概要
江戸幕府を傀儡とし裏から操る謎の組織。編笠を深く被った行脚僧のような格好をしており、独立暗殺部隊「天照院奈落」を配下に持つ。
開国以後、天人に対して媚びへつらう幕府に対し侍たちの不満が高まった。天人との関係悪化を危惧した幕府は武家を弾圧、この国は内戦に突入する。これが後に言う「攘夷戦争」である。
天導衆は内戦鎮圧への協力という建前の下に内政に介入し、幕府の実権を握った。天導衆とその傘下の奈落により吉田松陽を始めとする反幕府系の思想家たちは次々と捕縛・処刑されていったため、攘夷志士の多くからは不倶戴天の敵とされている。
さらば真選組篇にて佐々木異三郎がその命と引き換えに幕府(と奈落)の戦力を大幅に削いだことにより坂田銀時ら反発勢力の危険性を認識、ついにその重い腰を上げることに。奈落先代首領にして今は天導衆の一員である虚と彼が掌握した春雨12師団を筆頭に、反発勢力の殲滅に向けて動き出す。
関連が深い人物
- 虚:先代奈落首領にして天導衆の一角。化物じみた戦闘能力を誇る。とある人物にそっくりだが……。
- 徳川定々:第13代征夷大将軍。奈落と深く癒着し、反乱分子の暗殺を行ってきた。一国傾城篇での件から用済みとして投獄され、その最中に第三者により暗殺される。
- 徳川茂茂:第14代征夷大将軍。天導衆は失脚した定々に引き続き自身の傀儡として扱おうとするも、彼自身の人柄に加え、一国傾城篇で天導衆との決別を正面切って宣言されたため御し難いと踏み、本来政敵の立場である一橋喜々を代用の傀儡として担ぎこむことになる。
- 一橋喜々:反天導衆を掲げ鬼兵隊や春雨第7師団、池田夜右衛門と組んでいたものの、前述の通り茂茂に見切りを付けた天導衆が極秘裏に彼と接触、次期将軍の座を保証したことで変心。鬼兵隊と春雨を裏切り、天導衆と結託、茂茂を辞任させ第15代征夷大将軍に就任した。
- 吉田松陽:かつて幕府への反乱分子として捕縛され、攘夷戦争の末に処刑された思想家。彼の教えを受けた弟子たちもほとんどが戦死。牢獄にいる間も、奈落の者に自らの信念を説いていた。
正体
その正体は強大なエネルギー資源「アルタナ」を管理・研究するための団体「アルタナ保全協会」。
アルタナを実用的に使えるようになったことで長距離星間航行、惑星破壊兵器の製造などが可能となり、宇宙各地の天人の文明は飛躍的に発展した。それゆえ、この強大なエネルギーを巡り幾度もの戦争が引き起こされる。
この状況を危惧した諸国は協定を結び、互いの国のアルタナを不可侵のものとした。
そして、アルタナを放出する穴「アルタナの門(龍穴)」を管理するための連合組織「アルタナ保全協会」が生まれる。しかし、協会はアルタナを管理するという立場を利用し、星々の内政に介入を始めた。そうして数多の星を食い潰し、いつしか天導衆と呼ばれる存在となった。
長きに渡り星々の歴史を裏から操ってきた秘密結社、それこそがこの天導衆である。
協会最高幹部である天導衆には、その証として「鍵」と呼ばれるコードが掌に刻印されている。
詳しい製法は不明だが、この鍵こそが各星のアルタナの門を開閉する唯一の手段であり、入手には天導衆の総意が必要とされる。
だが、鍵は一度刻印されると心臓に回路をつなぐため、引きはがせば死に直結することとなる。また、鍵の所持者が死亡するとその鍵も消滅する仕組みとなっている。
つまり、アルタナを自在に操る特権を持つのは全宇宙で天導衆のみ。このような厳重な管理により、協会設立以降はアルタナによる事故は報告されていなかった。
彼らが地球に手を伸ばしたのも、手つかずの膨大なアルタナの存在、そしてそこでしか見られないとある特殊な現象がきっかけである。
その目的は、不可思議なエネルギーを解明することによる宇宙のさらなる進化───という建前の下に、不老不死の体を手に入れること。
末路
しかし、虚の持つ不老不死の血を大量に輸血した結果、拒絶反応によって生きながら肉体が腐敗するという生き地獄を味わわされた上、虚に与えなかった「鍵」までも最悪の形で失うこととなった。虚の血を輸血した結果、「鍵」は腕を切り離しても消滅せず、切り離した手に刻印されたままとなっていた。
結果、虚は肉体を治療する算段があると嘘をついて入手した「鍵」を利用し、彼の指揮下に入っていた春雨の全戦力の半分(残る半分は攘夷四天王討伐の名目の下、烙陽に送り込まれた)に宇宙各地の惑星のアルタナを暴走させることで、宇宙全体で反天導衆の動き(アルタナ解放軍の結成)を起こさせる。
用済みとなった天導衆はそのまま拠点であった船ごと虚に始末され、生ける肉片と成り果てた。その後、その残骸は解放軍の圓翔に発見され、培養液の中で拘束されていた。
終戦後、天導衆の肉体は消息不明となる。これは様々な思惑で不死の肉体を得ることを目論んだ解放軍の一部が回収したためであり、年月が経つうちに天導衆は虚の血を操る術を身に付けこのまま腐敗し続けると思われた肉体を再生することに成功。そして星芒教なる組織を結成、虚復活のために心臓を失った彼の肉体へ江戸のターミナルからアルタナを注ぎ込み、虚の肉体を完全再生して不死の製法を得るという新たな野望のために動き始める。
…が、肉体を再生できたのは虚の血を操れたのではなくその血に宿る虚の因子に操られたのが真相であり、途中で気づいたリーダーの男以外はすでに自覚無しに自意識を失い、虚の一部としての操り人形になる末路を辿ることとなった。