概要
民俗学者・藤沢衛彦の著書などで言及される怪異、あるいは妖怪の一種。
神無月(10月)頃に出現し、風も無いのに紙がひとりでに1枚ずつ舞い飛ぶ怪異を引き起こすとされている。
また、山室静や山田野理夫らによる書籍『妖怪魔神精霊の世界』では天保時代に強欲な金貸しが証文の束を見ながら算盤を弾いていいた所、証文が空中へ飛び去ったという話や小説家が描いていた原稿用紙がひとりでに舞い上がったという話が紹介されているが、これもこの妖怪の仕業だとされているという。
余談
藤沢衛彦の著書の解説で使われている押絵は『稲生物怪録』のもので、主人公の稲生平太郎が体験した怪異の1つに過ぎず、決してこの妖怪の仕業ではない。
創作での扱い
陰陽師(ゲーム)
人を、探しているの
(CV:上坂すみれ)
風は蝶のように飛び、舞う姿は空気のように軽い。
薄い髪に情は無いけれども、殺気立てば刀となる。
紙で畳まれた心は柔らかく多情だ。
一度心に筆を下した人と風景は、二度と洗い落とすことができない。
彼女は自分と万物を共に切り裂いた。
無情たる輪廻を破り、墨を一滴零したあの人を見つけ出すために。
(陰陽師「式神図鑑」より)