特徴
「アンダースロー」という名の通り、下方から投球する投球方法である。
投手の腕からボールが放たれる際、投手は直立した状態から急激に体の重心を下降させ、腕を水平を下回る角度にまで下げた後、腕をしならせてから投げる。打者からはボールがまるで下から上へ浮き上がったように見える。
長所
前述の通り、低所から放たれたボールは浮き上がるような軌道でキャッチャーのミットにおさまるため、打者を幻惑しやすい。
アンダースローを忠実に再現したピッチングマシーンが非常に少ないため、対アンダースロー投手の対策を練るのが難しい。
全身をくまなく使う投法であり、完成させれば故障を起こしにくい。もちろん、それに伴うトレーニングは必要。山田久志は特に腹筋・背筋・膝関節を鍛えることが重要である、と説く。
短所
第一に球速が非常に遅い事が多い。普通の投球方法とは違い、低所から腕のしなりを加えた独特の投法であるため、メジャーリーグでもほとんど活躍した例がなく、速球を投げるのは至難の業である(ただし、スピードガンのない時代だが150kmは出ていたといわれる山田久志のような例外もいる)。
誰もが出来る投法ではない。球を投げる時の横回転の動作がスムーズに出来ること、身体は手足が長く柔軟性とバネを併せ持つこと。また、アンダースローがダメだったからといって他の投法に戻すことも出来ない。
相手打者に四死球を与えてしまうことが多い。アンダースローの投手から放たれたボールは軌道が独特であるため、打者も避けることが出来ずに当たってしまう。
左打者に弱いとされている。(右投げの場合)左打ち打者の視点だとアンダースローはかなり球が見やすいとされている。またシンカーもおっつけやすい。
その為最初は慣れなくて打ちづらいが、慣れてくると攻略されやすくなる。埼玉西武ライオンズ・牧田和久投手が試合に登板する際は、露骨に左打者ばかりを並べられてしまう。
千葉ロッテマリーンズに所属していたアンダースロー投手渡辺俊介は「世界一低い所から投球する投手」として有名だが、本人曰く「何度もダフった(地面に手がかすった)ことがあります」と痛々しい経験を語ったことがある。
嘘のような本当の話
野球漫画「MAJOR」で、主人公茂野吾郎の実父本田茂治の頭にジョー・ギブソンの投球が直撃し、翌日急逝するという大変ショッキングなシーンがある。
これはフィクションに限った事ではなく、1920年8月16日、クリーブランド・インディアンスのレイ・チャップマンが、ニューヨーク・ヤンキースの下手投げ投手カール・メイズの投球を頭に受け、12時間後に死亡するという事例が現実に存在する。
(ただし、茂治の死因は死球を受けて昏倒した際に自分のバットで後頭部を強打した事による頭蓋内血腫である。)
里崎智也の解説する攻略法とその対策
長年渡辺俊介の球を受けてきただけあり、アンダースロー攻略には絶対の自信を見せる彼曰く、
1:ホームベースのインコース側1/3のところから基準線をイメージし、ボールがそこをどう通過するかでストライク・ボールの判定を行う(この基準線の位置はアンダースロー投手であれば誰でも一緒だ、という)
2:外角の球は思い切って捨てる(そうしないと外よりの変化球につい手を出してしまう)
だそうである。
逆に、「キャッチャーとしてのアドバイス」として、
(右打者に対しての)アウトコースのコントロールをしっかりつけることを挙げている。
(出来るだけシュート気味にならない真っすぐ、もしくはカットボール系の球を投げればなお良い、とのこと。)
主な日本のアンダースロー投手
現役
山中浩史(福岡ソフトバンクホークス→東京ヤクルトスワローズ)
引退選手
足立充宏(阪急ブレーブス)
松沼博久(西武ライオンズ)
渡辺俊介(千葉ロッテマリーンズ)→新日鐵住金かずさのコーチに就任、ただし、現役として投げる可能性もある。
架空の選手
関連タグ
その他
野球以外のスポーツでも、下から球を投げることをアンダースローと呼ぶことがある。