乖離性ミリオンアーサーとは、スクウェア・エニックスが運営するオンラインゲームである。
概要
2014年11月からAndroidおよびiphone向けに配信されたオンラインカードバトルRPG。
製作はスクウェア・エニックスであり、タイトルからも分かる通り『拡散性ミリオンアーサー』の後継タイトルである。
ジャンルは『協力対戦型カードコマンドRPG』。
シナリオは前作から引き続き鎌池和馬が担当。さらに、OP主題歌は水樹奈々が務める。
プレイヤーは100万あるエクスカリバーの1本を抜いたアーサー王候補の一人となり、外敵の襲来によって未曽有の危機を迎えてしまったブリテンを守るため、仲間と協力して様々な敵と戦っていく。
2015年6月に1100万DLを突破した。
2016年9月1日よりプレイステーション4版及びプレイステーション・ヴィータ版がサービス開始。携帯アプリ版とは別データとなる。
前作からのおもな変更点
- 『拡散性』では3タイプ(剣術の城、技巧の場、魔法の派)だったアーサーが4人に増え、さらにプレイを進めると4人のアーサー全員を使用可能となる。また、4人で協力してミッションに挑んでいくことになる。あわせて、登場カードについてもアーサーのタイプ別に4属性に分けられている。
- 他のプレイヤーとの協力要素が追加。味方NPCとして参戦するオフラインクエストと、リアルタイムで協力を行うオンラインクエストがある。
- カードには新たに『名声』ステータスが追加。
- レイドボスに、ドラゴン、アーサーなど一部バトル(主にオンラインバトル)が3Dポリゴンで描かれるものが登場。
- アバターの着せ替え(とスフィアスキル)が可能(PS系版ではサービス開始当初時点で未実装)。
おもな用語
ゲームシステム関係
- 騎士カード
このゲームのシステムの中心をなすカード。10枚で1つのデッキを組むことができ、これを用いて敵と戦う。炎・氷・風・光・闇の5属性がある。攻撃のほか、防御、回復など様々なスキルを持つ。伝説となった人物や生物の因子を用いて製造されるが、時たま作成者のお遊びとも思える奇妙なカードも存在する(=各種イベント限定カードなどのこと)。
- アーサータイプ
カードの属性のひとつで、傭兵・富豪・盗賊・歌姫の4種類があり、基本的にどれかのタイプに分類される。デッキ自体はアーサータイプに関係なく自由に編成できるが、カードのタイプとプレイヤーが使用するアーサータイプが一致する場合、騎士カードのスキルが『覚醒』に変化し、効果がUPする恩恵が得られる。
「妖精」と呼ばれる、アーサータイプを持たないカードも存在する(騎士の合成や進化に使用するカード、または一部の特典カードが該当)。これらは覚醒スキルを持たない。
- 名声
騎士カードのステータスのひとつ。同じ名前のカード(レアリティ不問)を合成することで上昇する。デッキのリーダーに設定したカードの名声が高いほどクエスト終了時のアイテムドロップ率が上昇する効果がある。最高レアリティであるMRの名声最大値は100で、これをリーダーにした場合は通常1つのみのアイテムドロップの枠が2つになる。
- 忠誠度
2016年夏に実装されたシステム。騎士カードの新たなステータスで、特定のアイテムを使うことで上昇させられる。忠誠度が一定値を超えると「物理攻撃力3%アップ」「回復量5%アップ」などの効果を持つ「EXスキル」という補助スキルを習得する。EXスキルを習得したカードは通常のデッキとは別の「EXデッキ」というサブデッキにセットすることで戦闘での効果を発揮する。
- サポート妖精
ゲームのトップ画面『拠点』に3Dポリゴンで表示されるキャラクターのこと。新着情報を教えてくれるほか、タッチしたり端末を振ったりするといろいろな反応をする。初期はウアサハのみだが、ログインボーナスでニムエ(携帯アプリ版)、フェイ(PS版)がもらえるほか、それ以外にも様々なキャラクターが期間限定でラインナップされている。
- クリスタル
ガチャやカード所持数拡張、コンティニューなどで使用する、アイテム課金に使用する仮想通貨(パズドラにおける魔法石やスクフェスにおけるラブカストーンなどを想像して頂ければ解りやすかろう)。期間限定クエストなどでは初クリア時に1個もらえるので、積極的にクエストをこなしていけば貯まりやすい。
