概要
天照院奈落の首領格。普段は天導衆の命により、徳川定々の警護を担当している。天道衆からは八咫烏と呼ばれている。
経絡を熟知した戦闘の達人で、経絡を的確に針ないしは気功で突くことで相手に致命傷を与え、さらに自身の経絡を移動させることで致命傷の回避や傷の早期回復も可能。実はその異様なまでの生命力の源は彼の体をめぐる虚の血であるが、勿論彼のように完全な不死ではないため受けた多くの致命傷が体を蝕んでいる。
作中での活躍
かつて攘夷戦争で銀時ら攘夷志士と戦ったことがある。また、生前の吉田松陽と面識があったような口ぶり。
一国傾城編で銀時と再び対面、当初は経絡を駆使して銀時を圧倒し、定々と共に松陽を侮辱する余裕まで見せたが、形勢逆転後は銀時の怒りと底力に逆に圧倒され、最後は銀時の捨て身の行動で彼もろとも城から転落、その際に下の屋根に突き立っていた木刀に体を貫かれて敗北した。
そのまま死亡したかと思われていたが、経絡を歪めて致命傷を避けていたため生き延びており、定々が高杉に殺された後は警備の命を解かれ、天導衆の下に戻った。
将軍暗殺篇で再登場。高杉と銀時の闘いの最中、奈落を引き連れて登場し、満身創痍の高杉と銀時にとどめを刺そうとするも、高杉の不意打ちにより左目を潰される。
さらば真選組篇では桂と近藤を取り戻さんとする土方・銀時の前に立ちはだかる。
その後烙陽決戦篇でも銀時らの前に立ちはだかり、松陽の弟子達を殲滅せんとする。
なおこの長篇で彼自身の過去も明らかにされている。
過去 (以下、単行本未掲載につきネタバレ注意!!)
実は「虚」が「吉田松陽」となる大きなきっかけとなった人物。
少年期、奴隷として働いていた奉公先が何らかの理由で奈落の襲撃を受け、彼自身も致命傷を負わされた。(彼の顔の傷はこの時に負わされたもの)
ただ茫然と死を待つしかない状態の中、現れた虚が「生きて私を憎み続けてください」と自身の腕を斬り、その血を注いだことにより奇跡的に回復。以来多大な恩義を感じた朧は奈落に入り、虚を「先生」と呼びその傍仕えとして彼のために尽くすことを誓う。ただ当の虚はこれをあまり良く思わず、「君も殺し屋になってしまう」と決してその技を伝えようとはしなかった。そして自分自身が子供に混ざって学びたいほどだ、という虚に「では先生が学び舎を開いてはどうか」と勧めたのもまた朧であった。
だが後に虚は奈落を抜ける。これは芋蔓式に朧をも奈落から抜け出させるためでもあった。本人曰く「以前から悪だくみはしていたが、決心がついたのは君のおかげ」との事。そして松の木の下、二人の学び舎「松下村塾」を立ち上げたのである。この時の朧は「一番弟子」としてまだ見ぬ弟弟子が増えることを楽しみにしていた。
しかし、奈落の放った追っ手の数を見て足手惑いの自身を連れては虚も逃げられぬと踏んだ朧は一計を案じる。一番弟子としてまだ見ぬ弟弟子を守るべく、虚が休眠している間に手負いの体を装いわざと追っ手に接触し、事前に虚が仕掛けていた罠を利用して道連れを図ったのである。結果的にこれが功を奏し、虚は逃げ切ることができた。またこれにより死んだと思われていた朧自身も不死の血により一命をとりとめていた。その後朧は再び奈落に入り、組織内で自身の地位を築くことにより奈落の組織運営に一定の力を持つようになる。そしてその権限で奈落の目を虚から逸らしていた。
だが後に偶然「松陽」となった虚と銀時をはじめとするその弟子たちと邂逅。本来ならいるはずだったその場所に自分が居られないのを見、心が揺らいだ朧は松陽を捕らえさせ、殺害することで師を取り戻そうとした。
結果的に蘇ったのは全くの別人と言っていい「虚」だったが、それでも二度と彼を裏切るまいと朧は迫る死期を知りながら弟弟子のひとりである高杉と激突。これらの事実を明かしながら死闘の末、ついに高杉の刃の前に倒れ伏すこととなった・・・