芳槻さら
よしづきさら
親切高校の女子生徒で、主人公の同窓生(隣のクラス)の陸上部所属の女の子。誕生日は10月18日。
普段は「芳槻さら」と表記しているが、本当の名前は「芳槻桜空」。物語の終盤で漢字名が明かされる。
料理が趣味で、腕も良い。学業成績は中の上程度で、運動神経も人並みという至って普通の真面目な女の子。しかし、ある事件が原因で人間不信に陥ってしまっており、元々の人見知り気質も相まって友達と呼べる存在が一人もいない。
そのため休み時間を一人で屋上で過ごしていたのだが、ある日その場に主人公がやってきて、さらに話しかけたことから関係が始まった。
最初に主人公に話しかけられた際は緊張から思わず逃げ出してしまうが、「何か悪いことをしてしまったのではないか」と考えた主人公ががむしゃらに謝罪。その様子が可笑しかったという理由で緊張がほぐれ、以降数少ない話し相手となる。
関係を進めていくうちに、屋上で暗い表情をしながら佇んでいたさらとは打って変わって本来の明るい性格が段々と現れていくようになる。
人間不信の原因
彼女がこのような極度の人間不信に陥ってしまった原因には、過去に芳槻家の中である事件が発生してしまったことにある。
さらがまだ小さい頃に、彼女の母親は死亡。更にその後、父親が社長を勤めていた会社が事業に失敗し倒産。多額の負債を社長である父親が被ることになってしまった。
負債の返済の目処はついたものの一文無しになってしまった芳槻家に対し、彼女の双子の姉が「こんな貧乏な家族は要らない」と言い放ち、別の家に養子に出て行ってしまったのである。
さらは人見知りで控えめな性格であり、信頼できる存在が父親と姉以外にいなかった。この姉とさらの仲は非常に良好で、姉から見てさらは「依存しきっていた」と言われるほどに信頼していた。しかし、この事件で評価は一変。「貧乏が嫌で家族を捨てた裏切り者」として今でも姉のことを恨み続けている。
心から信頼していた姉に突然裏切られたことで、他人を一切信用できなくなってしまい、残された父親以外誰も信頼できないまま今日に至っている。
「姉」と「事件の真相」
実はこの「姉」とは、同じ高校に所属している高科奈桜のこと。さらを彼女にする場合、この真実を直接的に示されることはないが、奈桜を彼女にしていると、奈桜の口から二人が姉妹であることをはっきり知ることができる。また、さらの本来の髪色は奈桜と同じ緑髪であることも判明する。
この事実を知っている後輩の桜井いつきとは接触を絶つことで周囲には隠している。
口では恨んでいると言っており、態度からも恨んでいること自体は明らかなのであるが、姉に対する未練も残っており、普段つけている桜色のリボンは、小さい頃に奈桜から貰ったもので、姉と父親の三人の生活に対する未練やもう一度三人でいたいという本音が表れているものと見ることができる。
また、奈桜の「裏切り」には隠された裏事情があるのだが、本項においては「さらの視点から見た『事件』」として記述しているため、あえて「事件の真相」は記述しない。真相は姉の項目のほうだけに記述するものとする。
彼女の結末
三年次の春に彼女が唯一信じることができた父親が、事故に遭って意識不明の重態になってしまうという事件が発生してしまう。
信頼できる唯一の肉親が意識不明になってしまったことで、信頼できる人を全て失ったさらは「父親すらも裏切った、いつかこの世界そのものも自分を裏切る、この世界に生きる意味なんてない」と半狂乱状態になってしまい、衝動的に自殺を図ろうとする。
同じ報を伝えられた奈桜から「とにかくさらを追ってくれ」と言われ駆けつけた主人公は、「俺はさらが好きだ、全てを信じられなくても俺だけは信じてほしい」と伝え、説得を開始。この説得が功を奏すかによってグッドエンド、バッドエンドに分岐する。
説得が功を奏さなかった場合、「主人公ですら信じることができない、心の中でいつか主人公も裏切るのではないかと考えてしまう」と言い、主人公の眼前で校舎の屋上から身を投げて自殺してしまう。
