作品解説
本編で時折言及されていた、嘗て羽生蛇村を襲った27年前の災厄(+α)の詳細について語られた外伝的作品にあたり、一部のアーカイブ(作品内の謎を解明するためのヒントアイテム群)や、本編では全くの謎だった事柄についても、これを読む事で真相が分かるようになる物もある。全5話。
公式サイトに掲載されていたのは4話までだが、『SIREN MANIACS』刊行時、作者の佐藤直子氏(SIRENシナリオも担当)によって同書に書き下ろされた第5話がある(5話も後にサイトへ掲載された)。
登場人物
吉川菜美子
第1話の主人公。羽生蛇村に暮らす小学五年生の少女。幼い頃に母親が行方不明になっており、合石岳で謎の光芒を見たことで、母の失踪の秘密が分かるかも知れないと考え、一人山の中に足を踏み入れる。読書が好きなのか、学校の図書室で借りた本を持ち歩いていた。
神代美耶子(先代)
第2話の主人公。村の旧家・神代家の次女にして、村で十数年に一度行われる秘祭の人身御供『神の花嫁』の少女。生まれてこの方外に出た事が無い、文字通りの箱入り娘で、世話係の澄子以外の家人との接触も絶たれ、孤独な日々を送っていた。闇に消えゆくだけの自身の運命を諦めていたが、澄子に村から逃げるように説得され、事態は急転していく。14歳。
牧野怜治
第3話の主人公。当時の秘祭を仕切っていた求導師。温厚な人物だが小心。儀式に必要な御神体の堕辰子の首と、花嫁を一度に失う大ポカを犯した結果、秘祭を失敗へ導く。秘祭に失敗した求導師は速やかに代替わりする仕来りだが、独身だったため次代を任せる人物が居らず、更に宮田の家に嫁入りしていた妹・涼子の不幸も知らされ、すっかり途方に暮れていた。抜け殻のような妹を連れ、神代家に向かって車を走らせていたが…。
宮田涼子
宮田医院の院長夫人で牧野の妹。体が弱く子宝に恵まれないことで婚家では酷い重圧を強いられていた。最近漸く息子・司郎が誕生し、兄共々胸を撫で下ろしたが、それと引き換えに二度と子が産めない体になってしまった。そのせいか一人息子への溺愛甚だしかったものの、秘祭の失敗で引き起こされた災害により、司郎を亡くしてしまう。
吉村俊夫・郁子
当時大字波羅宿に住んでいた若夫婦で、生まれたばかりの双子の男の子がいた。災害に際して車で避難を図ったものの、それは叶わず子供たち共々異界に取り込まれてしまう。しかし理由は不明ながら謎の力が働き、グシャグシャに車が潰された状態で現実世界へ戻される。
志村貴文
第4話の主人公。本編の登場人物・志村晃の従兄弟。志村家の血筋故に村の黒い因縁に勘付いており、八尾の正体にも気が付いていた(通常の村人は八尾の違和感について考えると頭がぼんやりしてきて違和感そのものを忘れ去ってしまう)。八尾が普通ではないことを周囲に吹聴していたせいで宮田家は貴文を反抗分子と判断。貴文は宮田医院に精神異常者として収容され、事実上幽閉されてしまう。貴文にしてみればこの仕打ちこそ狂気の沙汰であり、次第に耐えきれなくなった彼は秘祭の日に医院からの脱出を試みる。
志村晃一
晃の長男で正義感の強い性格。直感力に秀でた志村家の例に漏れず彼も村の歪みに気付いており、従兄弟違いの志村貴文の思想に同調していたこともあって、村を覆う呪われた因果を断ち切るため行動を起こす。
澄子
神代家に仕える女中。物心付く前から家族と引き離されて育った先代美耶子の母代わりとなって面倒を見てきた。そのせいか先代美耶子への愛情は深く、彼女の残酷な運命を悲しみ、どうにか救い出そうと算段を立てるが…。
吉村孝昭・克昭
吉村夫妻の息子にあたる双子の息子たち。孝昭が兄で克昭が弟。生後間も無く発生した災害に巻き込まれ、両親共々異界に取り込まれるが…。兄・孝昭は後に最終話にあたる第5話の主人公となる。