概要
雅楽で用いられる撥弦楽器(撥などで弾く弦楽器)である。その音は薩摩琵琶などに比べると素朴ではあるが、大音量のものが多い雅楽器の中でも引けを取らない力強い音が出る。
四絃四柱(フレット)で、鹿頸(ネック)が曲がっている。
雅楽の中でも管絃(楽器のみの演奏)と催馬楽(楽器の演奏に合わせて和歌を歌う)用いられ、舞楽(舞を伴う演奏)などには用いられない。(古くは用いられていた)
歴史
起源は古代ペルシャのバルバットという楽器で、それがシルクロードを経由して中国に伝わった後、遣唐使らによって日本にもたらされた。
奈良時代
奈良の正倉院には奈良時代のものとされる楽琵琶が5面現存し、楽譜すら伝わっているため、すでにこの時代から貴族などには親しまれていたと考えられる。
平安時代
『源氏物語』といった文学作品の中でも琵琶を弾くといった情景はよく描かれている。「玄象」など、名器とされる琵琶の逸話も伝わっている。
また、『楊真操』『流泉』『啄木』といった秘曲も唐から伝わり、琵琶はより一層親しまれるようになった。
中世以降
鎌倉時代に政権の中心が武士へ移ったため、貴族に親しまれてきた雅楽は衰退していった。
それに伴い楽琵琶も衰えていった。
さらに室町時代には京都を主戦場とする応仁の乱が勃発し、雅楽存亡の危機となった。
その後豊臣秀吉らによって復興されたため事なきを得たものの、楽器の演奏方法は変化した。それ以前は一絃ずつ主旋律(現在の雅楽のそれとは異なる)を弾いていたものを、和音で管楽器の伴奏を弾くようになった。
もちろん現在も雅楽で用いられている。
関連イラスト
動画
別名・表記ゆれ
曲頸四絃琵琶 琵琶(雅楽ではこう呼ばれる)
関連タグ
弁財天(楽琵琶を弾いているイメージがある)