概要
キュウモウ狸とも呼ばれる善心の化け狸で、伝承によれば永禄年間頃に南蛮船でキリスト教の宣教師たちが大勢渡来した際に彼らに混じってやって来たといわれる。
狸にとっては観光旅行にやって来たようなものだったらしく、別に悪さをする訳でもなく日本各地を遊び回っていたが、やがて岡山の廃坑となっていた銅山の穴倉を気に入り棲み処とした。
人間に化けて村人の農作業を手伝ったり、盆踊りに参加して遊んだり、挙句の果てには吉備津の宮内へ女郎買いに行った事もあったとされているが、その姿は口髭が濃く、顎が異様に細くて口が尖っており、ひどい短足という特徴的なものだったらしく、すぐに狸だとバレ、「すまん、すまん」と言って逃げだしたといわれている。
また木の葉をお金に見せ掛けて店主を困らせる事はあっても、それ以上の害することは無かったが、狸狩りを行おうとする者には容赦なく、その人物の家を放火する制裁を加える事もあったとされる。
そしてある時、狸は村人たちを集めると今まで世話になったお礼に、今後は牛馬を護り、火難盗難を予告し、村人たちに尽くして行きたいと宣言して姿を消した。
そこで村人たちはこれを“徳”としてお宮を建てて<魔法様>と呼んで祀る事にしたといわれている。
余談
名前となっている魔法様の「魔法」は、西洋の伝説に伝わる物やファンタジー作品でおなじみの魔法とは全く関係なく、摩利支天の「摩」の「法」が変化したものだといわれている。