概要
言語の発音のうち、舌や唇などによる息や声の妨害の度合いが弱い音のこと。
代表的なものにあいうえお/a,i,u,e,o/а,и,у,э,оなどがある。
母音はひとつだけで発音するものと複数の母音を組み合わせて発音するものとがあり、前者を「単母音(たんぼいん)」、後者を「重母音(じゅうぼいん)」という。重母音は各音がなめらかにつながって発音されるもののみを指し、単に母音が連続しているだけのものは含まない。
母音は以下の3つの要素によって区分される。
- 唇を丸めるか否か(円唇・非円唇に区分される)
- 舌のどの部分を上あごに近づけるか(前舌・中舌・後舌などに区分される)
- 舌をどのくらい上あごに近づけるか(狭・半狭・半広・広などに区分される)
例えばa,i,u,e,oは
a 非円唇前舌広母音
i 非円唇前舌狭母音
u 円唇後舌狭母音(日本語の「ウ」は非円唇)
e 非円唇前舌半狭母音
o 円唇前舌半狭母音
となる。
また、発音をそのまま口から出す母音と鼻に抜く母音とがある。前者を「口母音(こうぼいん)」、後者を「鼻母音(びぼいん)」という。日本語の場合、ア行・ヤ行・ワ行の直前の「ン」が鼻母音になる。
言語によって母音の数が異なる。
アラビア語の母音が3個しかない一方で、英語の母音は20個近く存在するが、これは先述の重母音もカウントしているためで、単母音のみに限定するともっと少ない。
日本語やスペイン語、イタリア語等は母音言語と呼ばれ、発音における母音の割合が大きい。