ワイルドカードは――
- トランプゲームの特殊ルールの一つ。本項では主にこの項目を解説する。
- スクウェア(現:スクウェア・エニックス)のワンダースワン用RPG
- ジライケンによる漫画。『MANGA Pixiv』にて連載中。→リンク先
- コンピュータ用語で、どんな対象文字や文字列にも対応可能な「万能の記号」。
- スポーツ競技における追加の特別参加枠。
- ウィリアム・ゴールドマン原作・脚本、サイモン・ウェスト監督、ジェイソン・ステイサム主演のクライム映画。
トランプゲームの「ワイルドカード」
トランプゲームにおいて制定された特殊ルール。
特定のカードに特種な役割を与えるというもので、指定されたカードは本来にはない特殊能力を得る。
その多くはジョーカーが担うことが多い。
※以下「S=スペード」「C=クラブ」「H=ハート」「D=ダイヤ」「JK=ジョーカー」
ポーカーにおける「ワイルドカード」
「万能のスペアカード」という特性を得る。
ジョーカーを含めておこなう「ワイルドポーカー」ルールにおいて、ジョーカーが「ワイルドカード」を演じる。
例えは【S8/H8/S3/D5/JK】の場合、通常は1ペアとなるが、ワイルドカードルールを適用した場合、『8のスリーカード』として申請することが出来る。(S3かD5で2ペアも可能だが、役としてはこちらは上位)
ただし特殊ルールによる代用なので、本来のスリーカードよりも立場は弱く、スリーカード同士で役が出た場合、ワイルドカード側が敗北する。
代用可能とはいえ、「フラッシュ」「ストレートフラッシュ」「ロイヤルフラッシュ」など、カードのスート(紋標)が関係する役では、代用不可とされる場合がほとんどである。
一方、フォー・オブ・ア・カインドにワイルドカードを適用して「ファイブ・オブ・ア・カインド」を起用するケースもある。
例【S4/C4/H4/D4/JK】
大抵、ジョーカーは1枚のみの起用だが、稀に2枚とも使用される場合もある。
これによって、【D4/C4/CJ/JK/JK】なら、「フルハウス」を宣言することが可能になる。
大富豪(大貧民)での「ワイルドカード」
「最強の切り札」という特性を得る。
如何なるカードを出されようと、またルール次第では「革命」によりカードの優劣が逆転したとしても、最強の切り札として、如何なるカードより上位のカードとして扱われる。
同時に代打カードとしても機能し、複数枚を捨てるにあたって、組み合わせるカードに抱き合わせてカードを捨てることを可能にする。
ただし、「革命」をジョーカーで代用できるかは、採用するルール次第となる。
さらにローカルルール「絶対革命」(革命の上位役。「同じ数字+JK」の“5枚”で発動し、絶対革命に使用したカードを最強に、そこからは革命同様にカードの強弱が逆行していく)には不可欠なカードで、本来は不可能な「5枚同時」を敢行するためのキーカードとなる。
スポーツ競技における「ワイルドカード」
主にMLBにおいて使われる表現で、各リーグでレギュラーシーズンにおける、地区優勝でなかったチームの中から、地区に関係なく最も勝率が高かった2球団がワイルドカードゲームを1試合行い、その勝者がディビジョンシリーズ(地区シリーズ)へ進出する形となる(2012年~)。
MLBは1994年から東・中・西の3地区制が導入されたことに伴い、ディビジョンシリーズへ進める枠として翌年に設けられた。2011年までは、地区優勝でなかったチームの中から、最も勝率が高かった1球団が対象となっていた。
ワイルドカード枠でプレーオフに進出し、ワールドシリーズを制覇した例としては1997年のフロリダ・マーリンズが初。
また、ワイルドカード枠同士によるワールドシリーズは2002年のアナハイム・エンゼルス×サンフランシスコ・ジャイアンツ、2014年のカンザスシティ・ロイヤルズ×サンフランシスコ・ジャイアンツの2回。前者は新庄剛志(当時ジャイアンツ)が初めて、日本人選手としてワールドシリーズに出場した年でもある。
また、プロバスケットボールリーグ(NBAを始め、日本のBリーグ)や陸上競技大会等でも此の制度が存在する。
慣用句としての「ワイルドカード」
カードゲームの意味から転じて、「万能の属性」・「最強の切り札」・「思いがけない奥の手」といった意味合いを持つ慣用句としても通じる。
このように万能の切り札のことを何故ワイルドカードと言うかと言うと、詳細は不明。
但し、トランプマジックの基本となるマジックの一つに、「ワイルド・カード」と言うのが存在する。
これは、観客にトランプを一枚選ばせ、それが別のカードへと変化するというマジックである。
このマジックで使われているワイルドの意味は、予期しない。と言う意味の言葉であり、観客が予期していないカードに変化する。と言う意味で、ワイルド・カードと言う意味となる。
このマジックの様子が、後のどんなカードの代わりにもなる。と言うトランプゲームのルールの由来となった可能性がある。
フィクションにおける「ワイルドカード」
『ペルソナ』
『ペルソナ3』以降、主人公や特定の人物が持つ「ペルソナを複数所有できる」特殊能力ワイルドの由来となっている。
『仮面ライダー剣』
登場する仮面ライダーの一人、仮面ライダーカリスの強化形態として仮面ライダーワイルドカリスが登場する。
この作品において仮面ライダー達が変身や能力の発動に用いるラウズカードのうちカリスに対応するハートスートに属する13枚全てを揃えたことで新たに得た力であり、必殺技「ワイルドサイクロン」を発動する際は一時的にハートスート全13枚を融合させ、専用のラウズカード「ワイルド」を生み出す能力も持つ。「ワイルドカード」の慣用句としての「最強の切り札」・「思いがけない奥の手」の意はもちろん、この形態の誕生のきっかけとなった彼の正体を「ワイルドカード」の原義にも見立てたダブルミーニングだと思われる。