概要が何を言っているのかわからない人へ
ゲーム広告で「マグマやモンスターのいるステージ構成の中で、ピンを抜いてプレイヤーをお姫様(お宝)の元に向かわせろ!!」というような面白そうなパズルゲーの広告を見た事は無いだろうか。
↓こんな感じの↓
しかし、これらの広告に興味を惹かれ、体験版的なのがあるのだろうか、ピンを抜いたらどうなるのか、パズルゲーの遊び方を楽しみに広告をクリックすると、パズルと全く関係ないジャンルの底辺インディーズゲーのページに送られ、失望と共にウインドゥを閉じた経験はないだろうか。
そう・・・
実はこのゲーム、実在してなかったのである。
ピンを抜いて進行させるパズルゲーは広告の中にしか存在せず、このゲームを求めて幾千のピン抜きパズルゲーの広告をクリックして、知らない興味もないどうでもいいゲームに辿り着いた多くの人の怒りが形になった・・・・かどうかは定かではないが、遂に生み出されたピンを抜いてお姫様を助けるパズルゲームが、この「Hero Rescue」である。
概要
正式名称は「Hero Rescue - ヒーローレスキュー - プリンセスを救出」。
製作会社はロシアのスマホゲー開発スタジオの「Super Games Studio」。そのためゲーム紹介ページの日本語がGoogle翻訳じみていて不安だがゲームにウイルスなどは仕込まれていない(というかiOSで配信してる以上その辺りは厳しく審査されている普通は)。
内容は上述の詐欺広告だったピン抜きスマホゲーを実際に作ったものとなっている。
iOS、androidどちらでも配信中。app内課金ありの実質無料ゲームとなっているが、ゲームプレイ中時折広告が挿入される形式を取っている。
イラストの雰囲気的にはアングリーバードやクラッシュオブキングス等の海外ゲー感のあるデフォルメのキャラクターデザインとなっている。
ゲーム形式
施設の断面図のようなステージの端から端まで通るように長いピンが突き刺さっている。
このピンの上には水・マグマ・モンスター・ヒーロー(プレイヤー)等がおり、これらのピンを抜くとピンの上にあるものが落下する。ピンの下に別のピンがあれば落ちたものは滞留し、それも抜けばステージの下まで落下する。坂があれば物理演算で更に下へ転がり落ちる。
もしマグマの地面に水の入ったピンを抜けば、マグマは落ちた水によって冷やされ無害化される。
そうして無害化したステージをヒーローに「START」を押して歩かせる。基本的に向いている方向へ直進するだけでジャンプとかはしない。
しかもヒーローはヒーローのくせに貧弱なため、モンスターに襲われると一撃で死ぬ。マグマが当たったら当然死ぬ。水でおぼれても死ぬ。そのため、モンスターをマグマに落としたりマグマを落としたりして討伐したり、マグマを上手く水を落としたりして処理する必要がある。
こうしたステージに接地されているトラップやエネミーをピンを抜く順番を駆使して無害化し、その後ヒーローに目的地にあるお宝や姫のもとへ向かわせて回収させることができればステージクリア、次のパズルに向かうことになる。
こうしたパズルのクリア、もしくはミスによるヒーローの死亡で1プレイが止まると広告が挿入される。
この広告が非常に多く、2~3ステージのクリアですぐ広告が挿入されるため、ゲームスピードが著しく下がっている。ただし課金による広告除去が可能。
一応この辺は基本無料のゲームである事を考えればある程度仕方のないものではある。
また、海外の中小ゲーム企業のつくったアプリであるため、アップデート等によるステージ追加等の約束が絶対に守られるとは限らず、誤動作やバグの対処も遅い点は注意。(無料だが)買い切り方のゲームアプリと割り切ってプレイするといいだろう。
余談
こうした事実とは違う広告を出す行為に問題はないのか?というと、消費者保護法の『景品表示法』における「優良誤認」の「おとり広告に関する表示」にあたる可能性はある。
実際は全く違うゲームジャンルなのに、「今まで存在しなかった革新的なパズルゲーム」として他ゲームよりも優良なゲームという風に広告で演出した場合、消費者団体からの通報を受けて調査され、不当と認定されれば広告の修正(行政指導)、悪質な場合広告で稼いだ分のほとんどを課徴金として没収される。
しかし、ネットの広告の監視は十全に行き渡っておらず、またあまりにも多いせいで検挙にキリがない状態も相まってこうした広告に規制をかけることができていないのが現状である。
また、これらは無料アプリがほとんどであるため詐欺広告を使って人をひきつけ且つ高額な商材を買わせたり不当な課金を行わせたことで多数の消費者への実害を与えていてようやく動くものなので、被害も個人の精神や時間の消費的には甚大だとしても金額的にはしょぼい場合は消費者側が通報しても通りにくく、検挙するうまみも無い。
最終的には消費者である我々の不当な広告に騙されない知識と経験が大事となっている。
また、こうした事例は、日本国内にサーバーがあるとは限らず、外国のサーバーから言語としての日本語版を提供しているのみの場合もある。その場合、日本の法律が適用されるのかや、日本政府等の日本国内の公的機関等が対応できるのか、等の課題も多い。
関連イラスト
Hero Rescueそのものファンアートはほとんどなく、詐欺広告としてのピン抜きパズルゲーのイラストが多々存在する。
関連タグ
スマートフォン アプリ ゲーム 詐欺 広告 ピン パズルゲー 顧客が本当に必要だったもの
ガーデンスケイプ:「実際のゲームと広告でジャンル自体が違う」という事で問題になったゲーム。実際はパズル要素のジャンルが違う庭を造るゲームで、イギリスでは広告自体が禁止となっている。詳細は後述の外部リンクにて。
Hero Wars(ヒーローウォーズ):こちらも『動画広告とゲーム内容が全く違う』ということで、悪い意味で話題になったゲーム。詳細は個別記事を参照。
外部リンク
「広告と中身が全然違う」「美少女ほとんど出てこない」勘違いを誘発するゲーム広告、景表法違反の可能性も 弁護士や消費者庁に見解聞いた ねとらぼ