- 乖離進化
2015年春に実装されたシステムで、キラリーを用いたこれまでの進化とは異なり『指定の名声値をみたした騎士カード』を素材として、アーサータイプや属性、(たまに)スキルが異なる別のカードへ進化させることができる。素材集めには指定のボスと何度も戦闘しなければならないため手間がかかるが、乖離進化後のカードは大体それに見合った強さを持つ。
- スフィア
アーサー毎に与えられた特殊な攻撃システムで、デッキのカード枚数には含まれないが、アーサーひとりにつき最大3種類のスフィアを、1ステージ中1種あたり1回ずつだけ、騎士カードと同じようにコストを支払って発動することができる。重要なカードが手元にないときなどに使う保険となる。
PS版では運営開始当初未実装。
- アーサーチェンジ・アバターカスタマイズ
どちらもバトル時に表示されるアーサーの見た目を変えるシステムで、アバターカスタマイズでは3Dボスとの戦闘時の服装を、アーサーチェンジでは見た目だけでなく声まで別のキャラに変更できる。アーサーチェンジは2015年10月現在ではセイバーや初音ミクなど3種類あるがいずれも期間限定。
PS版では運営開始当初未実装。
世界観関係
ミリオンアーサー及び拡散性ミリオンアーサーの項も参照されたし。
- 断絶の時代
ブリテンにおける数百年前の時代の文明を指す言葉。現代ブリテンと同等かそれ以上の高度な技術があり、人と妖精が共存していたとされる。
現在ではブリテン各地で大小の遺跡や遺物が見つかるが、中には「現在でも稼働している」ものも存在し、妖精を介した、あるいは魔女の魔法によるアクセスで実動させることが可能なものもある。
- 外敵
ブリテンに突如侵攻してきた謎の存在。正体や目的などが一切不明で、ブリテンの外から襲来してきたこと以外すべてが謎に包まれている。機械や動物など小型のものから、ドラゴンなど巨大なものまで多種多様。
- 妖精
ブリテン各地に生息する人間型の生物の総称。旧時代には人間と共存していたらしいが、旧文明の滅亡により、現代ではそのほとんどがマニュアルを破損し行動に異常をきたしているため、人間へ危害を加える例が報告されている。戦闘して倒すことで因子を解析し、騎士として使役することもできるほか、旧時代の言語を理解するため、研究にも一役買っている。ただし元々人間とのコミュニケーションを前提にはしていないため、ほとんどの妖精は発言の文法に異常が見られる。「拡散性」のニムエの、正反対の意味を持つ言葉を続ける独特の発言はその代表例。
一部の妖精は「断絶の時代」時代の施設に対するアクセスインタフェースの役割も持っている。ただしその方法は手探りで、しかも何が出てくるかも未解明な部分が多い。作中ではスカアハがウアサハを文字通りつついて信号を出させる実験をしている場面が登場する(富豪アーサー曰く「油虫の尻をつついて蜜を出させるようなものか」)。
- チアリー
「応援の妖精」。「断絶の時代」において妖精の補助を生業としてきた妖精の一種。
所謂経験値取得用素材であり、強化合成の素材として使用することで大量の経験値が獲得できる。通常・スーパーチアリー・アルティメットチアリー、そして本作で追加になったミリオンチアリーの4種類があり、後者ほど得られる経験値が多い。なお絵柄の変化に伴い、「拡散性」時代に比べて頭身が大きく上がっている。
- キラリー
「螺旋の妖精」。個体の因子に干渉して変革をもたらす能力を持つ妖精。
所謂進化合成用素材であり、騎士カードの進化合成を行う際に指定のものが必要になる。リトルキラリー・通常・ハイキラリー・マスターキラリー・レジェンドキラリーの5種類があり、さらにレジェンド以外はファイア・アイス・ウィンド・ライト・ダークの5属性に分かれている。基本的に必要数は「進化後のレアリティに相当するランクを頂点に、その1~2段階下までの同属性のものが2~3枚ずつ」。なお前出の通り、乖離進化(アーサータイプが変化する特殊進化)では使用しない。
- ジュエリー
「富の妖精」。所有者に富と幸運をもたらすと言われる妖精。
