「こんなの、最高過ぎる……っ!」
演:小林涼子
概要
担当編集者の殺人容疑で指名手配犯となった伏井出ケイを取材中に、ひょんなことから記憶を失ったケイと遭遇、彼を自身の仕事場に匿うことになる。
行動力と野心に溢れた女性であり、殺人犯の可能性のあるケイを単独で匿うのみならず、彼が記憶を取り戻し巨大怪獣と化した上、自身に対して殺意を示してもなお、恐怖を感じながらも協力を申し出る。
また、ケイだけでなく朝倉リク、さらに伊賀栗レイトが変身する場面もこっそりと目撃しており、現時点では唯一の『リクの正体を知りながら、彼と面識がない』人物である。
19話以降もケイを匿っているようで、レイトの務める谷丸商事に商品の取材として出向き怪獣出現を察知したゼロの足止めを行う、目的を果たしたケイを迎えに出向くなど、協力を続けている。
彼女が初登場した第18話は、ベリアルとの決着を経て自分の将来を考えるリク、己の空虚を自覚しながらもベリアルの悪夢を継ぐ事を決意したケイ、探求心と功名心の赴くままケイに与することを決めたアリエ、とそれぞれ違う形の「夢(願望)」がテーマとなっており、ラストのリクのモノローグもあって夢が持つ負の一面も描写されている。
信じがたい真実から目をそらさず、己の身を投げ打ってでも追求しようとするアリエの姿勢は、ノンフィクションライターとしては決して間違っていない。また、公然と指名手配されていたケイに対して殺人が事実か真摯に問いかけ、例えそうであっても出来得る限りの配慮をすると申し出る、前述のゼロの足止めにしても表面上では何も知らない様に見せかけ、取材の一環としてさりげなく、という程度にとどめるなど、マスコミとしての中立性と善意も持ち合わせている。
しかし、現在彼女が触れようとしている真実は、一人の人間が追いかけるにはあまりに危険すぎる代物である。今後彼女が事実に向き合う者としての理性、ひいては人間としての正気を保つことができるかは問われ...
余談
演じる小林涼子は、2005年公開の映画『仮面ライダー THE FIRST』にて原田美代子/スネーク役を演じたことがあり、特撮作品への出演はその時以来12年ぶりとなる。
名前の由来は刈→メリと読み替え、イシメリアリエを並び替えメアリシエリイ、即ちSFの先駆者とも称される女性作家「メアリー・シェリー」だと思われる。
関連タグ
蛭川光彦-ウルトラマンメビウスに登場した悪徳ジャーナリスト。ジャーナリストとライターという違いはあるが、主人公の敵対者に加担し(尤も、彼の場合は加担というよりは「口車に乗せられて、いいように利用された」と言った方が正しい)、自身も主人公陣営と対立する操觚者という共通点がある。ただし、蛭川は己の利己心や、ウルトラマンや防衛チームへの悪意、敵意をむき出しにし、報道に対する手段や考え方も人の道から著しく逸れた下劣極まりないものであったのに対し、アリエの場合はライターとしての純粋な好奇心や探究心が動機であり、個人的な悪意やリク達への敵意を抱いているわけではなく、前述したとおり、操觚者としては至って中立的である。
しかし、その中立性も「ケイのことを取材して本を書きたい」という目的も、彼と行動を共にするうちに徐々に歪んでしまい‥‥‥‥。
真実の先に……(ネタバレ注意)
22話でケイの怪獣カプセルを奪還するための作戦のため、彼の人質を演じる。
郊外の廃工場で錆びれた鉄塔に吊るされるなどという危険極まりない場所に置かれ、さらにケイの攻撃により鉄塔が崩壊するが真実を知らないゼロに助け出され、怪獣カプセルを持ったままの愛崎モアと共に車でその場から逃走。キングギャラクトロンの攻撃で車が制御を失いモアが気絶した隙をついて怪獣カプセルを手に入れることに成功した。
そして自らケイに怪獣カプセルを渡したことで彼女とケイの繋がりは誰の目にも明らかになった。
「そろそろ認めたらどう? これはあなただけの物語じゃない。私たちの物語。
私たち二人が、この手で、世界を終わらせる…… その瞬間を見るのが待ちきれない」
ケイと最後まで共に行くことを宣言するアリエ。それに対し、一瞬笑みを浮かべたケイの返答は―――
―――彼女の抹殺だった。
何の言葉も迷いもなく彼の漆黒の刃に貫かれ、役目の終わった物を捨てるかの如き気安さで抹殺されたアリエ。
