概要
CV:てらそままさき
白童子が、妖怪を寄せ集めて作った数々の試作品を経て、新たに作られた人間型の体に妖怪・魄喰いから取り出した人間の魄(ハク)を入れて生み出した合成妖怪。
魂魄のうち、肉体を動かす力である魄を動力源にしている。人間の魄が馴染むため、人型でフランケンシュタインのようなツギハギ傷が特徴で赤子(奈落の心臓)の鎧として作られた。奈落には自身の心臓を守る「城」とも称される。
ちなみに、犬夜叉・殺生丸・鋼牙とそれぞれ交戦しており、これは七人隊の蛇骨以来となる戦歴。
形態一覧
- 御霊丸の異形の右腕
御霊丸の右腕に取り憑いた形態で大小の赤い結晶が3個あり、上に2本、後ろに1本のトゲが生えている。御霊丸の法力でねじ伏せられて彼の意のままに動く武器として使役される。御霊丸の意思で展開すると触手をむき出しにして無数の光球と光の塊にした妖怪達で敵を蹴散らす。御霊丸の死体を取り込んだ魍魎丸も彼の姿でこの技が使える。
妖怪の光の塊を利用して御霊壺を作り、配下の子供達に妖怪退治をさせていた他、触手は倒した妖怪の死骸を吸収できる。御霊丸の意思で動くとされているが、実は魍魎丸の侵食で御霊丸を無意識下で操り、配下の子供達が御霊壺で倒した妖怪達の死骸を供養と称して御霊丸の寺にある羅漢像の洞窟に回収させてはその邪気に惹かれた妖怪達を集めて魍魎丸を強化させるパーツに利用していた。御霊丸が白童子に殺されて埋葬された後は、魍魎丸として復活して赤子を持った神無と合流した。
- 第1形態
完全な人型でトゲの形状で背中に収納しているコウモリ妖怪の翼を展開して飛行が可能。神無に「魂」として赤子を与えられた後、描写はないが御霊丸と戦って彼の右腕を喰らい、法力でねじ伏せられるが御霊丸の肉体の融合に成功。
行者である御霊丸の立場と寺、彼の配下である子供達を利用して退治した妖怪の死体を回収させて自身を強化していた。不妖壁を持った赤子を一時的に取り出して寺に隠した後は、御霊丸の意のままに動く武器として使役されていたが、時間稼ぎの盾としての用が済んだ御霊丸を白童子が殺害。これによって魂がなくなった御霊丸の肉体を取り込み、魍魎丸として復活。その後は御霊丸の墓から飛び出て赤子を持った神無を桔梗から守り、神無と合流すると再び赤子を入れられ、第2形態へと変貌した。無印アニメでは165話、166・167話に登場。EDでは赤子を持った神無と共に歩いている描写がある。
- 第2形態
白童子に殺された御霊丸の肉体と完全に融合した形態。アニメでは完結編1話・2話に登場。この形態から御霊丸の姿になる事も可能だが、犬夜叉達に正体を明かしてからは御霊丸の姿になる事はなかった。赤子に操られて喋るようになり、自我があるかのように振る舞う。
こちらも飛行可能で右肩は御霊丸に取り付いてときの貝のような形状で指は両腕ともに3本。
奈落同様、触手を伸ばし、口から瘴気を吐く。原作では最猛勝も吐いている。完結編では御霊丸の姿になりながら奈落に幽閉され、神楽に見張られていたが、奈落に反旗を翻そうとする白童子によって解放。第2形態になって鋼牙達を襲うが、桔梗の矢に阻まれて撤退。
再び御霊丸の姿になった際は白童子と対峙する犬夜叉達を攻撃。魍魎丸としての正体を現しながらその場から逃げた琥珀を追いかけるも今度は犬夜叉の金剛槍破によって阻まれ、二度目の撤退を余儀なくされた。金剛槍破を取り込む策も兼ねて肉片で復活させた冥王獣を取り込んだ際は第3形態へと変貌した。
- 第3形態
冥王獣と鉄砕牙から放った金剛槍破を取り込んだ最終形態。
