概要
漫画家・伊藤潤二による漫画作品。
人間の顔に似た巨大な気球の襲来による恐怖を描いたホラー漫画である。
当該エピソードは『朝日ソノラマ ハロウィン少女コミック館 潤二の恐怖夜話② 首吊り気球』や『伊藤潤二自選傑作集 (朝日コミックス)』などの単行本に収録されているほか、続編である『【首吊り気球・再来】』(単行本未収録作品)が『伊藤潤二研究 ホラーの深淵から (Nemuki+コミックス)』に掲載されている。
あらすじ
- 『首吊り気球』
窓の外に自分そっくりの巨大な顔をした気球が浮かび、話しかけてくる。その声を聞く和子は微動だにできない。始まりは人気アイドル輝美が自殺したことだった。輝美の幽霊が出るという噂が広がり、その真偽を輝美の恋人だった白石と和子は確かめようとする。輝美の幽霊と言われていたのは、彼女と同じ顔をした巨大な気球だったのだ。その時を境に、空には街の人々と同じ顔をした気球が飛来するようになる。
(Netflix『伊藤潤二マニアック #03「首吊り気球」』あらすじより)
- 『【首吊り気球・再来】』
気球の大群は去ったかに思われ、その残骸の解析が進められていた。
そしてまた気球たちの影が……
登場人物
- 森中和子
CV:杉山里穂
主人公。親友の藤野輝美の死を皮切りに気球の襲撃を受ける。
気球を掻い潜り家族とともに自宅に籠城するのだが……
- 森中洋介
CV:和田将弥
和子の弟。
先の見えない籠城にしびれを切らし、傘を囮にする奇策で気球の包囲を突破する。
しかしその後どこかで捕らえられたようで、終盤死体となって森中家へ帰還。
- 父
CV:郷田ほづみ
和子、洋介の父。
自身の創案による気球対策を実践、即落ち2コマの体現者となる。
非常時にもかかわらず、「仕事がある」という理由で外出する剛の者。
- 母
CV:斉藤貴美子
和子、洋介の母。
家族とともに家に立てこもるが心労から精神のバランスを崩し、自ら気球の餌食となった。
- 藤野輝美
CV:野水伊織
和子の親友。
物語冒頭、首を吊って死んでいるのが発見された。
アイドル業の悩みによる自殺かと思われていたが……。
- 白石晋也
CV:岸尾だいすけ
和子のクラスメイト。
輝美に気があったようで、輝美の顔を持つ気球に誘い出され気球の餌食となってしまう。
- 妙子、みゆき、チハル
CV:紗原イオ(妙子)、朝井彩加(みゆき)、長谷川育美(チハル)
妙子とみゆきは気球によって絞殺され、チハルは気球からのダメージフィードバックによって死亡。
- 気球
人間の顔を持つ気球。
顔の持ち主である人間を襲い、頸部に相当する位置から垂れ下がったロープで扼殺する。
顔の主以外には積極的に攻撃や干渉を行わないが、他の個体とは連携や協力を行い顔の主を追い詰める。狭所や屋根のある場所には入り込めないが、人間の言葉を発して誘い出しをかけることもある。
このロープは鋼鉄製でありながらある程度は任意に可動させられ、人間の骨を容易くへし折る力がある。作中の描写では状況によって付け根から千切れてしまうこともある。
顔の部分の耐久力はそれほどでもなく、一般的な道具(クロスボウや銃など)で破壊可能。
しかし傷つけてしまえば顔の持ち主の人間にもダメージが跳ね返り、その人間も破裂し風船のようにしぼんでしまうという恐ろしい特性がある。
続編『【首吊り気球・再来】』で明かされた情報では、組成はポリアミド繊維であり気球が発生した人間の皮膚も同様のナイロンに変質することが判明している。