当初は2010年7月17日に『アンチ・マジカル 〜魔法少女禁止法〜』のタイトルで一迅社文庫より発行されたが、2013年9月よりエンターブレインで設定などを一部改め「魔法少女禁止法」として再版されシリーズ化の運びとなり、2014年10月末までに2巻が刊行されている。
イラスト担当は一迅社版がkashmir、エンターブレイン版がkoi。
本記事は基本的にエンターブレイン版に基づいて記述する。
概要
作者自身がアメコミ「ウォッチメン」のオマージュであることを公言しており、また人気アニメの魔法少女達のオマージュと思しきキャラクターが多数登場し、魔法少女ものに関するメタ的な描写やセウト気味なネタも多い。しかし一方で残酷な暴力描写や、大人になった魔法少女達の悲惨な末路、道を踏み外して行く若手魔法少女達など生々しく救いの無い鬱展開成分も存分に盛り込まれている。
あらすじ
いくつもの戦う魔法少女達のチームが活動していた世界。「鬼魔(キーマ)」と呼ばれる異世界の侵略者を彼女達が退けた後、用済みになった彼女達の活動は「魔法少女禁止法」により禁止された世の中となりかつての魔法少女は殆どが引退していた。
禁止法制定から10年後、法を犯して活動する「最後の魔法少女」に憧れた少年は彼女に弟子入りし女装魔法少女として活動し始めるが、かつての魔法少女の1人が殺された事件をきっかけに事態は動き出す。
キャラクター
- 佐倉真壱 / 魔法少女サクラ/おしゃれ天使スウィ~ト☆ベリー
主人公の17歳の少年で中性的な顔立ち。強盗に遭遇した際「おしゃれ天使スウィ~ト☆ベリー」に助けられたことで彼女に憧れ弟子入りし、幼馴染みの奈々の姉の遺品であるステッキを使って「女装魔法少女」として変身することになる。やや思い込みが激しい面を持つ。りるけ側の刺客との戦闘を機にスウィ~ト☆ベリーそのものに変身し、「深夜派(ナイトオウル)」と呼ばれる非合法魔法少女らのリーダー的存在になる。
- 赤石苺子/おしゃれ天使スウィ~ト☆ベリー
23歳の「最後の魔法少女」。10年前にある事件がきっかけで変身を解かないまま家にも帰らずホームレス同然の生活をしており、強盗やヤクザなどに私的制裁を加える活動を非合法で行っていたが…
その姿は12歳の時のままであったが変身が解けた際23歳の姿になる。かつてのチームメイトの里子とは何か確執があった模様。ある事件をきっかけに弟子サクラの前から姿を消すが、実はある姿で彼の近くにいた。
- 宇佐美奈々
真壱の幼馴染みで、17歳の少女。真白夫妻とも仲がいい。姉の美々はかつて魔法少女「まじかるウサミー」だったがわずか8歳で変態的なファン達の毒牙にかかって殺されており、そのトラウマから母親は精神を病んでしまい父と2人暮らし。姉の遺品を真壱に貸していたが、とばっちりで事件に巻き込まれ酷い目にあっていく。2巻の後半で、彼女の意外な正体が明らかになっていく。
- 真白里子/ おしゃれ天使スウィ~ト☆ショコラ
苺子の元チームメイトの元魔法少女で現在は主婦、旧姓は黒井。奈々と友人の間柄。
- 真白正幸 / おしゃれ天使スウィ~ト☆ミルク
少年時代は苺子と里子の元チームメイトの元魔法少女(男性なので女装だが)で、玩具会社の御曹子。現役当時は女装が似合う容姿で魔法アイテムを作る担当だった。現在は里子の夫で家業につく。現在は太ってガチムチ髭面の男になっている。その後政府側の合法魔法少女組織「サタデーモーニング機関」の参与となる。
- 星城しずく / 輝く星のアイドル戦士キラキラジュエル/ エターナル・ブリリアント・プリンセス
かつて苺子らと近い世代だった魔法少女チームのメンバーで前世は女神。鬼魔との最終決戦の時の力の解放で普通の人間に戻れなくなってしまい精神も女神化してしまったため、態度は悠然としてはいるが冷酷非情な面を露にする事もある。自ら幽閉され世界を守る役目を果たし、同時に「魔法少女禁止法」とは別の意図で新たな魔法少女の存在を望まず少女達を魔法少女にしようとする「マスコット」達を殺しつづけ変身アイテムを持った少女達を脅迫して魔法少女活動をさせないようにしていた。ある日地球人類に別れを告げ姿を消し、そのことにより新世代の魔法少女達が一斉に活動を開始する。「友情と想い出だけは永遠に近い」を口癖とする。
- 水城宇美/ 青き水のアイドル戦士キラキラアクア!
