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P220は、スイスSIG社と西ドイツのSauer & Sohn社が1975年に共同で開発した軍用・警察用自動式拳銃

開発経緯

本銃開発のベースとなったのは、1947年に開発されたP210である。

P210は性能こそ優秀な銃であったものの、調達コストが高くこの点は公用拳銃としては失格であった。

また、ダブルアクション拳銃の台頭によってシングルアクションのP210は、次第に陳腐化が著しくなった。

シングルアクション拳銃は、ハンマーを起こしてセーフティを掛ける「コックアンドロック」は即応性は良いものの、どれほどアクションが優秀な拳銃でも「射手のミスによる暴発」のリスクが高まる。

かと言って薬室を空にして置けば確かに安全だが、不意に襲撃を受けたときにはスライドを引かなければ初弾が撃てない。

ダブルアクションは、ハンマーが起きていなければ薬室に装填したまま銃を携行でき(※)、何かあったらそのまま引き金を引けば撃てる。

スイスと西ドイツは、新しい拳銃として低価格で優秀なダブルアクション拳銃を強く求め、P220はこれに見事に応えた銃となった。

(※)ハンマーが起きていない状態から発砲する場合、トリガーが非常に重いので「撃つ意思」が明確にないと引き切ることはないし、トリガー以外でも弾薬を発火させるほどの力を加えるのは難しい。

機構

ロッキングはティルトバレル式ショートリコイルで、スライドをプレス製に、ロッキングを合理化、簡略化して、P210と比較して大幅にコストを下げた。

トリガーはダブル/シングルアクション兼用のコンベンショナル・ダブルアクションで、セーフティはマニュアルセーフティの代わりにデコッキングレバーが備わる。

P210と比較して徹底的な簡略化が行われたものの、部品の品質は極めて高く高精度な銃であった。

また、徹底的な合理化と先進的なメカニズムは後のモデルに大きな影響を与えた。

弾薬ヨーロッパで標準的な9mmパラベラム弾の他に、バレルとマガジンを変えるだけで.45ACP、.38スーパー、.30ルガーの合計4種類が使用できた。

しかしながら、マガジンはシングルカラムで銃のサイズの割に装弾数(9+1発)が少なく、マガジンキャッチはマガジン底を押さえる旧態依然としたもので、例えば同じ9mmパラベラム弾を使用しながらダブルカラムマガジンを採用したブローニングハイパワーの13発と比べると見劣りがするものであった。

公用拳銃としては、装弾数が多い派生型が出るとベースとなったP220は埋もれるようになった。

総合的に優秀な銃として高い評価を受けた一方で、各所を.45ACPに合わせた為に9mmパラベラム弾の拳銃としてはややアンバランスになったとも評されている。

日本では、自衛隊9mm拳銃として採用している。

後継の登場後

マガジンがダブルカラム仕様になったP226が登場するとSIGピストル内でのシェアはそちらに移り、後継型もP226を基に作られるようになった。

一方で、米国の民間市場では「ハイキャパシティマガジン」の規制があった為に装弾数は問題とならずに、後継モデルのフィードバックを元に改良を加えられながら現在でも販売されている。

流石にマガジンキャッチは使い辛いと不評だったためか、オーソドックスなボタン式に変更された。

現在のP220は10mmオート弾仕様と.45ACPモデルのみで、アンダーマウントと光学サイト搭載用のカット付きスライドのモデルのみが発売されている。

ダブルカラムで.45ACP仕様のP227は既にカタログ落ちしたため現行で発売されているP220シリーズで.45ACPを撃てるのはこのモデルのみになった。

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