右腕を除いた全身を最強の鎧甲とされる冥王獣の硬い甲羅で覆い、とくに赤子を収納している右肩は鱗上の甲羅で頑丈に防御している。鎧甲で覆われていない右腕は金剛槍破を取り込んだ後、巨大な金剛石の右腕となった。こちらも飛行可能で様々な妖怪を取り込みながら、触手と瘴気で犬夜叉達と戦うが、最後は奈落に内側から喰われてしまう。鎧甲と金剛槍破はそのまま奈落のものとなった。
原作ではこの形態で追いつめた殺生丸の闘鬼神を折るが、アニメ完結編では神楽を侮辱した事に激怒した殺生丸に亀裂が入った闘鬼神から蒼龍破を喰らい、綻びとなってしまう。また、殺生丸には「自身の妖気は貴様のごとき小さき器に収まりきれるものか!」と酷評されており、奈落からは「儂のためだけによくぞこれほどまでに肥え太ってくれた」と皮肉げに評価されながら喰われてしまうなど、妖怪である前者からは小さな器、半妖である後者からは強くなるための餌でしかない事を断言されている。
技一覧
- 触手(しょくしゅ)
奈落同様の攻撃手段で全形態から伸縮自在の硬質化する触手を身体から放つ。第2形態で琥珀を捕えた際には読心術も使ったため、赤子のような小さい手にもなった。第3形態では右腕のみ巨大な金剛石の触手となった。また触手で捕えた妖怪を融合・吸収する事も兼ねる。
- 瘴気(しょうき)
奈落同様の基本技。赤子が入った第2形態で放つ。新生奈落に匹敵するほどの毒素を持ち、奈落が魍魎丸を取り込んだ際には奈落の瘴気をさらにパワーアップさせた。
- 吸収(きゅうしゅう)
奈落の融合に相当する魍魎丸の技。触手で捕えた妖怪や自身を攻撃する相手の妖力を文字通り吸収する。この力で冥王獣、殺生丸の攻撃、犬夜叉の金剛槍破を取り込めるが、魍魎丸の外側のみ有効で奈落はこの弱点を突いて内部から魍魎丸を逆に吸収してしまった。
- 読心術(どくしんじゅつ)
赤子の力。第2形態の技で捕えた相手の心を読む。この技を使うと触手も赤子の手の形状になる。琥珀を捕えた際に使用した。
- 冥王獣の鎧甲(めいおうじゅうのがいこう)
数多の妖怪の中で最も硬い甲羅を持つ亀妖怪・冥王獣の装甲。
頭部と右腕を除いた第3形態の全身を覆い、弱点である赤子が入っている右肩は鱗状の甲羅で頑丈に防御している。犬夜叉の鉄砕牙の攻撃を無効化した他、殺生丸の闘鬼神を折ったが、完結編では激怒した殺生丸の蒼龍破を喰らって綻びが生じてしまう。綻びは後に金過と銀過を吸収した事で治すが、奈落が魍魎丸を吸収した事でこの鎧甲も奈落の物になってしまった。
原作では魍魎丸の肉片で復活させた冥王獣を犬夜叉の金剛槍破の盾にした後、刺さった金剛石の礫ごと吸収して第3形態になるが、完結編では復活した冥王獣をすぐに吸収した事で金剛槍破を持たない第3形態となる。このため、完結編での犬夜叉達は冥王獣の存在を知らず、魍魎丸の鎧甲として認識しているが、後にかごめを人質に琥珀の欠片を奪おうとする奈落が持ち主である冥王獣の存在を犬夜叉達に説明している。鎧甲で覆われていない右腕は金剛石の触手になった事で防御力を持った他、鎧甲がない頭部は首の左右に1対ずつ生えた蜘蛛の足状の棘を巨大化させて顔を防御する。また鎧甲の硬度は鉄壁というわけではなく、五雷指と竜鱗の鉄砕牙の合体技を喰らった際は赤子がいる右肩を破壊されかけた。
- 雷冥砲(らいめいほう)
妖力を球体状の雷撃の塊として放つ冥王獣の技。第3形態で放つ。奈落もこの技を使用できるが、未使用に終わった。
- 金禍銀禍の炎と雷(きんかぎんかのほのおといかづち)
原作にはないアニメ版完結編オリジナルの技。
