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甲一

こうかず

「甲一」とはロボットアニメ作品「蒼穹のファフナー」シリーズにおけるコンビ・カップリングタグである。
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概要編集

アニメ蒼穹のファフナー春日井甲洋 ×真壁一騎のコンビ又はカップリング。

2人は同じ島で生まれ育ち、幼少期から小学校、中学校3年のある時点まで仲の良い友人として過ごした。

成績優秀で人当たりがよいが家庭環境に恵まれない甲洋と、運動神経抜群でマイペースな一騎は、甲洋が一騎に勉強を教えたり、何かと悩みがちな甲洋が一騎の言葉や存在に救われたりする関係である。

 だが、恋愛面においては甲洋→羽佐間翔子 →一騎という一方通行であり、甲洋にとって一騎の存在は恋敵にあたる。(一騎自身は遠見真矢に教えられるまでそのことに気づいていなかった)

甲洋は1期8話の時点で一旦は死亡に近い扱いで主要キャストから消えたが、2期19話でエレメントとして復活して以降、とくに皆城総士 (初代)がいなくなってからは、来主操とともに常に一騎のそばにいるポジションになった。

特に、1期アニメ版で2人が一緒にいる場面や会話は多くはないが、小説版、コミカライズ、ドラマCD 「STAND BY ME」まで含めると、戦いの始まる前、および序盤までは総士よりも甲洋のほうが一騎の親友としてそばにいたことがわかる。


1期(甲洋15歳一騎14歳)の身長差は3センチ、体重差は8キロ。およそ10年後にあたるTHE BEYONDでは身長差5センチに広がっている。(公式設定がないため、体重差は不明)


蒼穹のファフナー Dead Aggressor (1期)および小説版、コミカライズ編集

 幼くして母親を亡くし、料理下手な父親に連れられた一騎が、甲洋の両親の経営する喫茶店にちょくちょく食事しに行くうちに2人は親しくなった(小説版表記)

物語序盤で登校中の一騎に最初に話しかけたのが真矢、2番目が甲洋である。甲洋は学校中の人気者だが一騎はあまり目立たず、唯一気楽に話せるのがこの二人だと、小説版に明記されている。この時の会話の内容は、海野球に関して一騎の運動神経がずば抜けてよいこと、それを語る甲洋の記憶力が尋常ではないことが印象付けられ、下駄箱では甲洋にはラブレター、一騎には決闘状が大量に届いている。

また一騎が甲洋に対し「卒業したらどうする?」とたずね、それに対し甲洋は「島を出る」とこたえ、一騎は自分もそうするとこたえている。(小説版、コミカライズ共通)長く続くシリーズ部分の、ごく初期の会話が実は物語終盤の展開につながっている。

その後フェストウムが襲来し、生徒たちがシェルターに避難した際も、一騎と甲洋は一緒にいる。

2人は仲間たちと揃って、ファフナーパイロットとして訓練を受けることになったが、抜きんでた才能を発揮する一騎に対し、甲洋は劣等感を抱く。また彼は周囲に対しては明るくふるまっていたが本音は自信がなく猜疑心を抱きやすい、怖がりな性質であり、戦闘に巻き込まれてゆく島の現状に大きな不安を感じていた。

 4話では体調を崩した翔子のために、アルヴィスの病室で真矢が企画した「お見舞いパーティ」に一騎と甲洋も参加し、お菓子を食べたりトランプに興じている。(アニメとコミカライズで表現がかなり異なる。アニメでは翔子に想われているのに気づかない一騎に対し甲洋が苛立っているが、コミカライズでは和やかで楽し気な雰囲気になっており、その後2人で「楽しいな」と話す場面がある)

 5.6話で一騎が新国連機救出のため、島を離れている際にフェストウムが襲ってきたため、病体をおして出撃しようとする翔子に甲洋は「何かできることないか」とたずねる。

結局、最後まで翔子は甲洋には目もくれず、「一騎くんの島を守る」と言いながら壮絶な戦死を遂げた。

このことに対し、甲洋は一騎に逆恨みともいえる憎しみをぶつけ、以降、自暴自棄な言動行動が目立つようになる。

 7話で、総士とともに翔子の墓参りに行った一騎は、汚された墓碑の前で立ち尽くす甲洋に出会う。

大切な翔子を失い、墓まで汚された甲洋は平常心を失っており、一騎に詰め寄るがその場は「ああするしかなかった」と総士が諫めた。拾った子犬(ショコラ)の預け先に困っていた甲洋は、雨の中公園で久しぶりに一騎と会話を交わす。一騎は、今まで甲洋からぶつけられた理不尽ともとれる言動についてなにひとつ責めることはなく普通に話したが、2人の関係の修復までは至らなかった。

