概要
煮付けBLとは創作作品におけるシチュエーションの一つである恋人への想いが強すぎるあまり、助けるためなら人の道さえ外してしまうというものであり、その作品には恋人への強い想いとそれ故犠牲になってしまう人の命という対比が美しく現れる。
また、より狭義の意味で名前の由来である人魚を煮付けにしてそれを認識してない相手に食べさせる事で不老不死にさせてしまうシチュエーションを指す場合もある。
なお、ボーイズラブと名前が付いてはいるがBLに限らずGLや男女カプでも成立する。
そのため、煮付け概念や煮付けシチュと呼ぶ人達も存在する。詳しくは後者の記事を参照。
ただし煮付けの元ネタとされているちいかわの登場人物は全員性別不明である
「煮付け」の元ネタ
発端はナガノによる漫画作品であるちいかわの島編で登場した、ちいかわ族で頭に葉っぱの生えた個体(便宜上読者から一葉と双葉と呼ばれてる事が多い)の島民の2名こと葉っぱちゃんである。
詳細な経緯は省く(詳しくは葉っぱちゃんの記事を参照)が、ある事故がキッカケで双葉が瀕死の重傷を負ってしまう。
一葉は食べると永遠のいのちを得られるという伝説から人魚をしるこサンドでおびき寄せて殺害し、その肉を煮付けにして二葉に食べさせる事で死の淵から回復させた。
(参考)
以上のエピソードで重要な事は、ちいかわ族は基本的に同族に害を成す怪物を討伐する仕事以外で殺生を行う事はないという点である。
上記事故にはセイレーンと人魚が居たため全くの無関係ではないものの、実質何もしていない人魚を殺害すると言う事はちいかわ族においては一線を超えた行動であり、人魚1体の命と引き換えに二葉を復活させた一葉の想いの強さが窺えるエピソードとなっている。
また、その後公開されたエピソードにおいて不老不死となる人魚を知らず知らずのうちに食べた事を知った二葉が、その後に訪れるであろう孤独を恐れて一葉に同じく不老不死になるよう求め、一葉が逡巡の後に食したようにも見える事から共に堕ちていく様にエモさを感じた読者も存在するようだ。
実際のところ
ちいかわ以前の創作においても類似した例は存在する…というよりも、
「何らかの経緯を経て片割れのために罪を犯し」
「それを知ったパートナーが隠蔽に手を貸すなどして共に堕ちていく選択をして」
「二人一緒に罪を秘匿しながら生きていく」
と要素を抜き出して見た場合、BL、百合、NL問わず散見されるものであり、ある意味既存のテンプレに則ったものであるともいえる。
具体例を挙げると、「死体を埋める百合」などが近いか。
ではなぜこの煮付けBLが話題を呼んだかと言うと
・仮にもなんかちいさくてかわいいやつの漫画でこのような展開になったという事実
・ナガノ氏によるキャラクターの巧みな心情描写
・「食べる」という能動的な動作を行う→自ら望んで共に堕ちていくことを選んだと受け取ることのできるある種のCP的要素
・「人魚の肉を食べると永遠の命を手に入れられる」という噂の真相が「単3電池で動くロボット(みたいな何か)になる」といったものだった、というあまりに突飛な展開を行ったことが話題となり、ちいかわに注目が集まっていたこと
などの要因が相まって、ちいかわらしからぬ破壊力のある絵面が生まれ、一葉と双葉の退廃的な雰囲気が一部の読者に刺さったことが大きな原因であると言える。
余談
・この島編により新たな性癖(?)をこじ開かせられる者、似て非なるものとして『仮面ライダーアマゾンズ』の人肉ハンバーグを、更には同じく「今日の日はさようなら」がとある衝撃的なシーンで使われたことで半ばみんなのトラウマとなった『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』を想起する者が出てきた。
・なお便宜上BLと称しているが、葉っぱちゃん(ちいかわ)の二人は性別不明である。
関連タグ
火曜サスペンス劇場∶殺害シーンで挙がった感想ワードで出てきた番組名。
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破:同じく「今日の日はさようなら」が衝撃的なシーンで使われたことで同楽曲自体がトラウマになる人が続出してしまった作品。