これに衝撃を受けた主人公は、墓前で奈桜から「あなたの責任じゃない、あなたはさらと同じようにはならないで」と涙ながらに語りかけられているにもかかわらず、まったく奈桜の言葉と思考が噛み合わず、精神を病んでいく姿があらわになっている。このエンドは、パワポケシリーズ屈指の鬱エンドとして語られる。
説得が功を奏したならば、主人公の言葉を信じて、「これからは何があっても貴方を信じる」と決意。二人で共に歩んでいくことになる。
また、姉である奈桜のことももう一度信じてみようと決意しており、人間不信が治っていく様子が明らかになる。
パワポケの「裏サクセス」はスターシステムを採用しており、表の世界とは全く異なる人物として登場するようになっている。その中で、彼女はパワポケ12で登場している。
サラ(12裏)
封印されし魔物「氷の姫君『サラ』」として登場。こちらの地毛は緑ではなく黒である。
最初は氷の姫君として現れるのだが、戦闘後に「サラの中にいた何者か」により記憶と魔力を奪われ、サラという自分の名前以外全てを忘れた状態で目を覚ます。この時に、氷の姫君を回収しに来た主人公(12裏)を「自分を助けに来てくれた人」と認識し、異性として好意を持つ描写がされている。
その後回収され、依頼主である「イオ・レヴィン」の元に住むことになるのだが、過去に人間に危害を加えた魔物であるため魔物ハンターの討伐対象となりかねない状況であった。
そこで、イオが裏工作と買収によって魔物ハンターの一員としてサラを登録させ、「協力者ゆえに討伐対象にならない」という状況を作り出した。
そして「ハンターとして文句を言わせない実績をあげる必要がある」と主人公(12裏)の元にハンター同士としてイオの元から送り込まれることになる。
その後ハンターとしての実績を積みながらイオの元で暮らしていくうちに、失った記憶を取り戻したいと願うようになり、イオが「魔族に奪われた大事なもの(=サラの記憶)を二人に取り戻して欲しい」という形でハンターギルドに依頼を出し、主人公(12裏)と二人で調査を始める。
その調査の結果、サラの記憶を持ち去った「サラの中にいた何者か」がサラの姉だったことが発覚した。
この「サラの姉」は「黒の姫君」「氷の姫君」と呼ばれた凶悪な魔物で、度々人間の村を襲撃していたことから魔物ハンターに討伐されてしまった。だが、死ぬ前にサラの持っていたペンダントに意識の一部を残していた。
ただでさえ「大事な人が身近にいないと生きられない寂しがり屋」タイプのサラは、目の前で姉を失ったことで自分を含めた世界全てに絶望し、氷漬けにしてしまおうとしていた。それを見た姉は「これ以上悲しい思いで苦しまないように」とサラを封印し、共に眠りについていた。
それが主人公(12裏)が洞窟に訪れたことで封印が解放。姉は主人公(12裏)を倒し再び封印しようとしたが、主人公(12裏)と戦ううちに魔力を消耗、最早サラを封印しきれなくなったため、サラの悲しい記憶ごと全ての記憶を奪い、消えていったというのが真相であった。
また、魔力まで持っていったのは「魔力コントロールが壊滅的に下手ですぐ暴走する」というサラの悪癖を知っていた姉が、魔力を減衰させることで暴走しづらいようにしたという事情があった。
だが、その姉と戦い、自分の意思で記憶を取り戻しに来たことを伝えると、姉はサラに記憶を返すことに同意し、全ての記憶を取り戻すことになる。
記憶を取り戻した後は、サラを回収させたイオがサラのことを妹同然に気に入っていたことから、レヴィン家がサラを養子として迎えることになり、「サラ・レヴィン」となる。
その後は新しくできた「大事な人」であるイオと共に暮らしている。
なお、姉の姿は本編中で映ることはないのだが、「表での関係上サラの姉役といえば一人しかいないだろう」と大多数のプレイヤーに予想されているのは、表での「姉」高科奈桜である。
奈桜のページにも「サラの姉」としての記述があるので、そちらも参照。
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