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概要編集

1915年に発表され、1917年に刊本され芥川龍之介の短編小説。

芥川の作品の中でも特に初期の作品とされ、中学生以上の国語の教科書に載ることも多い名作。

後に同様に芥川の作品である『藪の中』とミックスされた形で黒澤明によって映画化されている。


映画については⇒羅生門(映画)

内容編集

内容自体は芥川による完全オリジナルという訳ではなく、今昔物語集における羅城門の老婆の話に基づいた作品。

話のあらすじとしては、職にあぶれた下人が羅生門の老婆の話を聞いて、盗賊に身を落とすことに決めるという救いようのない話であり、ラストの「下人の行方は誰も知らない」は、本作を象徴する言葉として知られている。


但し、ラストの一文は最初の発表から幾つか変更されており、最初に発表された『帝国文学』では「下人は、既に、雨を冒して、京都の町へ強盗を働きに急ぎつつあつた。」になっており、第1短編集『羅生門』では「下人は、既に、雨を冒して京都の町へ強盗を働きに急いでゐた。」となり、初出から二年半たって短篇集『鼻』(1918年大正7年7月(春陽堂))収録時に改稿され、現在のように「下人の行方は、誰も知らない」となった。


メディアミックス編集

芥川龍之介の代表作と言うだけあって、幾つかのメディアミックスがされている。

度々原作を忠実に再現したコミカライズされることもあるが、1959年にはテレビドラマ化されており、黒澤明により映画化されたことも有名。

但し、黒澤明による映画は、内容の九割が芥川の別作品である『藪の中』で構成されている為、単純に映画化された作品とはいいがたい。


コミカライズ編集

石川賢によるコミカライズが存在している。

特徴としてオリジナルキャラクターの盗人が登場。羅生門の下で下人と出会ったこの男は下人の身ぐるみを剥ごうとするがほんの気まぐれからそれをやめ、雨が上がるのも待たずいずこかへ走り去っていった。

かつて下人と同じような境遇だったと語る彼は「このまま野垂れ死ぬ」か「盗賊として生き延びる」かを葛藤していた原作の下人の半身とも言うべき存在であり、原作で下人が持っていた刀は彼が持っている。また、雨宿り中の世間話という体裁で地の文の代わりに物語の背景(京の都の現状)を語る役割も果たす。

そんなわけで漫画版の下人は丸腰でひたすら途方に暮れるばかりだったが、終盤に老婆と出会ったことで豹変。精悍な顔つきで瞳をグルグルとさせ老婆の着物を奪い取り闇の中に消えていった。


関連タグ編集

昔話 寓話 風刺

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