概要
強大な存在である龍すら近付かない程の毒と醜悪な毒を持った大蜈蚣。
その中でも負のオーラを凝縮した魔力を持つ彼女は、龍殺しと呼ばれる最強の妖怪と妖怪の山の麓で噂される存在であり、漆黒の出で立ちと相俟って黒きドラゴンイーターと呼ばれる。
ただ、実際に龍を食えるかどうかは定かではない為、単に噂に尾鰭が付いただけの可能性もあるが、それでも龍の持ち物である龍珠を漁っていた点から相応に強力な妖怪である事は確かだろう。
由来
平安時代の伝説的な武士藤原秀郷(俵藤太)の怪異退治の一つとして登場する「三上山の大百足」と見て間違いないだろう。
この大百足は近江国の琵琶湖に棲む龍女(龍の化身である女神)の子を襲って食らう怪物だった。さらにその体も三上山を七回り半も巻きつくという、大怪獣クラスの巨体を誇った。
「女神、しかも龍という最高位の神獣の子供を捕食する」――という前提条件からして、とんでもない化け物である。
当然ながら女神から仇討ちを頼まれた秀郷も、自慢の五人張りの弓を堅い甲殻に弾かれ窮地に陥った。
しかし秀郷は最後の一射になって「ムカデは人の唾液に弱い」という迷信を思い出し、鏃に唾を吹きかけて八幡菩薩に祈念した一射で見事に大百足の顎を射抜いて調伏した。