概要
正式タイトル『百花宮のお掃除係~転生した新米宮女、後宮のお悩み解決します。』
2018年6月22日からWEB小説サイト『カクヨム』及び『小説家になろう』で連載されているライトノベル作品。作者は黒辺あゆみ氏。
中華風異世界に転生した元看護師の新米宮女が、招かれた後宮でお掃除を頑張りながら後宮内外で起きる様々な騒動を解決していく異世界転生物の中華風ファンタジー。
カドカワBOOKSより書籍化され、現在既刊11巻。イラストはしのとうこ氏が担当。
フローラコミックよりコミカライズ版が出版。現在既刊7巻。shoyu氏が作画を担当。
あらすじ
前世は看護師だった記憶を持ったまま中華風異世界に転生した少女・張雨妹(チャン・ユイメイ)。
崔(サイ)国の辺境で貧しい田舎暮らしをしていたが、後宮へ宮仕えする機会が舞い込み、「中華ドラマで見たあの煌びやかで泥沼な世界が体験できる!」と期待に胸を膨らませて崔国の都・梗(キョウ)にある後宮に赴く。
新米宮女、後宮のトラブルも呪いも人間関係も、医療チートで全部解決しちゃいます!!
登場人物
- 張雨妹(チャン・ユイメイ)
主人公。青っぽい黒髪と青い瞳を持つ少女。親しい者からは「小妹(シャオメイ)」と呼ばれている。
前世は看護師で、退職後は子や孫に囲まれながら天寿を全うし、中華風異世界に転生。前世では華流ドラマにハマっていた。
崔国の辺境の田舎で生活していたが、16歳の時に後宮が宮女を募っていたことで村長の薦めで宮女として後宮に赴き、掃除係に立候補する。前世で培った医療知識や処世術を駆使して後宮内や赴いた先でのトラブルを解決していく。
結構図太い性格で、他の宮女からの嫌がらせも大して気にせず、異常事態でも大抵は落ち着いて対処出来る。かなり食い意地が張っており、食べることに並々ならぬ情熱を燃やす。
実は崔国皇帝・志偉の落胤。姦通の濡れ衣で後宮を追い出された張美人の忘れ形見で、尼寺に来てからすぐに母が自ら命を絶ち、7歳まで尼寺で過ごした後に尼寺を出て一人で暮らしていた。なお、崔の皇族はその証として青い瞳を有しており、尼寺にいた時から周囲の様子から薄々勘付いていた。
- 劉明賢(リュウ・メイシェン)
崔国の太子。雨妹の異母兄。
自身の妃嬪が溺死しかけた報せを受けて様子を見に来た時に雨妹と対面。青い瞳と髪を見て、雨妹が張美人の娘で自身の異母妹ではないかと気付き、何かと気に掛ける。
産まれたばかりの頃の雨妹を一度、抱きかかえたことがある。
- 王立勇(ワン・リーヨン)
明賢の護衛。
明賢とは乳母兄弟であり、近衛として腕も経つが、茶を淹れるのも上手い。
後宮に出入りする時は双子の宦官という設定の王立彬(ワン・リビン)と名乗る。
明賢の命令で雨妹の様子を見張っており、何かと騒動に巻き込まれる彼女に呆れつつも守っている。
- 劉志偉(リュウ・シエイ)
崔国の皇帝。雨妹の父親。
当時戦乱の世だった崔国で、自らの腕でのし上がって皇帝となった英傑。
母の皇太后と確執があり、その影響でおしとやかな女性を好むようになる。特に雨妹の母の張美人を寵愛していた。張美人が追放された上に自殺したことを知らされたショックから無気力な状態となり、作中当初は幽鬼のような雰囲気だった。
とあることで雨妹と偶然出会い、後に雨妹が張美人との子で自分の娘だと気付くが、宮女としての立場を好む彼女の思いを汲み取って父親とは明かさずにいる。だが、雨妹に後ろ盾となる派閥が無いことが却って好都合となって色々と贔屓しており、彼女に対し何かと贈り物したり、宦官に変装して会いに行ったり等、親バカな面を見せている。
若い時は変装して城宮から抜け出して街に遊びに行くなど、かなり行動力のあることをしていた。
皇族
- 友仁(ユレン)
胡昭儀の皇子。雨妹の異母弟。
重度の卵アレルギーを持っているが、それを皇太后に「呪い憑き」とレッテルを貼られ、冷遇されてしまう。
- 大偉(ダウェイ)
皇后の皇子。雨妹の異母兄。
皇后が別の皇族と姦通して生まれた不義の子だが、皇太后が庇ったことで表面上は事なきを得る。だが、噂までは払拭できず、成人後は後宮を追い出される。
青い髪に異常な執着心を抱き、後宮にいた時は青い髪(加減によって青く見えた髪も含む)の宮女や女官の髪を通り魔のように切る悪癖を持つ。
- 皇太后
皇帝の母親。後宮で絶大な権力を持つ。
自身の姪を皇后に就かせて子を産ませて権力拡大を狙うなど非常に権力欲が強く、志偉はその姿勢を非常に辟易して関係はかなり険悪。また、道士の戯言を鵜呑みにして支持するなど、為政者としてはかなり劣っている。
城宮
- 解威(ジェ・ウェイ)
崔国の右丞相。中書省の中書令も兼ねている志偉の側近。
秀玲の夫で、立勇の父。
- 王秀玲(ワン・シォウリン)
立勇の母で、解威の妻。
明賢の乳母で、彼にとって母親同然の存在。現在は女官として彼に仕えている。
後宮
- 楊玉玲(ヤン・ユリン)
後宮の宮女達のまとめ役の初老の女性。
- 路美娜(ル・メイナ)
宮女達の料理番の中年女性。
後宮に来たばかりの雨妹と出会ってすぐに仲良くなり、後宮では数少ない雨妹の味方。
- 陳子良(チェン・ジリャン)
後宮の医局の医官。
- 李梅(リー・メイ)
雨妹の先輩宮女。
梗出身であることを鼻にかけ、宮女の仕事を嫌がってサボり、自分磨きばかりしている。
明賢の妃嬪になることを目論んでいるが、すでに20歳後半に差し掛かっているため焦っている。
後宮に来たばかりの雨妹の世話役を任されるも、掃除場所に連れて行った後は何も教えずに放置してどこかへ行ってしまう。だが、雨妹が見事掃除を終わらせた上に真面目に掃除を続けた結果、明賢と面識を持つようになったことに嫉妬し、嫌がらせをするが相手にされない。
軍人
- 明永(ミン・ヨン)
崔国の大佐。
その他
- 張慧(チャン・フゥイ)
元後宮の美人。雨妹の母。
皇后が姦通を疑われた時に雨妹を産んだが、皇太后に姦通の濡れ衣を着せられて後宮を追い出される。辺境の尼寺に送られるが、それに絶望してすぐに自ら命を絶つ。