 8話で、アーカディアン・プロジェクトの残骸となった島で、取り残されてしまった真矢と溝口を救うため、甲洋はファフナーで救出に向かう。

彼は、かつて一騎が翔子を助けられなかったことを「おまえなら助けられたはずだ」と強く糾弾し、「自分なら絶対に仲間を見捨てたりしない」と考えていた。その考え通り甲洋は2人を助けたが、自らはファフナーごとフェストウムに吸収されてしまう。

要咲良の活躍により甲洋は救出されたかに見えたが、中枢神経まで同化されており、その肉体は以降アルヴィス管理下におかれる。

 20話で甲洋は目覚め、人間としての意識がないまま翔子の思い出を求めて島内をさまよい、同級生たちに保護される。かすかな、人としての意識の中で「翔子がいない」と慟哭する甲洋を一騎は抱き締め、優しくなだめた。24話で甲洋はスレイブ型フェストゥムの姿になり、一騎の母親である紅音の意思をもったフェストウム(ミョルニア)と、島を守るため行動をともにしている。


ドラマCD STAND BY ME編集

 メディテーション訓練(疑似コクピットに入り、内的ビジョンを体験する訓練。パイロット候補それぞれの心をあらわす海が現れる)で一騎が甲洋の海を訪れた際、「きれいな場所だ」と言っている。甲洋にとって自らの海は氷に覆われた冷たい場所だったが、一騎が来たことで「寒さが少し消えた」と言っている。

 その後に真矢と翔子が氷の海に墜ちてきた際、一騎が甲洋に氷を消すように言うが、甲洋は「壊されたくない、ここは俺の場所だ」「騙されるのが怖い、裏切られるのが怖い」と拒絶している。この時点での甲洋にとって、自分の心に受け入れることができるのは一騎のみだったと思われる描写である。

 訓練後、戦いを怖がる甲洋に一騎が「何もできないかもしれないけど、せめて危ない時には隣にいてやる」と言い、それに対して甲洋は「よろしく頼む、お前がそばにいてくれれば心強いよ」とこたえている。(内容はほぼ同じだが、ドラマCD版とコミカライズで会話場面が異なる)


劇場版・前日談小説編集

 同化現象により、ほぼ視力を失った一騎は甲洋のいない喫茶楽園の調理師をしている。仮想現実の海を思い出すとき、一騎は甲洋の海をイメージしている。


劇場版 蒼穹のファフナー HEAVEN AND EARTH編集

 ミョルニアはボレアリオスに囚われており、甲洋は肉体を失いマークフィアーのコアとなって戦闘に参加している。


蒼穹のファフナーEXODUS (2期)

 1話で、楽園の調理師でいる理由を総士に問われた一騎は「ここは穏やかで、大切な仲間がいた場所だから、俺はここにいる」と答えている。楽園は、甲洋の実家である。つまり、一騎はずっと、甲洋のいた場所を守っていることになる。

 19話でウルドの泉に新たなコアが出現し、マークフィアーを形成する。コクピットには、エレメントとして肉体を取り戻した甲洋が搭乗していた。甲洋は、かつて一騎が助けられなかった翔子の機体と同型のアマテラスを救い、「確かに助けたぞ、一騎」というのが、復活した甲洋の第一声であった。つまり、2期8話でほぼ死亡扱いになっていた彼の中で、一騎に対する愛憎や約束というものがずっと根底にあったと考えられる。だが、その後2期終了まで一騎と甲洋が直接会話する場面はない。総士のために地平線を超えようとする一騎を、甲洋は操とともに引き留めている。



蒼穹のファフナー THE BEYOND編集

1話

総士(二代目)捜索に際し、「ここに子供たちの気配がある」と甲洋が一騎に教えたのが、1期以来の2人の会話である。蒼穹作戦に失敗し、眠りにつく一騎に「この先は目覚めないほうがいいかもしれない」と甲洋が言っている。この時点では二人ともエレメントになっており、口に出して会話する必然性はなくなっているが、少なくとも甲洋の方は、なるべく言葉として伝えているようである。