所謂換金用素材であり、売却することで大量のゴールドを入手することができる。通常・スーパージュエリー・アルティメットジュエリー・ミリオンジュエリーの4種類があり、後者ほど高額になる。
なお売却用素材にされていることについては、より豊かな家に引き取られて豪華な生活をすることがステータスになる文化を持っているため、当人達としてはむしろ歓迎しているとのこと。また当たり前であるが保有数でゴールドやドロップアイテムの入手量が増えるなどという効果はない。
- メダリー
「名声の妖精」。その名の通り名声を司り、旗の一振りで周囲の注目を変える(らしい)。
名声値上昇合成のワイルドカード。騎士カードの強化合成を行う際に素材として使用することで、名声値を上げることができる。
登場人物
アーサー
本作の主人公。各々の事情からエクスカリバーを抜いたアーサー達。4人とも本名は不明であるが、4人とも姓が「アーサー」であることは示唆されており、このため区別の意味も含めて、当人達の傾向を反映したコードネームで呼ばれている。
傭兵アーサー
肩書きこそは傭兵だが、金よりも任務の後味を気にする変わり者の青年。正義感も強く、ブリテンの子供に「この国を守って」と依頼され、小さな貯金箱一つ分の依頼料でその日のうちにエクスカリバーを抜き、試練に挑んだ。マジメな性格ではあるが、それゆえに貧乏くじを引きやすく、戦いにあまり興味がない他の3人に厄介事を押し付けられてしまうことも多い。
アーサータイプのアイコンは「交差した剣」。その印象通り、デッキ傾向としては直接攻撃にほぼ特化している。ステータス強化も基本自分のみのものが多い。物理攻撃、魔法攻撃のどちらも可能であるが、(傭兵アーサーに限った話ではないが)ゲーム特性・バランス上両立させようとするとどちらも中途半端という事態に陥りかねないことには注意が必要。
盗賊アーサー
宝物や金には目がない少女。「風車」ともいわれる3本のアホ毛が特徴的。たまたま忍び込んだ宝物庫に置かれていたエクスカリバーを、珍しいものだと思って抜いてしまったことからアーサーの候補となる。王としての自覚などはゼロだが、損得勘定にこだわる性分故か義には厚いため、特に民衆の敵となる存在には激しい怒りを見せ、勘も鋭いため仲間のアーサーが騙されそうになっても独自行動で守ったりする。ただ他人にはその親切心を見せないように振る舞っている。度胸が据わっており、時たま下ネタなど爆弾を投下することもある、残念な美少女。しかしこのゲームでは堂々の人気キャラナンバー1である(ゲームのアイコンになっていることからも察することができる)。
アーサータイプのアイコンは「渦を巻く3本の線」。デッキ傾向としては魔法攻撃・支援攻撃が多く、特に支援攻撃は所謂デバフが目立つ。一方でこのタイプのキャラクターにはありがちな傾向であるが、概ねタフネスにおいては他のアーサーに一歩も二歩も譲る。
富豪アーサー
単眼鏡が特徴の青年。どこかの御曹司らしく、外国との自由な貿易を望んでいたが、外敵が襲来したブリテンは航路が封鎖状態になってしまったことから、交易路を切り開くべく最高の権限の持ち主、すなわち王となるためにエクスカリバーを手にした。紳士であり、騎士も含めて女性には等しく優しいが、常識人過ぎてアーサー候補の女性陣のはっちゃけぶりに頭を抱えることも。
アーサータイプのアイコンは「盾」。デッキ傾向としては物理攻撃(ちなみに現時点では魔法攻撃の騎士カードがない)・支援行動(防御強化など)に長けるが、どちらかと言えば万能型に近い。アイコンの印象の通りHPの伸びが非常に良いのが最大の特徴であり、挑発スキルを併用した所謂タンク役を求められる傾向がある。
歌姫アーサー
容姿端麗・スタイル抜群の少女。吟遊詩人のオーディションに出かけていたが目的地を誤ってエクスカリバーの試練に参加させられアーサーの候補となった。王になるつもりはなく、戦いには免疫も知識も感性もない(作中では訓練において何度もフレンドリーファイアをしている)が名声を得るまたとない機会であるとプラスに捉えてどうにかやっている。アイドル精神旺盛で順位を気にする。また裏表が激しい性格で、気に入らない相手にはとことん食ってかかる。
