本尊は釈迦如来・弥勒仏(弥勒菩薩)・阿弥陀如来。それぞれ現在、未来、過去を象徴する「三世仏」である。
日本における曹洞宗の拠点である。中国から曹洞宗の教えを持ち帰った道元が、京都を拠点とした布教を経て、帰国から16年後に建立した寺。当初の寺院名は「大仏寺」であったが建立の二年後に改められた。
寺としての格は「大本山」。二つある大本山の一つであり、もう一方は總持寺である。
総本山は本山が一つしかない時に使う言葉であるため、日本曹洞宗に総本山は存在しない。
所在地は北陸の越前国(現在の福井県)山中である。道元の師匠である如浄禅師が修行の場として弟子に説いた「深山幽谷」に当てはまる地であり、冬にもならないうちに厳しい寒さが修行者に突き刺さる。
食べ物の調理や掃除を含む生活そのものが修行、という曹洞禅の教えを体現する一大道場であり、それぞれの作法に厳格なルールが敷かれている。
修行者たちは天童如浄の時代より受け継がれた苛烈とも言える修行生活を送る。野々村馨著『食う寝る坐る永平寺修行記』(新潮文庫)でその一端を垣間見ることができる。