概要
東方Projectに登場する多々良小傘に関連した二次創作の一つ。
「踊り子」の「小傘」である。
小傘については通りすがりの付喪神(『東方星蓮船』から)、驚いてもらえるよう試行錯誤する(『東方神霊廟』他)様子、ベビーシッター(『東方求聞口授』。ただし本人は子供を驚かせたい一心で行っている)など様々な一面が描かれている。
色々な物事にチャレンジし、その結果や成果に喜んだり凹んだりするアクティブさは舞い踊るようでさえあるだろう。陽気な性格もまた小傘の躍動感を力づけている。
小傘同様に「踊り子」という二次創作的アプローチがあるものとして秦こころにみる「踊りこころ」がある。両者が共演する作品もある。
それぞれ個別の作品においても両者の性格的な違いが描かれることもあり、例えば陽気で明るい「踊りこがさ」と、無表情で神秘的な雰囲気を醸す「踊りこころ」といった対比を見ることも出来るなど、それぞれの違いがさらなる味わいを生み出すこともある。
ただし両者のいずれも露出が多いケースもあるので苦手な方は閲覧時は注意。
衣装のモデルが「踊り子の服」(ドラゴンクエストシリーズに登場する衣装。露出範囲が非常に広い)であることも多い。
同様に「踊り子」の「小傘」を描いた作品についてはpixivでは「踊り 小傘」などの検索ワードを使用してすると同種のコンセプト、または近接したコンセプトによる作品に出会うことも出来る。
鍛冶と小傘
小傘は傘の付喪神(唐傘お化け)であるが、その存在性のモデルに製鉄の際に用いられる鞴(ふいご)の呼称である「たたら」に由来する鍛冶技術者の流れも受けている。
小傘のモデルの一つと考えられているものには妖怪である「一本だたら」があり、小傘がとる片目を閉じて片足を上げるポーズはこの一本だたらを意識したものではないか、ともされている。
苗字の読みである「たたら」からもこれを感じることができるものとなっている。
実際に小傘は鍛冶技術にも長け、博麗霊夢がお祓い・妖怪退治等に使用した巨大な「針」を鍛え直している他、鉄製の金属類全般(例えば「 神社の鈴 」)もお手の物であるかのような発言がある(『東方茨歌仙』)。
日本の鍛冶の現場では歴史的に「踊り」と結びついた文化などをもち、「踊りこがさ」にみる「踊り」の要素が純粋に二次創作的なファンの想像やネーミングにみるシャレだけではない様子を見て取ることも出来る。
「たたら」と踊り
一般に、製鉄は全身を大きく使うものであるがたたらもまた全身を大きく用いる作業である。
例えば工程の一つである「たたら踏み」などでは数名が並んで頭上から垂れ下がる綱を頼りに足元に設置された木の板をタイミングよく踏み込むことで風を起こし、これを炉に送り込むことで強い火を生み出す。
この火力が鉄を精錬・鍛錬可能な状態へと変化させ、さらには質を上げるのである。
近年ではスタジオ・ジブリによるアニメーション作品である「もののけ姫」にこの「たたら踏み」の大規模なものを描いた様子が描かれている。
先述のようにこの「たたら」は力を要する全身運動であり、高い火力を要する炉の近辺で行われる
重労働でもあったため、その辛さを紛らわすためなどとして、作業中に歌が生まれたり(参考資料1)、作業効率を上げ、かつ複数人の行動や調子を合わせたりまとめたりする意味合いなどから独特の踊りのような、一連の動きの形式が踊りのような形でパターン化され、後に踊りなどとして継承されたものもある(参考資料2-1、同2-2)。
鍛冶の神への「踊り」
「たたら」と踊りについては、上記のような人間間の文化や作業工程の明確化に由来する「踊り」だけでなく、人間と神々の間にみる祈願祈祷、信仰などのための「踊り」が奉納される等の文化があったケースもある(参考資料3)など、「たたら」と「踊り」の結びつきはさまざまな方面に渡る。
例えば製鉄にまつわる信仰として鍛冶や製鉄の神である金屋子神(かなやごかみ。女神とも)を祀る金屋子信仰がある。金屋子神は同じく金属の神である金山彦神(かなやまひこのかみ)と同一視されることもある。例えば安来市の金屋子神社(島根県)では金屋子信仰を受けると同時に金山彦神を祭神の一柱として祀るなどの様子が見られている(参考資料4)。
金山彦神は東方Projectでは霊夢が常温核融合炉を建造するための素材としてパラジウム合金を生み出すためにその身に降ろした経験を持つ(『茨歌仙』)。東方Projectでは「 金山彦命 」の表記。
「たたら」を見守り、人々からは「踊り」の奉納を受けたであろう神格は東方Project作中にも関連した存在が登場しているのである。
加えて同じく鍛冶の神である天目一箇神(あめのまひとつのかみ)も上記二柱と同一視されることがある。
天目一箇神は先述の小傘のモデルの一つなどではともされる「一本だたら」の大本の姿ともされる他、神楽で用いられる「ひょっとこ」(火男)の面のモデルともされるなど、たたらの歴史と踊り、そして小傘のモデルの各方面に接している。
関連タグ
参考資料・引用
- 参考資料1:
- 参考資料2-1:
- 参考資料2-2:
- 参考資料3:
- 参考資料4:
「たたら」の歴史や「たたら」の仕組み