4話

海神島の楽園で甲洋はマスター、一騎は調理師としてともに働き、戦時下においては二人ともボレアリオスミールを住居にしている。つまり、職住をともにしている。(一騎は戦時下以外には真壁家で寝起きすることがある)

6話、ファフナーブルクでメカニックのイアンが「ザルヴァートル化は慎重にな」と言うのに対し甲洋が「一騎なら心配ありません」とこたえている。7話で実際にザルヴァートル化の場面でもほかの面々(フェストウムも含む)が「何が起こるのかわからない」といった様子でいるのに、唯一甲洋だけが事態を把握しているらしく、巻き込まれないよう離れる指示を出している。これは、甲洋が「一騎がアキレスをザルヴァートル化する方法や規模を正確に理解していた」と考えられる。

9話

「一騎、行ってくれ。ここは俺たちが守る」といって甲洋が操とともに島の守りを引き受け、一騎を第二次L計画援護に行かせている。

11話

日野美羽を救いに行きたがる一騎を、甲洋が行かせている。

操を失った甲洋を心配した一騎が「死ぬなよ」と心配するのに、「何度も失った身だ、こわくはないさ」とこたえている。これは1期のころの「せめて危ない時にはそばにいてやる」という甲洋との約束を、一騎が覚えていて、守ろうとしたことになる。

12話

竜宮島楽園内で「ショコラをこの島に戻せてよかった」という甲洋に一騎が「喜んでいるよ。翔子もカノンも」とこたえている。

戦いのあとどう生きていくのか父親に尋ねられた際一騎は「甲洋と世界を見てまわる」と答えており、物語のラストで実際にファフナーで旅立っている。


一騎と甲洋、二人の関係性編集

 甲洋と一騎を繋いだもの、それは翔子の存在だった。①甲洋は元々、自分に自信がなく、際立った存在感を放つ一騎を認めつつ妬んでもいた。②その思いは翔子の壮絶な死により怒りに変わったが、それは同時に自分への苛立ちでもあった。その後、彼自身もフェストウムに同化され、今やエレメントにまでの存在となったが、翔子が一騎のために守ろうとした島と島民を、翔子の思い出を共有する一騎とともに守護するものとして命を賭す。(THE BEYOND Blu-ray3巻ブックレット 甲洋と一騎 衝突から得た関係性)

 一騎と甲洋の関係性は、単純な友人同士とするのはあまりにも目まぐるしく変化している。幼少期の2人は、ごく普通の幼馴染、友人同士であったと考えられる。この関係性に変化があったとすれば、ひとつめは一騎が9歳の時、皆城総士との間にある事件が起こりそれまでべったりだった彼らの関係性に亀裂が生じたことと、総士を傷つけた一騎の心に大きな変化があり、それまでの明るくくったくのない性格からひどく内向的、自傷的な性格にかわったことである。この時を境に一騎は総士といることがなくなり、その断絶は中学3年まで続いた。甲洋はこの断絶に気づいていて、気にしていたようである。(2人が久しぶりに会話したことを喜ぶ描写がある)ふたつめに関しては特に原作に明記はされていないが、甲洋が翔子への想いを自覚し、彼女が好きなのが一騎であると知った時であると考えられる。(翔子が一騎に恋したのは中学の入学式であると、小説版に明記されているが、甲洋がいつどの時点で翔子を好きになったかは、明記されていない)


①羨望と妬み

 この時点で一騎は甲洋にとって憎い恋敵となるわけだが、それを当の一騎は気づいていない。甲洋自身も非常に善良で優しい性格だったため単に「おまえがうらやましいよ」という程度である。

 この、「翔子に想われていてうらやましい」というだけでなく、甲洋はたびたび一騎に対してうらやましいと感じており、実際一騎に対して口に出したこともある。「俺もおまえみたいになりたいよ。ほら俺っていちいち細かいことが気になるだろ?たまに自分が嫌になるのさ」と自嘲する甲洋に一騎はたまになら別にいいんじゃないか」とあっさり流している。また、これ以外にも一騎が優秀なパイロットであることにも、甲洋はうらやましいと感じていた。

