アライグマ
あらいぐま
概要
哺乳綱食肉目アライグマ科アライグマ属の哺乳類の一種。漢字表記は「浣熊」。
外見はタヌキに似るが、尾はタヌキよりも長めで黒褐色の輪模様が並ぶ。体長60cmくらい。
夜行性で、小動物や果実などを食べる。運動神経に優れており獰猛な性格でもある。
特にカエル・魚・貝・甲殻類などを好み、水中の獲物を探す姿がまるで物を洗っているように見えるためにこの名がついた。
カナダ南部から南アメリカ北部にかけて分布し、住環境として水辺の森林を好む。
毛皮は優良。寄生虫や狂犬病ウイルス等の感染症の媒介者としても知られる。
天井裏に住み着く事が多く、その糞・尿から天井を汚し、建物の資産価値を下げる被害を出している。
※天井に住み着くアライグマのイメージ図です。
日本で増えた理由
日本ではアニメ『あらいぐまラスカル』の影響で可愛らしいイメージが定着しているが、本来アライグマは気難しく気性が荒い生き物で、少なくとも個人の飼育には向かない(というかラスカルのストーリーそれ自体が「野生のアライグマの子供を保護したが、成長するにつれその悪戯が手に負えなくなり野生に返す」というものである)
因みに「ラスカル」という名前は“ならず者”と言う意味である。アメリカに於けるアライグマのイメージの一端が垣間見えるのではなかろうか。
最初に野生化が確認されたのが愛知県犬山市にある『日本モンキーセンター』で、研究用に飼育されていた12頭が脱走し、2頭のオス(一部ではメス説も有り)のみ未回収となったが、数年後に近辺の町において野生化したアライグマを初めて捕獲した。またアニメ『ラスカル』の影響で日本に大量輸入されたが、前述の通りペットには向いておらず、さらに「顔がラスカルと違う」などの理由で、野山に捨てられ野生化したものが生態系を脅かしたり、農作物の荒らす被害を出している。日本で大量に野生化されたのは天敵である狼がいない事が増えた要因でもある。
※スイカ畑を荒らすアライグマのイメージ図です。
ここからは真面目な話
農作物の被害が深刻となった為に日本国政府もアライグマを2005年に施行された『外来生物法』(※)による「特定外来生物」(すなわち害獣)に指定された事により、研究目的等以外での飼育や捕獲に移動だけでなく農家などが勝手に駆除目的等で殺害する事も禁じられており、もし見つけた場合は自治体の農政課等に連絡する必要がある。自治体の方も無料で罠を貸してくれたりするのだが、自治体によっては専門の業者を派遣する場合もある。ただ動きが速いだけでなく数も少なくとも1万頭以上に増えている事から捕獲するにも自治体だけでも手に負えない事も有り、北海道や香川県の一部では条件次第によるが捕獲した場合は1頭当たり約3千円の報奨金を支払う事で捕獲数を増やそうと躍起になっている。
(※)正確には、『特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律』が正式名称である。
※捕獲されたアライグマのイメージ図です。
捕獲出来たら
ここから先はグロテスクな表現とイメージ図があります。
もし仕掛けた罠に掛かり捕獲に成功した場合は『外来生物法』によりアライグマ自体の移動が禁じられている為にその場で殺処分される。これは成獣だけに限らず幼獣も同様である(すなわち根絶やし)。
捕獲したアライグマはその場で袋もしくは罠を囲んだ大きな箱に閉じ込めてその垣間から二酸化炭素を発生するガスにより窒息死させる事となる(簡単に言えば小さなガス室状態)。一部では水責めによる水死や田舎では自治体から派遣された猟友会のハンターによって射殺される事もある。捕獲した者や駆除する者もその場でアライグマのうめき声や断末魔を聞く羽目になるとは想像もしないだろう。
※窒息による殺処分のイメージ図です。(閲覧注意!)
殺処分に対する抗議
「可哀想だから動物園で飼育出来ないのか」という一部の動物愛護団体からの抗議もあるが、過去に動物園でも捕獲されたアライグマを去勢した上で飼育されていたのだが、前述の通りに動きも素早く職員に噛み付いたりして怪我をさするケースが多く、脱走対策にも多額の費用が掛かる事や追い打ちを掛ける様に『外来生物法』により事前申請無しの捕獲や移動そのものが禁止された事によりお手上げ状態となってしまった。
所轄する環境省も『動物愛護法』(※)により、外来生物の殺処分に関しては「出来るだけ苦痛を伴わない」方法としてガスによる窒息死を勧めておりその際はリンチによる殺処分は行ってはならないとされている。また害獣駆除を行う猟友会のハンターも高齢化や担い手不足により現在は窒息死が支流となっている。
(※)正確には『動物の愛護及び管理に関する法律』が正式名称。
※捕獲後、運良く動物園に移動されたアライグマのイメージ図です。