しずくの元チームメイトで27歳の女性。現在は巨大企業の社長。りるけの手先となったまひるに襲撃され行方不明になっていたが…
- あきら/緑の樹々のアイドル戦士キラキラグリーン!
しずくの元チームメイトで元バスケットボール選手の長身女性。前世は軍人だったらしい。エターナル・ブリリアント・プリンセスの警護を担当。
- 水城りるけ/白衣の妖精りるけ119番
宇美の養女で5歳の幼稚園児だが、大人のような行動や言動をとり宇美が行方不明になった後は彼女の会社を継ぎ「サタデーモーニング機関」の理事長となっている。正体はかつて「最終決戦前に逃亡した」とされていた魔法少女の転生。実際はさらに凄惨な事情で死亡しており、その恨みから宇美や他の魔法少女達を罠にはめて行く。
- 海音寺うしお / 遠き海の王キラキラレディー・コバルト!
しずくのチームのサブメンバーだった元魔法少女。かつてはチームメイトと百合な関係だったが活動終了後相手に別の女性ができてフラれ、目指していたピアニストにもなれずじまいで結局宇美の秘書をしている。その裏ではりるけ側についていた。
- 白鳥まひる/空飛ぶダックさん・DE・ニコルソン/ウーパーさん・THE・ゴールドバーグ
元魔法少女の1人で当時は巨大なアヒルに変身するタイプだった。しかし現役当時から重圧で精神を病んでいて多数の薬を服用しており、現在は精神病院に入院中。りるけに操られ殺戮の手先とされる。
- 日輪ひかり / シャイニーキュート・サンライト
小4の時に当時友人だった灯子と共に魔法少女になりかけたもののプリンセスの妨害で活動できずにいた中学1年生の活発な少女。政府側の魔法少女達「昼間派(サタデーモーニング)」のエースとして売り出される。
- 三日月灯子/ シャイニーキュート・ムーンライト
かつてひかりの友人だった中学1年生の少女。おしとやかに見える外見とは裏腹に両親も無く祖母と貧乏な暮らしをしていて根暗かつ思い込みの激しい性格。小学4年生の時以前は優等生だったがひかりと共に変身アイテムを貰って以来勉強も殆どしなくなったため現在は成績も悪い。自身の境遇を嫌っており、かつての友人ひかりをも嫌って疎遠になっておりプリンセス消滅後は「深夜派」の魔法少女の1人となる。ベリー(真壱)を盲目的に崇拝しているが彼の意図は理解出来ておらず(そのため真壱にも内心敬遠されている)、現実逃避と選民意識をこじらせ魔法少女活動にのめりこむあまり日常生活は破綻し最悪の悲劇を起こしてしまう。
- 野々宮るりあ/トライアングルハートるりあロココ
9歳の小学生魔法少女。名前が元ネタまんまとか言わない。意志を持つ大きな杖を持ち、実際はかなり魔法少女としての戦闘力は高いが仲間達に嫌われるのを恐れて普段は隠している。
- 金城マリー/花の騎士ハニーゴールド/その他多数の姿
30年以上前に活動していた魔法少女で、「ラブエネルギー変換システム」で多彩な姿に変身が可能。実年齢はかなりいい歳だが、苺子らの世代の複数の魔法少女チームにそれぞれ違う姿で追加戦士として潜り込み掛け持ちしていた。りるけの手先となったうしおに殺害されるが、2巻以降も意外な形で登場し様々な謎に関わる。