小説版のみの設定として、一騎のマークエルフと翔子のマークゼクスがツインドッグ(戦闘パートナー)になる描写がある。その際、甲洋は一騎に「お前が羨ましい」「お前みたいになりたいって、本当に、ずっと思っていたんだぜ」と『優しく一騎を受け止めるように微笑み』、翔子を守ってやってくれと頼んでいる。(小説版表記)

 また、両親に顧みてもらえない自分と違い、父親に愛されている一騎のことを「いいな、父さんとごはんが食べられて」と口にしたこともある。(小説版表記)(コミカライズ)つまり、一期前半の甲洋にとって一騎は「欲しいものをもっている相手」で、羨望の対象であった。


②憎しみと怒り

 羨望が憎しみにかわったのが7話で、そうしたいわゆる負の感情を抱いたまま、甲洋は人としての生涯を終えてしまった。以降、彼は長らくフェストウムの世界にいたが、エレメントとして戻ったとき、感情の波は穏やかになったようである。

 初期の甲洋は、周囲に対しては成績優秀、社交性抜群で悩みなどないように見せていたが、その内側は両親から愛されない家庭での不遇、天才症候群による猜疑心の強さなどに悩まされており、その胸の内を時折一騎にだけ吐露していた。これは甲洋にとって一騎が特に親しい関係であり、なんでも否定せずに受け止め、他人の弱みを馬鹿にしたり、周囲に言いふらしたりしないとわかっていたからだろう。そういう意味で甲洋にとって一騎は、恋敵である以上に「もっとも信頼できる友」であったと考えられる。

 一方、一騎にとって甲洋はどういう存在であるのか。言わずもがな、一騎にとってなにより大切な存在は総士である。彼に対しては料理を作ったり何かと世話を焼くが、甲洋に対してはそうでもない。誕生日が早かったり身体が大きい分、普段は甲洋のほうが兄的存在である(コミカライズ版に甲洋が一騎に数学を教えたり、リコーダー練習につきあう描写がある)が、いざというとき、一騎のほうが支えになっている場面が多く見受けられる。一騎にとって戦うことは好ましくはないが、自身以上に周囲の仲間たちを戦わせたり、危険な目に遭わせたくないという思いが強く、戦いを恐れる甲洋に対し「お前が戦うことになる前に、俺が全部終わらせる」(コミカライズ)/「お前が戦わなくても良いように、俺が全ての痛さと怖さを受け持ってやる」(小説版)と明言している。一期8話で甲洋を失って以降、一騎は、総士を失った時ほど激しい動揺を見せないが常に、気にかけてはいたようである。


 最終的に総士の生まれ変わりから子離れするしかなかった一騎は、戦いの終わった後、「甲洋と世界を見て回る」ことを選んだ。つまり、一期の時点で話していた「島を出る」という夢を二人でかなえたわけである。海神島時代にずっとともに楽園で働いていたことからわかるように一騎にとって甲洋は一緒にいて楽で、わかりあえる友であると考えられる。無論それは人間からエレメントに変化し戦いを生き残った唯一の存在同士であるという境遇の近さもあるだろう。

 一騎の側から作品を振り返った場合、とにかく総士のそばにいる、あるいは居たいと願う印象が強いが、甲洋の側から見た場合一貫して、最も親しい友人は一騎である。(メディテーション訓練で一騎だけが甲洋の海にたどり着くのはそれだけ心が近いから)

 幼少期から振り返ってみると、一騎にとっての親友ポジションは総士と甲洋との入れ替え制になっており、

・誕生から9歳の左目事件まで→総士の方が距離が近い

・左目事件以降戦いの序盤まで→甲洋の方が距離が近い

・甲洋同化以降、第一次蒼穹作戦まで→総士の方が距離が近い

・これ以降HEAVEN AND EARTH終盤まで→両者とも不在(ただし総士とは常にクロッシング中)

・HEAVEN AND EARTH終盤以降2期最終話まで→総士の方が距離が近い

・2期最終話以降→甲洋の方が距離が近い(総士の生まれ変わりを同じ存在と考えた場合、赤ん坊期には総士の方が近いともいえるが、その後の展開を考えると別人と考える方が理にかなっている)


このように、基本的に総士が一騎のそばにいない時には甲洋がその穴を埋めるようにそばにいる。2期終了時以降、総士(初代)が一騎の隣に立つことはなくなったので、1期開始時(戦いのはじまる前)に親友として一緒にいた一騎と甲洋が、戦いの終わった後に二人で旅立つのはごく自然なことだと考えられる。

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