彼女がケイから返されたのは「ご苦労様」と冷笑を交えたそっけない一言のみであった。
そのあまりにあっけない最期は、彼女は最初からケイにとっては捨て駒でしかなく、そしてその通りに使い潰されたということを如実に物語っていた。
ケイの協力者だったとはいえ、彼女を救えなかったことは、モアに深い心の傷を負わせてしまう。
彼女のことはリクのモノローグで締めくくられる。
〈結局、彼女を救うことはできなかった〉
〈僕たちは、伏井出ケイの手の中で踊らされていただけだった〉
〈ケイを匿い取材を続けていくうちに、彼女は彼に心酔してしまったのだろう〉
〈だが、こんな結末を、彼女は予測していなかったに違いない〉
その後彼女の取材した情報は回収され、残されていた沖縄の地図からケイが沖縄に渡ったことを一同が知ることになる。
余談
石刈アリエは、昨今のウルトラシリーズで極力避けていた地球人の直接的な死が描かれた人物である。
この他にもTHE_ORIGIN_SAGAのミコットもその一人だが、彼女の場合は地球人ではなく、別の惑星に住む種族なので、やはり地球人で死亡したアリエはかなりの異例だと思われる。
同じく伏井出ケイに殺害された大隅丈治は、ニュース映像で死亡が伝えられる形として、間接的に描かれていた事もあり、アリエの死は多くの視聴者に衝撃を受けた。
改心して死亡した溝呂木、改心もしなければ死亡する事もなかった蛭川など、悪に落ちた地球人がいる中、彼女は改心するチャンスすらないまま伏井出ケイに利用され殺害されてしまった。
最後まで伏井出ケイに心酔していたにも関わらず、この様な末路から視聴者からは「(半ば自業自得とは言え)可哀想過ぎる」と同情する声も上がった。
しかし、坂本監督のインタビューでは彼女が退場した後の公開にも拘わらず、彼女に関する重要なシーンがあるようで……?
最新話ネタバレ注意
23話でジードに敗れ、ボロボロの状態になりリク達に追い詰められたケイ。
そんな彼の前にエンペラ星人とダークルギエルのカプセルを回収する人物が現れる…
それは前回ケイに殺害されたはずのアリエであった。
回収後、彼女はケイに対しこう言い放つ。
「私の息子に勝てるとでも思ったのか?」
そしてケイの背中を前回自身がやられたように漆黒の刃で貫き、ストルム器官を抜き取った。
ストルム器官を飲み込むと同時に彼女の体から出てきたもの、それは…
「私は常にお前と共にいたのだよ。不思議に思わなかったか? 私が姿を消してからも、お前はフュージョンライズすることができた」
ウルトラマンベリアルであった。
そう、ベリアルは敗北後、アリエに憑依しケイに力を与えていたのであった。
そのためケイはベリアルがいないにもかかわらずベリアル融合獣へのフュージョンライズが可能だったのである。
そしてベリアルは「お前の使命は終わった」とケイに用済みを告げ、去っていった。
その後彼女がどうなったかは不明だが(ケイとともに倒れていたシーンは確認できる)、ケイとベリアル、二人に利用され人生を翻弄された挙句この様な末路を迎えたという点には同情せざるを得ない。
余談
悪のウルトラマンに憑依された女性キャラとしては、ダークファウスト/斎田リコに続き彼女で二人目である。
また彼女の名前「アリエ」はベリアルのイニシャル「Belial」の組み替えという二重の意味も込められていたと考えられる。
なお、正体判明時にベリアルの一人称がアリエと同じ「私」となっていたため、一部の視聴者からは「陛下が女装生活のし過ぎで一人称まで…」とネタにされていた。ちなみに擬人化計画のドラマCD「ウルトラ怪女子」では一人だけ男のままで馬鹿にされたことがあるため、別次元ではあるが、ある意味別方向でリベンジできたと言えるかもしれない。
また少なくとも18話から憑依していることが明言されているため、18話以降の彼女の行動は全てベリアル陛下の演技と言うことになる。つまり色仕掛けとかケイの頬を撫でたりとかの行動・言動も陛下の演技。
さらにベリアル本人が意図したものではないが、22話で宿敵であるゼロ(レイト)にお姫様だっこで救出される、という双方にとって憤慨レベルの珍事が起きてしまったという事になる。この時の陛下(と真相を知ったゼロ)の心境はいかに……。