概要・売上記録
2002年6月リリース。大ヒットした『traveling』『SAKURAドロップス』『FINAL DISTANCE』、三週連続一位を記録した『光』が収録された宇多田ヒカルの最高傑作とされる程、楽曲、歌詞、アレンジ、収録曲順全ての評価の高いアルバム。成長していく天才、宇多田ヒカルの真骨頂とも言える。
今作より編曲も手掛け始め、今作は特に歌詞に対する拘りが強く見られる。特に収録曲『Deep River』や『Letters』では、文学的表現が強く、芸術性に富んだ歌詞が宇多田ヒカルのバラエティ豊かで切ない歌声に乗せられて唯一無二の魅力を醸し出している。
シングルの大ヒットも手伝って三度目の初週ミリオンを達成。累計でも350万枚のセールスを記録し、2002年度の年間一位を記録した。また、デビューから三作品連続でアルバムを300万枚以上売り上げた唯一の歌手となった。今作以降、宇多田ヒカルは活躍の場をアメリカに移し、邦楽界からしばらく遠のく。
収録曲
- 切なくもポップで爽やかなイントロが印象的なナンバー。フジテレビ系ドラマ、First Loveの主題歌に起用された楽曲。累計売上は60万枚。現在も桜ソングとして人気の高い名曲でもある。
- 大胆にCGを多用した独創的なプロモーション・ビデオが話題となった楽曲。まるでSF映画のような完成度の高い作品となっており、音楽のプロモーション・ビデオの域を越えた芸術作品と言っても過言ではない。累計売上は80万枚を越えた。
3、幸せになろう
- ゆったりとしたピアノのイントロから始まるミディアム・バラード。精神性の高いファンタジックな歌詞が魅力。
4、Deep River
- エキゾチックなメロディが特徴的な、今作の最初の山場となる楽曲。宇多田ヒカルなりの人生観を深い川に準えて表現され、文学的表現が強く、メッセージ性のある名曲。
5、Letters
- シングル・SAKURAドロップス/Lettersの二曲目に収録された楽曲。2014年には宇多田ヒカルのマブダチである椎名林檎がカバーした。この曲のデモを宇多田ヒカルより聴かされた椎名林檎は、宇多田ヒカルの才能に嫉妬したというエピソードがある。
6、プレイ・ボール
- 恋愛の駆け引きを野球になぞらえた楽曲。
7、東京NIGHT
- アメリカから東京へ初めて訪れた際の心境を歌い上げた楽曲。東京の人混みに自分らしさが埋もれていく不安な気持ちが表現されている。
8、A・S・A・P
- A・S・A・Pとは『As Soon As Possible』の略。『早急に』との意味がある。
9、嘘みたいなI Love You
- 本曲のサビのメロディは元々『光』のサビのメロディとして書き上げられていたが、詞と合わずに没になった。しかし、海外版の『光』である『Simple And Crean』では、このサビのメロディが使われている。
- アルバムの終盤の山場となる楽曲。元々はアルバム『Distance』からのシングル・カットだったが、同時期に池田小児童連続殺傷事件が起き、被害者の少女が宇多田ヒカルの大ファンだった事から、『少女に捧げる楽曲』として、オリジナルの『DISTANCE』と別の楽曲として扱われている。累計売上は50万枚に達した。
11、Bridge
- インスト曲。『FINAL DISTANCE』と『光』の橋渡しとなる楽曲。
12、光
- PS2ゲーム、『キングダムハーツ』の主題歌となった曲。アルバムのオープニングから暗めの曲が続き、FINAL DISTANCEでピークになったフラストレーションを一気に発散させる楽曲。本曲の曲順が、このアルバムを『最高傑作』と位置付かせる所以となっている。シングルの売上は50万枚に達した。
関連項目
Distance…前作。
ULTRA BLUE…次作。