概要
フィリップ・K・ディックのSF小説「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」を原作とし、その卓越した近未来描写から多くのファンを持つ。
SF映画の金字塔として評され、1993年にはアメリカ国立フィルム登録簿に永久保存登録された。
『サイバーパンク』という世界感を確立した本作にインスパイアされた映画、アニメ、漫画、ゲームは今日まで枚挙に暇がないほど。これらの作品における都市の描写に「でかいバーナーが火を噴く」「汚染された都市に降りしきる酸性雨」が出るのは、本作の影響である。
また、シンセサイザー作曲家ヴァンゲリスによる印象深いBGMはあまりにも有名。
日本通として知られるリドリー・スコット監督は、当時世界でも最も激しい急成長のただ中にあった日本を、歪な発展を遂げた近未来の世界を象徴する重要な要素として用いており、劇中にはおかしな?日本語、日本文化が多数登場する。
駐車場に書いてある「禁止 乗上」や看板の「コ。ルフ」と言ったものであるが、主人公のデッカードが屋台のおっさんに「二つで充分ですよ…分かって下さいよ」と説得されながらうどんを食べる際に割った割り箸を擦り合わせる、折り紙で出来たユニコーンが登場するなど、考証に基づいた演出もあったりする。
しかしながら、テスト試写会で参加者からはストーリーや専門用語が難解すぎる、結末が暗い等の意見が寄せられており、これらが収益に響く事を恐れた制作サイドは編集に修正を加えた。
当時はこうした難解なストーリーの映画が今ほどは認知されておらず、単なるSFアクション映画として宣伝されていた事もあり、興行的に奮わなかったばかりかリドリーが思い描いていた構想からは大きく逸脱する形となった。
だが、哲学的なストーリーと鬱屈とした世界観は一部の映画ファンに強烈な印象を与え、年を追うごとに注目を集めていく事になる。
ディレクターズカット/最終版
前年に公開された「通常版」からナレーションやラストのハッピーエンドを匂わせるシーンを削除し、リドリー監督の構想に近づけたバージョンで、1992年に公開。
事の発端は配給側のワーナー・ブラザースがファンの為に「通常版」の以前のバージョンを公開に踏み切る事から始まるが、監督はこのバージョンは芸術的に未完成であるとして公開に待ったをかけた。
その一方で、リドリー監督に編集権を譲渡し、新規編集したものであれば公開を認めるという交換条件が彼から出され、ワーナー側もその提案を受け入れた事でディレクターズカット版が世に出る事となった。
ファイナルカット版
ディレクターズカット版の公開でようやく自身が意図した内容の作品を公開する事が出来たリドリー監督だが、それだけでは満足せずするような彼ではなく、彼のそうした熱意とファンの支持はワーナーを動かす事となり、映画公開から25年の歳月が経過した2007年にファイナルカット版を公開した。
撮影・編集ミスや会話の矛盾点等を徹底的に潰し、最新の技術による映像のデジタル処理や修正等がなされている。
関連イラスト
その他
義足の陸上選手・オスカー・ピストリウスの異名でもある。
彼と同形状の義足をつけたイラストにこのタグが付いている場合があるが、圧倒的に映画の方が多い。
関連項目
フィリップ・K・ディック リドリー・スコット ワーナーブラザーズ