概要
東方Projectに登場する個別の名称が語られていない狸たちのファンの間での通称。
東方Projectにおける「モブキャラクター」の一角である。
主に幻想郷に住まい、人間に変化する術を持つ化け狸たちを指す(2017年2月現在)。
東方Project作中では複数の狸、化け狸、狸的存在が登場しているが、作中に個人名を持たないモブ的位置づけとして複数登場し、かつファンの間で「モブ狸」としてそのひとまとめの象徴性をもって語られることがあるのは、主に二ッ岩マミゾウの配下の化け狸たちである(『東方茨歌仙』)。
『茨歌仙』作画担当のあずまあやによれば「 名無しのタヌキたち 」。
「二ッ岩」の狸たち
『茨歌仙』のモブ狸たちを従えるマミゾウは近年幻想郷にやってきた身であるが、「外の世界」での頭領としての実績や元々の格の高さ、本人の面倒見のいい親分気質などもあってか幻想郷でも狸の頭領におさまったようで、『東方鈴奈庵』ではマミゾウが忠心となって狸たちと宴会する様子もみられている。
稗田阿求はマミゾウの来訪以後、幻想郷固有の狸たちと融和できるか懸念していた(『東方求聞口授』)が、マミゾウは持ち前の器量で上手に馴染み短期間に配下を従えるまでになった様子である。
マミゾウは『東方心綺楼』や『東方深秘録』などでも配下の狸の変化術をアクションとして利用している他『深秘録』ではストーリー中でも暗躍の際の戦力としており、配下の狸たちもマミゾウによく付き従っている様子が描かれている。マミゾウによれば「 手下 」とも。
『茨歌仙』にモブ狸たちはおそらくは幻想郷側の狸たちであろうかと思われるが、それを確証付ける描写は先述の現在時点では見られていない。その出身を不明にしている要素としてはマミゾウに特徴的な要素として、外の世界との結びつきがあるためである。
例えば先述の『深秘録』ではマミゾウは配下の狸に外の世界と幻想郷間で何らかの連絡を行わせる様子が描かれている。この際に登場した狸が幻想郷から送ったものなのか外の世界時代の狸の手下を使ったのかなどマミゾウ配下の勢力についてはファンの間でも考察を寄せる余地があるものとなっており、マミゾウの手下の狸についてはそのすべての出自がどちらの世界観に由来する存在なのかを明示することはできない。
このような要素を通して作中キャラクターだけでなく読者さえも化かすことができるのがモブ狸たちの魅力でもある。
容姿
マミゾウの配下の狸で、人間の姿に化けたものとしては、確認できる範囲では前髪をアップにしているもの、そばかすのあるもの、横髪を頬のあたりで結んでいるもの、細目のもの等のそれぞれの個性ある特徴をもつ四人(四匹)が登場している。
設定資料のあずまあやの記述によれば、それぞれ「 前髪上げちゃん 」、「 ジト目そばかすちゃん 」、「 おさげちゃん 」、「 糸目ロングちゃん 」の四名。
表情も異なり、それぞれの性格が異なる様子が描かれている。
その外見には共通するものもあり、例えば変化のためのものであるのかあるいは共通のアクセサリーであるのか、葉っぱを頭にのせている。太めの、丸い眉(マロまゆ)であることも共通する。
総じて先がふわふわな髪質をもつ。癖っ毛。
髪質やそれぞれの表情の違いなどについては『茨歌仙』単行本第七巻掲載の設定資料などで実際に触れることができる。
髪の色合いは『茨歌仙』作中のカラーページによれば個々それぞれに濃淡の違いはあるものの茶色の系統のものである様子。
『茨歌仙』では変化時にもマミゾウ同様に狸の耳と太い尻尾を残している。
霧雨魔理沙等他者を前にしてもそれらを隠す様子も特にない。
「 二ッ岩 」の文字や葉っぱの紋などがデザインされた特徴的な羽織をはじめ、服装についても上着やインナー、履物などについても細やかな設定がなされており、こちらも先述の設定資料に記述されている。
作中エピソードの性質もあって、お酒を楽しむ様子や酔いが回っている様子も描かれている。
同様の理由で、翌日には道端であられもない姿も披露することとなる。
なお、化け狸は完全に人の姿へと変じる(「 人化 」)ことも出来るが、狸の姿を残し続けることも出来、マミゾウは後者の道を選んだ。
狸の姿を残したことはマミゾウの誇りでもある(『求聞口授』)。
東方Projectの狸たち
上記の狸以外で個人・個体名などが不明な狸のキャラクターとしては『東方三月精』に登場した、魔理沙に化けた狸がある。ファンなどの間では「魔狸沙」などの愛称でも呼ばれている。こちらの狸も変化において強い力を持つ様子であるが、先述の現在時点では二ッ岩一派の狸勢力とのかかわりの有無などは不明。
また他の妖怪の騒動に巻き込まれて「野鉄砲」と変化するところであった狸に似た動物としての「マミ」などがある(『茨歌仙』)。
その他の「モブ」キャラクターたち
東方Projectにおいてモブ狸同様に個別の名称はないものの種族等同一属性の下で複数の個人・個体が登場し、かつファンの間で特別な枠組みの名称で語られることのある「モブ」としては一例として次のようなケースがある。
「モブ」的位置づけではあるが総じて各々の個性を持ち、ファンの間でもそれぞれ人気を博している。
- 「モブイナバ」
主に永遠亭の兎たち。主に兎の姿であるものを指すが妖怪化したものを含む場合もある。
特に『月のイナバと地上の因幡』に登場するものがそのキュートなデザイン性等から「モブイナバ」として象徴的に捉えられることも多い。
また月の都の兎達にも個人名が不明なモブ的キャラクターたちがあり、こちらはファンの間では種族名の「玉兎」がそのまま全体を象徴する語として定着している。
「モブ玉兎」などの呼び方もあるものの、「玉兎」でだいたい通じる。
- 「モブ河童」
『茨歌仙』等登場する個別名称不明の河童たち。
『心綺楼』の背景部分や『鈴奈庵』にも登場している。
『茨歌仙』作中では個別のセリフがあったり主人公と絡んだりと独自の活躍を見せる。
- 「モブ天狗」
射命丸文のような鴉天狗と犬走椛のような白狼天狗と思しき天狗が描かれている。
この天狗たちが身に纏う、通称「香霖堂天狗装束」は、天狗の服飾文化の一つの可能性としてファンの間でも様々な創作に登場している。
- 「モブ天女」
博麗神社再建に駆り出された。
この他では大妖精や小悪魔についても個人の名称が不明で、かつ種族的な同族が複数あることが仄めかされているが、東方Projectのファンの間では一般に「大妖精」、「小悪魔」と言えば特定の個人をイメージしたものであることが多い。
前者は「大ちゃん」、後者は「こあ」(あるいはこぁ、ここあ)等と呼ばれる個人といえば、伝わりやすいかもしれない。
「名無しの本読み妖怪」のように名称不明で種族的な同族の存在の有無も不明なキャラクターもあるが、こちらは作中で描かれているのは明確に一人である。
ファンの間では「朱鷺子」などの愛称で呼ばれてもいる。
pixivのタグとしは
pixivでは「モブ狸」表記によるタグの他「モブタヌキ」の表記によるタグも使用されている。先述の現在時点では両者は個別に使用されており、広く東方Projectにおける同キャラクターたちを描いた作品に当たる際には両者を併記した検索ワードを用いるのも有用である。
- pixiv検索ワード例:「 モブ狸 OR モブタヌキ 」