アーサータイプのアイコンは「王冠のついたハート」。デッキ傾向は支援型、特に回復において優秀な性能を持ったカードが多数存在する。範囲回復や状態回復は歌姫デッキでしか行うことができず、パーティーの戦闘継続能力に大きな影響を与える。
訓練城ヘヴリディーズ
スカアハ
『断絶の時代』と呼ばれる旧時代の遺跡『訓練城ヘヴリディーズ』に住む魔女。ただし魔術よりも研究と他者を徹底的にしごき上げるのが好きなサディストで、アーサーたちの教官。しかし私生活はズボラ極まりなく、家事全般をウアサハに丸投げしている。私室に至ってはウアサハが「迷宮」と称するほど散らかっているのだとか……。モノで釣られて無茶な我儘にOKを出すちょろい一面も。
ウアサハ
スカアハとともに遺跡に住んでいる妖精。必ず「はい」か「いいえ」から始まる少々独特な話し方をする(ただし前出の通り発言の文法がおかしいのはこの世界の妖精にほぼ共通の特徴であり、ウアサハはこれでもまだマシな部類)。本来妖精は旧時代の遺物の解析に不可欠な存在であり、戦闘力も高いが、彼女は旧時代の言語翻訳程度の機能しか持たず、戦闘力もゼロ。しかしなぜか家事に関しては並外れた能力を発揮する。毎日の食事も作っており、彼女の機嫌を損ねると献立がとんでもないことになるため、スカアハはもちろんアーサーたちも頭が上がらない(本人曰く「家事をプログラミングした本人であるスカアハが何故家事能力ゼロなのか理解に苦しむ」)。また、空気を読む。
他国関係者・その他
クーホリン
遺跡に秘匿されていた旧時代の大威力制圧兵器『ゲイ・ボルグ』を奪うため、ヘヴリディーズの隣領アルスターからやってきた男。武術や体術に長けており、アーサー王候補の4人をたったひとりで手玉に取る圧倒的な戦闘力を有する。彼がこの最強の槍を必要とするのには、どうやら理由があるようなのだが……。
レウィ
クーホリンの忠実な部下であり、同時に最高の友。アルスター軍の指揮をクーホリンから一任されている。彼のためなら命すら投げ打つ覚悟を持っているが、生真面目なため意固地になってしまうと少々厄介な部分もあったりする。
メイヴ
ブリテンの中でも強力な軍隊を有する国コナハトの女王。ヘヴリディーズの地下に隠された旧時代のスーパーコンピュータに執着している。美貌に反してかなりの野心家で、ブリテンの覇権のためなら他国どころか自国を火の海にすることを躊躇しない。旧時代の兵器さえも意のままに操れる超能力を持ち、他者同士の憎しみや争いを悦楽に感じる歪んだ性格の人物。
カラティン
コナハトの海軍を指揮する大柄な男。軍人ではあるがあまり現場には出ず、もっぱら後方で指揮を執ることの方が多い。メイヴに対する建前を何よりも気にしているため、時に彼女の命のままに卑怯な手を使うこともあり、自分の矜持を通せないことには不満も感じているが、部下思いであり自分の部下は大切に見ている。
フェデルマ
メイヴの参謀役を務める占い師の妖精。話し方にはやや関西弁が混じる。同じ妖精のウアサハとはしょっちゅう連絡を取りあう程度には仲が良い。メイヴが絶対的な権力をもつコナハトの中にあって、彼女にずけずけと遠慮なくものを言う唯一の存在。占い師ゆえ的を射たことを言うので、時にはメイヴも閉口させられてしまう。
オイフェ
コナハトに反発し、一矢報いるためクーホリンと同じくヘヴリディーズに『ゲイ・ボルグ』を奪いに来た少女。自分の正義感をモノサシとして行動しており、自分の正義を通すためなら悪事も平然と行う。その実力は未知数。スカアハとは因縁があるようだが……。
ファルサリア
ブリテンの遺跡で突如目覚めた『断絶の時代』を超えてなお自立稼働する謎の妖精。性格は自由奔放で、約束した事もいつか放り投げ、それを反する行動を取る事もある(実際、キャメロットと戦闘中のアーサーたちの横で退屈になり、気まぐれの一撃で『外敵』の陣営を一瞬で壊滅させた)。周囲の伝承を読み込み、自由に書き換えてしまう能力を持ち、木の枝さえエクスカリバーを圧倒する剣に変えてしまえるという、現代ブリテンの科学者が叡智と崇める旧時代の科学者たちをも恐れさせた存在。本人は『平和のため文明のバランスを保つ』目的で活動していると語っている。