肉団子が出現しその肉団子を捕食することで自己強化を発生させる。『身代わり』という防御手段が使えない悪霊達にとっては特攻とも言える性能を持ち、呪いの起点であるスケッチブックを少年の手から落とすなどして対処しないかぎり解呪はされず、『卒業生』ですらで一方的に倒されかねない凶悪さを持つ。作中ではテレビ出演していた有名霊能力者(に成り代わった悪霊)でも手も足も出させず瞬殺した。唯一の欠点はスケッチブックが少年の手元になければ呪いが発動出来ず、スケッチブックを捨てさせられれば即死の呪いからは一時的に逃れられる。
- 第三形態『纏(てん)』…漆黒の腕を全身に布のように纏い、背部からは4つの巨大な腕を構成するようになり、合計で6つの腕を持つことが名前の由来でもある。この形態は攻防力と耐久力を向上しつつある程度の機動力を維持している。反面、不可視の攻撃ではなくなったのと、腕が届くまでの距離にしか攻撃出来ないという欠点も生じている。
- 第四形態『業(ごう)』…全身の布の厚さが減る代わりに背部の4つの腕が肥大化し、防御力を落とす代わりに攻撃力と機動力を底上げした形態。
- 第五形態『哭(こく)』…これまでの布を纏ったような形態とは異なり、鎧を纏ったような姿となり、背部の4つの巨腕はより鋭角的に変化する。
- 第六形態『蝕(しょく)』…これまでの人型形態とは異なり、巨大な漆黒の球体の中に血(けつ)の状態の黒阿修羅を格納することで外部からの攻撃を完全に遮断しつつスケッチブックを用いて敵を葬ることが出来る攻防一体の形態。そして、黒阿修羅最大の弱点であるスケッチブックを気にせずに戦闘を継続出来るという最大の利点がある。
- 第七形態『殲(せん)』…蝕(しょく)の状態の黒阿修羅を格納する形で4つの巨腕を持つ巨大なロボットのような装甲を形成する最終形態にして最強形態。この形態はこれまでの硬化一辺倒の形態と完全に異なり、液体金属のような剛と柔を併せ持ち、装甲の一部を液体化させ、上空から無数の雨のように降り注がせ、雨に触れた相手を消滅させる広範囲且つ回避不可避の攻撃が可能となる上、純粋な肉弾戦にも優れており、高い攻防力と機動力を発揮する。しかし、この形態の真価は黒阿修羅の攻防力の強化ではなく、遠隔操作であり、上述の装甲内部に格納されているのは黒阿修羅の分霊(分身)であり、本体は離れた位置から装甲を遠隔操作することで本体は無傷且つ安全を確保したまま敵を欺き、仮に装甲が破壊され中の分霊が倒されても、それによって安心した敵の隙を突いて確実に仕留められるというものであり、夜宵が黒阿修羅を卒業生の中でも最強と称する所以でもある。