死ねぬ体ゆえ、幾度でも斬られてやれるぞ
解説
CV.塾一久
主人公の狼が拠点とする荒れ寺の広場に住み着いている、面頬姿の侍。
「死なず」または「蟲憑き」と呼ばれる何度死んでも生き返ってしまう呪われた体質の持ち主であり、自分を完全に殺し切ることのできる者を探し求めている。
狼に立ち合いを挑んで一度殺された後、剣術の修練相手となってくれる。
修練(チュートリアル)
死なず半兵衛との修練ではSEKIROのゲームシステムの基本である「弾き」による体幹の削り方や、敵の危険攻撃(通常のガードや弾きで防げない技)への対処などを練習することができる。
半兵衛の攻撃では狼はダメージを受けないため安心して練習できるが、一度始めると指定された殺し方で3回ほど半兵衛を殺さないと修練を終えることができない。半兵衛は修練する項目に合わせた一定の行動(弾きの修練であれば一定のタイミングの攻撃だけを何度も繰り返すなど)を取ってくる。修練が進むとランダムな攻撃を仕掛けてくる「模擬戦」を行えるようになるほか、狼が習得する「見切り」などのスキルも練習できるようになる。
不死斬り
葦名に伝わる「死なぬ者すら殺す刀」不死斬りを入手してから話しかけると、半兵衛から改めて不死斬りを使って自分を殺してくれるよう頼まれる。頼みを承諾すると半兵衛との修練はできなくなり、時間をおいて再び訪れた際に半兵衛の不死を絶って完全に殺すイベントが発生し、レアアイテム「奥の歯」を入手できる。
半兵衛を殺さないことを選んでイベント進行を止めてもゲームクリアやトロフィー入手には何の障害も発生しないが、「奥の歯」の入手機会はこのイベント以外に無い。その効果は「使用すると即座に死亡する代わりに回生の連続使用制限がかからない」というもの(残りHPが少なく回生の使用回数に余裕がある場合などに有効)。同様の効果を持つ消費アイテム「噛み締め」と違って何度でも再利用ができる点を加味してもさほど実用性の高いアイテムではないが、その説明テキストは己の死さえ織り込んで戦うことに慣れていくSEKIROプレイヤーにとって実に味わい深いものである。
(略)
使うときは、奥歯を噛み締める
そうすると、幾度でも死ねる
使いようによっては、役立つかもしれない
だが、覚えているだろうか
普通は、一度死んだらおしまいだ
半兵衛本人も、何度もこれを使ってみたのだろう。
人柄
一見敵キャラクターと見紛う恐ろしげな風貌に反し、飄々として穏やかな性格である。初対面の狼に立ち合いを求めた理由は「忍びの技なら自分の不死を絶てるのではないか」というわずかな期待だったが、そのあてが外れた後も「退屈しのぎ」と「其処元(狼)の眉間の皴を取ってやりたい」という素朴な動機で修練相手になることを申し出る。
かつて亡くした主君に殉死できなかった無念を内心に抱えており、不死断ちを求める大きな理由と思われる。
過去
公式スピンオフ漫画「SEKIRO 外伝 死なず半兵衛」(作画・構成:山本 晋)において、狼と出会うまでの半兵衛の過去が明かされている。
かつて行き倒れて死にかけていた少年期の半兵衛は何者か(恐らくは仙峯寺の僧侶)に蟲を憑けられ、「死なず」の放浪者となった。死ねない体を利用して侍たちとの真剣勝負を繰り返すうちに武芸の腕を上げ、葦名の武将田村主膳に仕えることになる。その田村が葦名一心との戦(SEKIRO本編の冒頭で描かれる「国盗りの血戦」)で一騎打ちに敗れた際には、自らも一心に挑んだがあえなく斬り捨てられた。
その後、再び放浪しているところをとある村の姉弟、鈴と正吉に助けられる。村を襲った賊を撃退したり、山で人を殺していた猿の皮を被った猟師を追い詰めたりと、人々の為にその腕を振るい、姉弟の一家とも親睦を深めていく半兵衛であったが、村を救った死なずの侍がいるという話が村のある土地を管理する家に伝わってしまう。そしてその家の頭領はかつて戦で半兵衛に腕を斬られ、思うように力を振るえなくなったことで彼を恨むかつての葦名の武将、高峯比良近であった。
比良近は鈴を攫い、半兵衛を高峯家に誘い込むことでかつての雪辱を晴らそうとするも、同行した正吉が手傷を負いつつも比良近の部下を足止めしたこともあり半兵衛は比良近に勝利した。
その後、高峯家で赤目の研究をしていた道順に正吉の治療を頼むが、その際に彼の赤目の研究での成功例であったものの、その余りの強さに手がつけられなくなっていた比良近の息子、虎道(第1話で村を襲った野伏せり)の討伐を依頼される。
虎道の凄まじい力に圧倒される半兵衛であったが、そこに正吉が現れ、虎道に油をかけ火を放つことで半兵衛を助太刀する。
それすらも耐え忍ぶ虎道であったが、遂には半兵衛に敗れ、洞窟の底へ落ちていった。
しかし、その際に負った傷で正吉は死亡、鈴も既に赤目の実験材料にされ、正気を失ってしまっていた。半兵衛は鈴に刀を抜き、彼女を────
そして数年後、葦名城城下の荒れ寺に流れ着いていた半兵衛は、一匹の飢えた狼と出会うこととなる………
余談
- ゲーム内では決して強くはない半兵衛であるが、あの葦名一心の放つ一文字二連を初撃だけではあるが弾いており、比良近に対しては戦時代には圧勝、高峯邸での戦いでも彼の突きを見切りトドメを刺しているなど、本来はかなり腕の立つ人物である。ゲーム内ではチュートリアルキャラ的な存在なので意図的に弱く設定されているのだろう。