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説明編集

アニメイトフィルム制作のOVA。1987年12月16日に株式会社ネットワークフロンティア事業部(現・バンダイビジュアル)から発売された。

その原作は、1985年の夢元社発行のアンソロジーコミック「C-LIVE」1号に連載されたBlackPoint(伊東岳彦)の漫画作品で、「月刊ホビージャパン」に連載された企画『Wivern』と同じ世界での物語である。

西暦2400年代、紋章族(ハルマ・クフツ)との戦いに敗れその占領下におかれた地球人類達と狂った機械生命オートマトンとの戦いを描いている。

物語編集

紋章族との戦いに敗れた人類が、その占領下に入り幾年月。

紋章艦「テトラスケリオン」は、ある惑星軌道上からの、別の紋章艦からの救助信号を受け、救助へと赴いていた。

しかし、その紋章艦は、自動兵器「オートマトン」により占領され、更にはテトラスケリオンに逆に襲い掛かってきた。テトラスケリオンの乗組員たちは、その攻撃に応戦するも、ブリッジを吹き飛ばされ、クルーは死亡。さらには防御用の結界も張りそこない、魔導師ジェニングスも死亡。

生き残ったのは、対魔道戦士官のガウリィと、サイボーグ兵のニコライ、そしてテトラスケリオンを制御する人工知能LMのみ。

ガウリィはオートマトンを破壊するために、紋章艦からの唯一の救助者……カプセルに入った紋章族の少女、アルテアを覚醒させる。

敵オートマトンは、紋章艦を乗っ取りはしたが、航行能力を失っていた。そこにこのテトラスケリオンが救援信号を拾い接近したため、おそらくはこちらの船を乗っ取る気でいるのだろうとアルテアは言う。

ガウリィはアルテアに、パワードスーツ「オクタアーム」を与え、自分とニコライは戦闘用ポッド「バースター」に搭乗。アルテアに紋章艦内部を先導させ、中心部に巣食うオートマトンの破壊作戦を立案し、それを実行する。


登場人物編集

CVはOVA版。

アルテア編集

CV.荒川美奈子

センシティブな作品

本作の中心人物。紋章族の少女で、顔面を含むその全身には数多くの紋章(クフツ)が、刺青のように刻み込まれている。

オートマトンに強襲された紋章艦から回収されたカプセル内に、全裸で眠っていた。紋章艦における唯一の救助者。

オートマトンに人員を多く殺害された為、救助隊のガウリィの判断により覚醒される。覚醒直後は、混乱しつつガウリィに襲い掛かるが、事態を把握した後は協力する。多肢のパワードスーツ「オクタア―ム」に搭乗し、オートマトン中心部へとガウリィらを案内した。

当初はぶっきらぼうで仏頂面だったが、次第に感情が軟化。OVAでは、自身を助けてくれたガウリィに礼だと言って口づけをする(「地球ではこうするものだと聞いていた」と言っていたが、その後でやや照れた様子も見られた)。

なお、「アルテア」という名は、ガウリィが彼女に「階位(なまえ)をまだ聞いていなかったな」と尋ねられた時に答えたもので、個人名なのか、そもそも名称なのかは不明。

ガウリィ・チェルウィッカ編集

CV.堀川亮

※メイン画面左。

アルテアを目覚めさせた魔道戦士官の少年。地球人ではあるが、紋章族に帰化した帰化人であるために、その身体にはアルテア同様に紋章が刻まれている。そのため、紋章族の呪文やそれに相当する能力を理解し習得している。

アルテアにオクタアームを貸し与え、自身は戦闘用ポッド「バースター」に乗り込み、アルテアとともにオートマトンの破壊を試みる。

少年とはいえ士官らしく、冷静に状況把握と分析を行い、適切な作戦行動を取る様子が描かれていた。

原作漫画では、オートマトンに殺された女性船員のアリスとは、親しい仲だった様子。

ニコライ編集

CV.玄田哲章

※メイン画面右奥。

ガウリィの部下で友人。階級は3級士官。地球人の大柄な戦士であり、かつては紋章族と20年以上戦っていた兵士であった。サイボーグ化され、右腕や右半面は機械化されている。また、OVAでは治療の際に服を脱いだ時に、右足も機械化が認められた。

かつて敵であったため、紋章族に対しては毛嫌いし、現在もそれは変わっていない。過去に何度も発狂しては、治療を受けて戦場に舞い戻るという事を繰り返していたらしい。

アルテアに対してもあまり良い感情を有していないが、それでもオートマトン破壊後にはその態度を軟化した。

なお、劇中では紋章族の救助信号を受けても、その救助に反対していた。紋章族への敵意と偏見も理由の一つだが、「五年前の封士戦役を忘れちまったのか?」というセリフから、過去に何かしらの苦い経験があったものと思われる。

テトラスケリオン乗組員編集

判明しているのは、ロジャー、ヘイバー、フォード、アリス(CV.横田ひろみ)。そして魔導師ジェニングス(CV.千葉繁)。

ロジャーら四人は、オートマトンにブリッジを攻撃された際、巻き込まれて死亡したらしい。劇中ではガウリィのセリフのみに登場し、その姿が描かれる事はなかった。

また、ジェニングスも自身の席で待機していたが、ブリッジ破壊直後、ガウリィが艦の指揮権を移譲を試みるも既に死亡していた。近くにいたニコライ曰く、「結界を張りそこなっておだぶつだ」。