魍魎丸と冥王獣の鎧甲を繋ぎ留める力の強化と殺生丸の蒼龍破と竜鱗の鉄砕牙の攻撃で生じた綻びを治すために吸収した双子妖怪・金禍銀禍の物で炎は金禍、雷は銀禍の技で金剛石の右腕からこの技を放つ。
生まれた時から殺し合う宿命にある二人の強い絆の力は、彼らの血を浴びただけで鎧甲の綻びを瞬時に再生させてしまうほど強力でそれに目を付けた赤子と魍魎丸に狙われる。戦闘になった際は二人の同時攻撃を喰らい、鎧甲で防ぎきれないほどの炎と雷で一時的にピンチに陥るが、銀禍を捕縛する触手を緩めて拘束している金禍に止めを刺すよう仕向け、金禍を刺した銀禍を金剛石の右腕で刺殺。
続けて抵抗する金禍を金剛槍破の礫で殺害。二人を吸収した後は鎧甲の強化と妖気を繋ぎ留める力を入手し、炎と雷で殺生丸、鋼牙を攻撃するが、殺生丸は冥道残月破で無効化、鋼牙に対しては自身の金剛槍破に炎と雷を纏わせて五雷指の攻撃を無効化するなどしたが、いずれも決定打に欠けていた。また白夜はさすがの奈落も金剛槍破、冥王獣の鎧甲、金禍銀禍の力を持つ魍魎丸には勝てないのではないかと推測していたが、内側から魍魎丸と赤子を吸収するという戦法で逆転勝利を収めた。設定上、雷冥砲と同じく奈落もこの技を使用できるが、未使用に終わった。
- 金剛槍破(こんごうそうは)
金剛石(ダイヤモンド)で出来た右腕から金剛石(ダイヤモンド)の礫を発射する第3形態の技。犬夜叉の技と同じだが瘴気をまとうタイプが存在し、巨大な金剛石(ダイヤモンド)の触手として敵を貫くこともある。原作では冥王獣を盾にして刺さった礫ごと吸収して使用できるようになるが、完結編の4話で魍魎丸と戦う鋼牙に加勢した犬夜叉が放った金剛槍破を右肩で受け止めて吸収、使用できるようになった。同じく完結編では金禍と銀禍も吸収して金剛石の右腕から炎と雷も放てるようになったが、最終的にこちらも奈落の物となり、宝仙鬼が奈落を倒すために犬夜叉に授けたこの技も結果的に魍魎丸を通じて奈落が常時使用できる必殺技になってしまった。
活躍と最期
自分に直接攻撃した相手を取り込んでしまう力がある。後に冥王獣の鎧甲と金剛槍破を取り込み、殺生丸の闘鬼神を折り、犬夜叉の鉄砕牙を圧倒する。その瘴気と妖力は奈落にも並ぶほどで、魍魎丸と奈落が向かい合うだけで山一つが消滅するなど影響力も凄まじい。赤子が隠し持っていた奈落の心臓も受け継ぎ、奈落に最後の戦いを仕掛け、奈落を吸収して喰いつくしたかに見えたが、逆に吸収されていて最終的には奈落に内側から取り込まれてしまう。
赤子と白童子と共に、心臓のない奈落は抜け殻も同然と見下していたが、心臓である赤子共々奈落に吸収された際には蛹から脱皮する成虫のごとく魍魎丸の顔を破って奈落の顔が出てくるなど、自身が抜け殻になるという形で消滅した。
余談
融合した御霊丸とは名前も顔も似ているが、人間の御霊丸は存在しているため、御霊丸に似せて白童子が作ったとされるが、両者の詳しい関係と説明はない。本体である赤子は「もう一人の奈落」とされているため、こちらは妖怪の死骸の集合体という奈落の肉体のポジションになる。
原作では殺生丸を追い詰めていたが、アニメでは蒼龍破で逆に追い詰められるという改変を受けることになる。
御霊丸から奪った声で喋り、自我があるかのように見えるが、実際は赤子の指示通りに動いているだけで、意識は赤子とは別個体である模様。赤子が脱出しようとした際には見向きもせず、奈落による侵食にも苦痛の呻き声すら上げなかった事から魍魎丸の本質は単なる操り人形にすぎない。
御霊丸としての魂や意識、心はなく、融合しているのはあくまで御霊丸の肉体(死体)だけである。