ちなみにアリスは、原作マンガのおまけページで、そのキャラデザインが掲載されていた(短めの黒髪の美少女)。アシスタントに指摘され、勢いでデザインしたらしい。

OVAでは、アリスとジェニングスの他のメンバーとして、ブラウン(CV.山口健)、ハッカー(CV.山形ユキオ)、エミリィ(CV.石田純子)、艦長(CV.郷里大輔)が設定され、劇中に登場している。


登場メカニック編集

オクタアーム編集

劇中で、アルテアがガウリィから与えられたパワードスーツ。

ガウリィ曰く「テラ・アームズ伝統の多肢兵器」。オクタ(蛸)の名の通り、搭乗者の両腕に加え、五指の主腕、および肩と腰に副腕を持ち、計4対8本の腕を有する。

武装は防衛用の専用銃、およびCIV(対知能兵器)。副腕はマニピュレーター状で、障害物の除去など用途に応じて使い分ける。また、対紋章族用の結界により干渉され、搭乗者が操縦不可能になった場合、近くの魔道戦士が機能代行のコマンドを用いて、リモートで操作する事も可能。

バースター編集

ガウリィ、及びニコライが劇中で搭乗する戦闘用ポッド。胴体部を太短い着陸脚が支え、センサー類の塊のような頭部を持つ。両腕・両肩部は、攻撃用兵装である砲や火器をそのまま搭載・装着している。そのため、降着・歩行は可能だが、ほぼ攻撃用の戦闘機として運用している。

母艦から、カタパルトで射出。機体各部のバーニアで高速移動しつつ、砲撃する。

敵感知能力を鈍らせる結界子(ジャマー)を装備。また、両肩・両腕部に装着している火器はアタッチメント化しており、必要に応じて交換が可能。ガウリィ機は両腕部に長身砲を装備。アニメ版では、ニコライは自分のバースターに多数の火器を搭載し、ガウリィを呆れさせていた。

テトラスケリオン編集

ガウリィたちの乗る宇宙船。敗戦後の新体制を受けた紋章艦で、人工知能・LMにより制御されている。

救助信号を発信し続ける、航行不能の紋章族の宇宙船を救助に赴くが、オートマトンに乗っ取られている事までは判断できなかった。ブリッジを攻撃されて潰され、乗組員のほとんどを失ってしまう。

LM(Linkage Manager)編集

CV.飛田展男

テトラスケリオンを制御する人工知能。自己判断・思考能力を持ち、会話も可能。

この世界観の劇中の時代では、「コンピューター」という名称や用語は隠語程度にしか用いられない(オートマトンも同様)。事実上死語であるため、それらに代わり人工知能に対する「役割上の名称」が与えられている。LMもその例にもれない。

なお、末端機器を除き、LMはメカニックではなく、「知性体として設計された、神秘学の成果の一つ」らしい。

劇中では人格と自分の意志を有し、テトラスケリオン艦内の各所に内蔵されていた端末を展開。ガウリィやアルテアらと会話していた。

アル・アール(竜モドキ)編集

劇中のオートマトンが放った、無人攻撃用兵器。手足のある戦闘用ポッドといった姿の兵器で、雑兵のように多数が放たれている。バースターやオクタアームと比較し、数倍の巨体を持ち、高速移動して攻撃する。火器も内蔵されているが、腕で殴りつけての格闘戦も行う。

オートマトン(自動兵器)編集

劇中から300年前に作られた、人工知能を備えた兵器。LMのような人工知性体のいわばご先祖。人類と紋章族との戦いにおいて運用されるはずが、全生物の敵となってしまった(その理由をニコライは「あの忌まわしいイレズミども(紋章族)のせいだ!」と言っているが、具体的に何が起こったのかは劇中に説明がなく、不明)。

以後、終戦後にも宇宙各地に散らばった多くの残党が、散発的に艦船を襲撃している。

劇中に登場したオートマトンは、数あるその残党の一体。紋章艦を乗っ取り、艦内部の聖堂にて中枢部を置き、紋章族の放つ「兵気(兵器に非ず)」を動かしていた。

紋章艦内聖堂にて、光パターンを用いて、結合法(紋章族の呪法)を実行した。この光パターンを用いれば、紋章族の下位紋章兵に干渉し、その動きを封じる事も可能。アルテアもこのせいで、動きを封じられた。

CIV(Counter Intellgence Vehicle〈Vessel〉)編集

対知能兵器の総称。人工知能など、知能体に対抗するための兵器・兵装は、このカテゴリに含まれる。劇中のオートマトンやテトラスケリオン、これらに類する人工知能艦もCIVである。

オクタアームが装備したCIVは、トリガーが付きカプセルに包まれたミサイルのような形状で、LMが敵オートマトン艦周囲に呪力パイルを展開した後、中枢部へと発射する事で起動する。発射後、ケーブルが触手のように展開しオートマトン中枢部に巻き付き、内部にバグプログラムを強制入力して思考・判断能力を破壊。ガウリィいわく「クズ鉄」に変えてしまう。

動画編集

  • オープニング


余談編集

OVA発売当時、ゲームブックのブームの渦中であったため、創元推理文庫のゲームブックレーベル「スーパーアドベンチャーゲーム」から、本作を原作としたゲームブック「機竜魔の紋章」が刊行予定だった。

しかし、製作当初にバグが多く、それを修正しているうちに時間がかかり、ゲームブックのブームが終焉。結果、発刊を見送られてしまった。

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